monthly Doujin Review
まさかまさかの続編レビュー 月に1冊しか紹介できない同人誌レビューコーナーで、まさか2回目のレビューを書く作品が出てくるとは、まったくもって思いもよりませんでした。しかし、厳選を重ねて月に10冊以上買っている同人誌の中で、この作品がもっとも輝いていたのだから仕方がない。→前作のレビュー ネタとしても非常にタイムリーだった。原作となっているゲーム「トゥルーラブストーリー(以下、TLS)」は最新作「TLS3」が出たばかりだし、もうひとつの原作である漫画「セガのゲームは世界いちぃぃぃ!(以下、セゲいち)」もセガのハード撤退宣言で盛り上がっていた。あらゆる相乗効果によって、本来ありえないはずの同一作品2度目のレビューが実現してしまったのです。 嗚呼無常TLS3爆沈! さて、肝心の原作「TLS3」についてですが、商業的には完璧な大失敗です。わずか2週でファミ通TOP30から姿を消し、累計販売本数は4万本にも届かず、予約特典は余りまくり…勿論シリーズ売上でも最低を記録してしまった。私個人としては「TLS3」のゲーム性を未消化ながら高く評価しているだけに、この惨憺たる結果は哀しみを通り越して、もはや笑うしかありません。 だが、こんな状況すら非常に「おいしい」ネタになってしまうのが、今回また紹介する「トラいち2」なのです。同じく混迷を極めていたセガをネタにしていた「セゲいち」のギャグに「TLS3」が完璧にシンクロしてしまいました。シンクロ率400%のお笑い。それは血の涙を流しながら身を切り売りするピエロの如くカルタシスの世界です。笑い悶えている間だけは祭りの終わりを忘れられますから… まさかまさかのお墨付き 実はこの「トラいち」は業界関係者での認知度がすごく高い。何しろ、「TLS」のキャラクターデザイナー(松田浩二氏)からは、大神氏のもとにサイン色紙が届き、「セゲいち」の作者(サムシング吉松氏)からは本誌連載の中で「トラいち面白すぎ」とのコメントが掲載された。これは事実上の公認であり、お墨付きである。 同人誌だからこそできる表現。それは何もエロや版権に関するものばかりではない。「トラいち」は作品の垣根を越えてキャラクターとギャグを融合させることで、まったく新しい独自のギャグを創り出した。それは原作者すら驚かせるクオリティを発揮することもある。奇跡的な綱渡りを続けるこの同人誌は、まさに熱烈爆風の「逆説ラブレター」なのです。
※画像使用許諾:2001/07/17
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