あずまんが大王とは? あずまんが大王とは、あずまきよひこ氏が電撃大王に連載している4コマ漫画であり、『かなりいい加減なスケールでおくる、お気楽超本格派女の子エンタテイメント』です。「あずまんが大王」…この安直な名前の漫画が、まさか天下を獲る日が来ようとは、まったくもって良い世の中になったものです(もちろん良い意味で)。 ジャンルとしては「ほのぼの系4コマ」なのですが、個性ありすぎなキャラクターたちと、力抜きまくりの絶妙の間と、関西人魂が爆発するボケとツッコミの応酬…これらの要素が化学反応を起こして、すごいことになってしまいました。いちど読んだら止まらない、なんど読んでも面白い、麻薬のような常習的面白さ!これぞ、21世紀型4コマ漫画? 無添加の万能天然素材 あずまんが大王の大きな特徴として、非常に多くのパロディ同人誌にネタが引用されていることが挙げられます。あずまきよひこ氏自身が同人誌出身の漫画家でもあるし、漫画家のキャリアの始まりがパイオニアのアニメ(天地無用・大運動会ほか)の宣伝用パロディ漫画だったこともあり、そのパロディ精神は、オリジナル作品のあずまんが大王にも脈々と受け継がれています。原作の魅力を120%引き出す、あずまきよひこ流のパロディは「あずまんが化」と呼ばれ、誰にも真似できない神域のパロディと言っても過言ではありません。 あずまんが大王のキャラクター作りは、既成文法の王道でありながら、「非で似ているもの」という関係にあります。ゆえに、パロディの素材としても非常に優秀なのです。あらゆるゲームや漫画やアニメに応用が可能であり、相性もバッチリです。この「あずまんが逆変換」現象は今や同人業界のスタンダードになりつつあります。恐るべし!無添加の万能天然素材! 徒然なるままに この漫画の面白さには、どこか理屈では割り切れないものがある、なんともレビュアー泣かせな新しいタイプの作品です。理屈付けしようとして、いざ読み返そうとすると、もう何度も読んだはずのネタなのに笑い転げてしまい、あまりの面白さに難しく考える事を放棄してしまい、気付くと1冊読んでしまいます。いつも何度でも。…もはや考えることは諦めました。ただ感じて、そして笑うことにしました。こんなにリラックスできるギャグ漫画は他にはありませんからね。 この作品を読んでいると、ついつい時間を忘れてしまいますが、漫画の中ではちゃんと時間が経過しています。 月刊連載間隔に合わせて漫画の中の時間も過ぎて行き、キャラの背が伸びたり、髪型を変えてみたり、クラス替えでコンビが変わったり…やっていることは相変わらずなんだけど、やんわりとまったりと時間は動いています。現実の時間軸に完全にリンクさせるというのは、同じ時間を繰り返す手法がお約束になっている漫画文法では、むしろ異質な存在なのかも知れません。連載を引き伸ばすこともなく、当たり前のように卒業と完結を迎えた事を惜しむ声も確かにありましたが、しかし、作者自身が気負わず肩肘張らず、ニュートラルな状態で描いていたからこそ、「あずまんが」は「あずまんが」であり続けることができたのではないでしょうか。最終回は寂かったけれど、それ以上に「楽しい3年間をありがとう」という感謝の気持ちで一杯でした。 当たり前のことを当たり前にやっているだけ…それって、現実と同じなのではないでしょうか? そう考えてみると、つまらないと思い込んでいた現実の日々も、ちょっとだけ楽しく思えてきました。徒然なるままに、気楽に読んでみて欲しい逸品です。 First written : 2001/10/01
Last update : 2003/10/27
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