Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.78
2003/01/25


【News Headline】
  • 日本アニメーションまで "歴史歪曲"
  • 【mini Review】
  • 同人誌
  •  : みすずちんパニック!4th Remix
  • CD
  •  : Precious One (野田順子)
  • 雑誌
  •  : 電撃大王3月号
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 2月7日号(vol.738)
    【COLUMN】
  • 平成の大横綱引退

  • ■News Headline

     【日本アニメーションまで "歴史歪曲"】 
     http://korea.hanmir.com/ktj.cgi?url=kr.dailynews.yahoo.com/headlines/so/20030117/gd/gd200301171143114317.html

     …こんな記事に労力を割いて説明文を書くのは馬鹿馬鹿しいので、上記のURLを参照してください。いやはや…開いた口が塞がりませんね… 私はあのアニメ(とゲーム)については1ピコグラムたりとも評価に値する作品だとは思いませんが、これが日本人の総意であるかのように解釈されることは我慢なりません。

     そして、元日本語構造研究者としても一言いいたい。どうせ翻訳するなら、もう少し日本語を勉強してからにしろ!(せめてタイトルくらいは正確に記述するべきだ。曲がりなりにもヤフーのコリア版を名乗っているんだから…)

     少なくとも、朝鮮併合に最後まで反対していた朝鮮総督:伊藤博文を、ハルピン駅で暗殺したテロリスト:安住根を英雄扱いして教科書に載せているような歪んだナショナリズムしか持てないかの国の御仁に、そんな事を言われたくないですね。

     歴史を曲解しフィクションを解さない、かの国の記者は論外として、そんな題材をおちょくるようなシナリオを書いた「あかほりさとる」にも大いに失望しました。大量の戦死者を出してまでして勝利を勝ち取った日露戦争が、近代日本の成り立ちの中でどのような意味を持つ戦争だったのか…ちょっと歴史を勉強すれば分かるはずです(司馬遼太郎史観だけを学ぶのは極めて危険な行為なので注意しましょう)。

     外敵を攻撃することでしか国の統一とアイデンティティを保てない韓国や中国は、気の毒な国だと思う。しかし、それ以上に、先祖を平気で辱める日本人があまりにも多いことは情けないことですね…


    ■mini Review

     【みすずちんパニック!4th Remix】 サークル:星狩座 
     以前のGM研同人誌レビューでも取り上げたことのある「みすずちんパニック!」の最新刊「4th Remix」を入手。このシリーズは、当初は全3巻の予定だったのですが、累計15,000部を超える大ヒット作となり続編を望む読者の声もあったため、異例のアンコール番外編の製作とあいなったわけです。内容的にはその大半が本編からのリサイクルですが、ストーリーの縛りがなく絵や構図を使いまわすことで、純粋にネタとしての面白さが追求されていて、その結果、いつも以上に珍獣たち(エリートポテトとグレートそら)の弾けっぷりが際立っています。「そら」に到っては同サークルの他のWEBコミック「はりきりプリンセス (月姫)」にも出演しており、この2人(匹)はすっかりサークルの看板キャラクターになってしまいました。同人に縁のない人も気軽に入っていけるのがWEBコミックの良い所。シリーズ完結を機に読んでみてはいかがっすかぁ?

     【Precious One】 野田順子/キングレコード 
     「ときメモ2の陽ノ下光」役で御馴染みの声優:野田順子さんの4thアルバムです。「アフター:ときメモ2」のノダジュン路線はほぼ確定したようですね。声優歌手としての歌唱力はトップクラスだと思うが(それが売上に比例しないのがこの業界の困った所なのだが…)、ゲームなどのタイアップが少なくなって歌手路線が強くなったが、キャッチーな曲、飛び抜けたインパクトのある曲が少なくなってしまった感は否めない。

     全12曲の平均採点は「3.3点」(5点満点)。その内訳は、2点(1)、3点(3、5、6、9、10、11、12)、4点(2、4、7)、5点(8)。ファンにしては厳し目の採点ですが、これは声優としてではなく歌手としても高く評価しているという意味ですので、誤解なきよう願います。8曲目の「夕陽ヶ丘」に唯一の満点を付けましたが、アップテンポなPOPソングが中心のノダジュン路線にあって、こういう心に染み入る良質のバラードは貴重だと思います。

     【電撃大王3月号】 メディアワークス 
     今月号の目玉は、なんと言っても「あずまんが大王」の作者:あずまきよひこ氏の新連載「よつばと!」です。空前の大ヒット作品となった「あずまんが大王」の連載終了から早10ヶ月…ファンの間で膨れ上がる一方の新作待望論に対して出された答えは、48Pのストーリー連載漫画という意外なカタチでした。

    電撃大王の紹介文によると---『好奇心旺盛なとびきり元気なヒロイン・よつばちゃんの日常を描く笑いと感動と不思議がいっぱい。あずま作品独特のついつい笑ってしまう“あの”テイストが、イイ〜感じにパワーアップされている超楽しいコミック作品』---と言う事になっています。

    「あずまんが大王」と同じような笑いを期待していた人は、この新作に少々戸惑ってしまうかも知れない。かくいう私も、ついつい「あずまんが大王」のキャラと新作のキャラとの符合を考えながら読んでしまいましたからね。

