「トリコロ」とは? 「トリコロ」とは、同人出身の漫画家が多数在籍していることで一部のマニアの間で愛好されている『ドキドキ☆ビジュアル4コマ誌』というキャッチコピーを持つ、「月刊まんがタイムきらら」に連載されている人気爆発中の4コママンガです。あらすじを簡単に説明すると、母と娘の2人暮らしをしていた七瀬家に、ある日突然、娘の七瀬八重と同い歳の2人の同居人がやって来るところから物語は始まります。食い倒れの都(大阪)から来た青野真紀子(マキちー)と、平和と任侠の町(広島)から来た由崎多汰美。その3人+1人(潦景子(にわちゃん))が巻き起こす、笑いあり涙ありのホームコメディ4コマ漫画、それが「トロコロ」なのです。ちなみに、タイトルの「トリコロ」とは、キャラクターカラーと一致するフランス国旗の青・白・赤のトリコロールカラーからきているそうです。 マイナー漫画読みたちを唸らせた大出世作 海藍(hai ran)とは、中国語で海の青色のことです。その海藍先生のデビューは2000年にジャンボ10号に掲載された「路を歩めば」でしたが、その後は、2年ほど不遇の無名時代が続きました。その転機となったのが、「きらら」のリニューアル創刊でスタートしたこの「トリコロ」でした。雑誌のカラーを大幅に変えたリニューアル時には、マイナー漫画愛好者の間からも戸惑いの声もありましたが、そんな中でもこの作品の際立った存在感は、読者から高い評価を得ました。創刊2号目ではセンタカラー掲載。創刊3号目では表紙&巻頭カラー掲載。そして、わずか一年で単行本化…というように、トントン拍子で今や「きらら」の看板マンガとして異例のスピードで、海藍先生の名を一気にメジャーへと押し上げました。掲載誌のカラーに合わせて、耳や尻尾を生やしてみたり、風を操ったり四次元だったりとか、次第に妙な作品になってしまいました…と単行本のあとがきには書いてありましたが、のほほんとした普通さとともに、何が出てくるかわからない何でもアリな雰囲気も、この作品をさらに魅力的にしているのかもしれません。 萌えとお約束をギャグとして使いこなせる独特のセンス しかし、残念ながら掲載されている雑誌があまりにもマイナーであり、しかも、目がやたらと大きくてマニア色の強い絵柄が絵柄だけに、見た目で思いっきり読み手を選んでしまいがちです。でも、漫画としてはいたってノーマルで、思い切り普通なんですよ(良い意味で)。作画レベルが高くて、トーンの使い方も上手いし、背景の書き込みも4コマ漫画とは思えないほど丁寧です。ネタには萌えとお約束が満載ですが、そういう要素をオチのエフェクトとしてさりげなく使用しているので、一般の人が読んでも違和感はありません。もちろん、元ネタを知っているディープな読者であればなお面白い、そんな懐の深さがあります。名作に名脇役あり!ということで、脇を固めるキャラもいい味を出しています。にわちゃんは今や主役級扱いだし、お母さんは昔は女流棋士だったとか、おちょくられっぱなしの郵便屋さんに、激甘干し柿祖父…その独特のセンスは「あずまんが大王」に匹敵する大発見でした。まだまだ4コマは面白くなる!そんな可能性を感じさせてくれる逸品です!
First written : 2003/09/24
Last update : 2003/11/03 |