2003年の夏に発売された、トゥルーラブストーリー(以下、TLS)シリーズの最新作「True Love Story Summer Days, and yet...(以下、サマデ)」によって、シリーズを重ねるごとに販売本数を半減させ続けてきた「TLS半減期の法則」の呪われたジンクスを、ようやく打破することができました。実売約2万5千本という数字は、ヒットと呼ぶには微妙すぎるラインなのですが、それでも、雨の降らない大地で天を見上げてばかりいたファンたちにとっては、ギャルゲー界における最低限の存在感を示すことのできた作品だったと言えます。TLSを扱う同人サークルも、久方ぶりに増加に転じるなど、息を吹き返したかに思われたTLSでしたが…そこで終わらないでオチがついてしまうのが、トゥルラーの悲しい運命(さだめ)なのでしょうか?あまりにもヘッポコすぎる出来のOVA版サマデに泣き寝入りしたファンは数知れず… しかし、真に作品を愛しているなら、物言わぬ信者ではなくファンとして、ダメなものはダメだと、王様は裸だと声を上げるべし!そんな漢気がたっぷりと詰まった”爆裂逆説のラブレター”第7弾、それが「トゥルーラブは世界いちぃぃぃ!7」、略して、「トラいち7」なのです! それは…血を吐きながら続ける悲しいマラソン 作中でも触れられていますが、メディアミックス…それは知名度アップと引き替えに「作品の魂」を奪う悪魔の契約…まさにその通りだと思います。ゲーム製作者は専門外の他業種にはあまり口出しができないし、ゲームの旬に合わせて短期間かつ低予算で製作しなければならないのだから、そこに品質を求めること自体が間違いなのかも知れませんね。しかし、このギャルゲー過剰供給時代にあっては、メディアの力なくしてヒットを立ち上げることは不可能ですし、少ないファンから多元的メディアで何重もの支出を引き出さなければ採算が取れない現実の中では、スタッフリストを見ただけで素人目にも絶対に面白くならないと判っていても、企画にGOサインが出てしまうのです。こうしてOVA版サマデのような目を覆いたくなるような出来のブツが世に出てしまったのです。しかも、「1人のファンとその10倍の敵を作る」プー(小倉優子)を起用するという最凶の追い討ち付きで… TLSのライバルだったはずのコナミラス帝国の「ときメモ」も、不振に終わった「メモ3」のキャラグッズには早々に見切りをつけて撤退して、過去の遺産で細々と食いつなぐ状態。今ではグッズ売り上げの大半をGS(ガールズサイド)に依存するというように、すっかり没落してしまいました。かといって、昨今のインフレする一方のギャルゲ萌えという現象も、憂慮すべき事態です。記号文法化されエスカレートする萌えの追求によって、ゲーム本編よりもグッズの価値がもてはやされ、本来のゲーム性の追求はどこへやら…それでも信じて買い支え続けるファンたちの、血を吐きながら続ける悲しいマラソンが報われる日は、いつか来るのでしょうか…
角川のeb!吸収、セゲいち半ページ化… サマデからTLSに入ってきた「新世代」の方も多いかも知れませんが、この第7巻に収録されている「バックトゥザトラいち!」では、公には語られることのないTLSのトホホな黒歴史の一端を垣間見ることができます。あくまでも「ほんの一部」ですがね(泣)。しかも、そのトホホな歴史は現在進行形で続いているのです。我らが親方eb!はアスキーとセットで角川グループに吸収されてしまいました。TLSの今後がどうなるのかは全く予想もつきません。しかも、もうひとつの原作「セゲいち」についても、ドリマガの本誌連載が半ページに縮小されてしまい、しかもドリマガ自体が不可解な増刊号の果てに、なし崩し的に月刊化。両原作のWパンチで、トラいち史上最大の危機到来? しかし、こんな時だからこそ、束の間のサマデバブルに浮き足立つことなく、「トラいち」を読んで、辛く厳しく長かったTLS冬の時代を耐え抜いた、ハングリー精神を思い出そう!そして怒りのエネルギーを笑いに変えてしまいましょう。笑う門には福来る!…よね?多分おそらくきっと…さぁ、皆さんもご一緒に!
※画像使用許諾:2004/04/29
First written : 2004/05/01 Last update : 2004/08/17 |