「魔の6月」にも失速の気配を見せず、どうにもこうにも絶好調((C)ギャラクシーエンジェル)で貯金街道まっしぐらの阪神タイガースですが、盛り上がる関西と18年間隠れ虎党をしてきた全国のファンが狂喜乱舞する中、この独走を快く思わない「アンチ阪神」とも言える勢力が形成されつつあるようです。長良川球場での異臭事件とファン同士の喧嘩騒動に始まり、その火の粉はオールスターのファン投票にまで波及してしまいました。
以前の週刊GM研のニュースでも取り上げましたが、オールスターのファン投票の投手部門で、2年間1軍登板が一度もない中日の川崎憲二郎投手に対して、ネット投票による不正過剰投票が行われていましたが、5月20日に問題が発覚後、機構側は投票方法にパスワード制限を加えるなどの対処を行ったが、不正投票は一向に減る気配を見せず、6月17日の中間発表ではついに井川を抜いて1位になってしまった。当事者の川崎投手は「最初は励みになると思っていたけど、ある人から(投票の経緯を)聞いて、そんなもんかと思った。ボクが出たらいけないでしょう」と出場辞退する考えを表明したが…
実は、この問題の背景には、いまさら説明する必要もない某掲示板で、「プロ野球機構と阪神タイガースに対する挑戦」「サボリ選手を球宴1位に」という呼びかけが行われ、短時間で大量の投票ができるソフトなどが配布され、「川崎祭」という名で問題を煽り飛躍的に票を伸ばしてきた、という事実がありました。
あの掲示板が風刺気取りで「火のないところに火をつけて回る」のはいつものことなので、今さら私から何も言う事はありませんが、この問題は阪神の独走とオールスター独占を快く思わない勢力、つまり「アンチ阪神」と言うべき動きと無関係とはいえません。私も生来の「アンチ巨人ファン」を公言してきましたが、こんな風に毎年毎年、日本の約半分のファンから妬まれ続けてきた巨人のすごさがちょっとだけ分かったような気がします。ですが、これはある意味では「妬ましいほど強い」ということでもある。
球界1のネガティブ解説者といわれる元南海の門田博光をもってして、関西ローカルの野球中継で「阪神の解説なんてやってらんないよ。だって、信じられないことばかりやってのけるんだから」と言わしめたその強さ…しかし、18年間もの長きに渡って辛酸を舐めさせ続けられた阪神ファンは、いくら2位とのゲーム差が離れていてもいくら貯金があっても、常に不安と隣りあわせで「油断」や「驕り」というものがまったくない。その「贅沢な謙虚さ」と「隙のなさ」が、他チームのファンからさらに反感を買っているのかもしれないが…
しかし、主力選手がベテランばかりなので、現実問題として、今年を逃したら今後10年間阪神の優勝の目はないだろう。優勝したら経済効果が何千億円とか、日本の野球人気がどうのこうのとか、そんなことはどうでもいい。阪神ファンとしては、「後生だから、今年だけは黙って優勝させてくれ」という心境です。優勝争いを世間話と宴席の肴にするだけがプロ野球の存在意義なのかね、マスコミの諸君?順位に関係なくプロフェッショナルなプレーが見れればそれでいいではないか?18年間、阪神ファンはそうして生きてきた。W杯が日本に来ようと、試合のない翌日でさえも、関西スポーツ誌の一面は阪神だった。万年最下位チームの快進撃に、お調子者の関西人でさえ「どう浮き足立っていいのかわからない」という状態で、目の前の1勝に後先考えず狂喜する様は、首位を独走するチームのファンとは思えないのだが…
だが、これは夢でも奇跡でもない。ここで失速して優勝を逃したりしたら、それこそ逆の意味で歴史に名を残してしまうことになる。強いという事は「負けること」への恐怖でもある。勝ち続ける阪神の姿の先に何を見るのか、阪神ファンにもそれについて考えることが求められているのかもしれませんね。
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