     でも、私は「これはこれでアリ」だと思いました。4コマ漫画じゃなくてもちゃんと「あずまんが」になっている。元々画力の高い漫画家だったから大コマになっても違和感が無いし、コマ割りもスムーズなので長尺のページにも対応できている。こうして贅沢に大コマを使えるような大先生になれたからこそ、描けるようになった作品だと思います。作品として面白いかどうかは、現時点で判断するのは時期尚早なので保留にしておきましょう。これからどんな作品に育っていくか、月に一度の楽しみがまたひとつ増えました。

     【週刊ファミ通 2月7日号(vol.738)】 エンターブレイン 
     今週号は、特に何も書くことはありません。以上! …だめですか?仕方がないので、たまには週間売上TOP30の分析でもしてみましょう。2位「ラチェット&クランク」は、累計41万本と一見すると大ヒットゲームのように聞こえますが、その大部分は「PS2アクションパック」の同梱版によるものです。しかも「格好の転売ソフト」になってしまったため中古買取価格が史上最速ペースで暴落してしました。SCEは「ラチェット効果」を鼻高々に謳っていますが、小売店レベルではものすごい迷惑なソフトなんですよ…

     7位の「アンリミテッド・サガ」ですが、累計で36万本。今期の年末商戦で最も市場の期待を裏切ったソフトになってしまいました。すでにソフマップですら新品2980円のワゴンセールを開始したくらいですからね… 同じく「ゼルダの伝説 風のタクト」も累計54万本と、期待された数字には程遠い。ソフト単体だけではなく、ハードの牽引役としても役者不足の感は否めない。任天堂の全社的にはGBAと「ポケモン」が好調だからびくともしなうんでしょうけど…

     今週のクロスレビューは見所がいっぱいです(イロイロな意味で)。注目すべきは「Wind」でのコメント。浜村通信がキャラゲー未定論者なのに「物語に引き込まれた。ボクの負けです」と絶賛しているのに対し、ファミ通のギャルゲー番記者:キャッシー嵐山は「批判されていた部分が直っていない」とコメントし、隠れギャルゲーマー:羽田隆之は「ストーリー運びが特異すぎ」と辛辣に批判。さぁ、あなたは誰の言葉を信じますか?(苦笑)ま、いずれにしても、こんな大作ゲームばかりを同じ週に無理やりこなして書いたようなレビューを信用すること自体に無理があるんですけどね。


    ■COLUMN

     【平成の大横綱引退の余波】 
     平成の大横綱:貴乃花が遂に引退してしましたね…怪我を押しての異例の再出場の時点で、既に引退を決意していたのだろう。かつて、千代の富士が引退を決意した相撲(貴花田戦)のように美しい引き際ではなく、周囲から「痛々しくてもう見ていられない」と嘆願される形での引退となってしまったのが、とても残念です。絶大な人気と強さで一時代を築き、そして時代に殺された大横綱…極端に無口で求道的に相撲道を突き進んだため、周囲から何かと誤解されることも多かったが、引退会見での重圧から解放された清々しい顔を見ていると、いかに本人がこれまで苦しんできたかが良くわかります。本当に長い間お疲れ様でした。

     奇しくも、貴乃花が引退したこの初場所で、新横綱:朝青龍が誕生することになりましたが、相撲人気の凋落傾向を押し止めることはできないだろう。若貴時代の世代交代とは異なり、今回は世代交代というより国籍交代と言った方が正確だと思う。相撲の国際化はもちろん悪いことではないが、それを束ねるだけの価値が現在の相撲協会にあるとは到底思えない。

     若貴ブームに乗って巡業や海外公演などを増やしすぎた結果、怪我人が多すぎてまともな取り組み編成すらできない。埋まらない空席。機械などによる筋力トレーニングと力士の大型化によって、パワーは向上したが非常に怪我をしやすい肉体になってしまった。学生相撲出身の増加も無関係ではない。幕下付け出しでスタートできる有力な学生相撲出身者は、下積みや鍛錬が十分に経験しないまま、あっという間に番付だけが上がっていき、三役あたりで壁にぶつかった時にもう一段強くなるための引き出しがないし、入門が遅いため年齢的にも選手寿命が短くなってしまうのである。日本人力士がそんな状態だからこそ、モンゴルの大平原で幼少から鍛えられてきた朝青龍の馬力と精神力の強さに敵うはずがない。

     横綱審議委員会という不可解な組織も解せない。財界人だの文化人だので構成されるこの委員会の決定無しには、大関も横綱も相撲協会には決められない。毎度毎度、伝統だの品格だの口を挟むくせして、活躍すれば掌を返して絶賛。最近は、横審の審議自体が完全に世論に押されて全会一致ばかりだし… その最たるものが現:横審委員長のナベツネである。事あるごとに貴乃花に難癖をつけて引退に追いやり、朝青龍の審議に到っては、14日目にすでに2場所連続優勝を決めていたのに、「千秋楽の相撲内容次第」などと最後まで難癖をつけていたのに、審議後には「委員長の在任中に横綱を誕生させられて良かった」などと言い出す始末…再任しないのが唯一の救いです。

     伝統だけでこの先を乗り切ることはできない。伝統だからこそ、この時代の変わり目に離れていく者・去っていく者も多い。時代劇のように演じる者も高齢というわけにはいかない。若い力士あってこその相撲界ですからね。国技という名前に胡座を掻いている暇はありません。守るために攻める事も時には必要なのではないでしょうか?


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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