「だんなぼん」とは? 初単行本の「らいか・デイズ」や、「まい・ほーむ」「だって愛してる」などで好評を博し、一躍新進気鋭のファミリー4コマ漫画家として注目されるようになった「むんこ」先生にとって、色々な意味で原点と言うべき同人誌作品があります。むんこ先生自身とダンナさんによる、世にも奇妙な夫婦の生態をノンフィクションで綴った漫画、それが「だんなぼん」シリーズです。 商業誌への応募路線の転機となった作品であり、日常生活での観察眼とギャグ精神が培われた作品でもあり、そしてなにより、趣味として漫画を描くことの楽しさに満ち溢れている作品です。実録漫画でも「そこまで描いていいのだろうか?」とあらぬ心配をしてしまうほどの、おみそゆるゆるな夫婦の掛け合いは必笑必至です! 実録:世にも奇妙な夫婦の生態 漫画描き主婦のむんこ先生と、元自衛官のダンナさん。ダンナさんの趣味は、刃物と釣りとエロビデオ。釣りのモットーはキャッチアンドイート。飼い亀もまずは食べることから考えてみたり、自衛隊のアレコレについて防秘スレスレの問題発言(PKOに志願したのは、動く的が撃てるから)をしてみたり、実家にはなぜか武器庫があったり…糸目の笑顔に似合わずブラックな要素ばかりなのですが、それらが怖さではなく全てギャグになってしまう不思議が、この稀有なキャラを持った夫婦の大きな魅力だと思います。 この作品の登場人物は、むんこ先生とダンナさんだけでなく、バイト先の失言店長さんといい、2人の友人の皆様も変わり者揃いです(ダンナ談)。一番の変わり者のお前には言われたくねぇ…と、むんこ先生から魂のツッコミが入っていましたけど…そんな世にも奇妙な夫婦の、もっとも印象的な会話を作中から1つだけご紹介しておきましょう。 事実は小説よりも漫画よりも奇すぎることもある かつて、某編集部から「だんなさんで雑誌に描きませんか?」と打診があったこともあったそうです。エロ上等でスプラッタで本能のままに自由奔放に生きている(?)ダンナさんは、ファミリー4コマ誌には向いてない、というむんこ先生の判断でこの話は流れたそうですが、これによって他の連載作品が生まれたと考えれば、なにやら感慨深いものがあります。事実は小説よりも奇なり、とはよく言いますが、この作品に限って言えばそれはごく普通の日常です。漫画はキャラ、という基本を改めて認識するとともに、漫画でも収まらない実在もあるのだと知りました。いやぁ、世界は広いですなぁ… ストーリー漫画で報われなかった新人賞投稿時代に、やけになって同人誌で始めた「だんなぼん」。意外にもこの路線が編集さんに高く評価されて、むんこ先生の漫画家としてのキャリアが始まりました。その後、商業誌でのプロ活動が順調に軌道に乗り始めたこともあり、だんなぼんシリーズは2004年11月のコミティア発行の第6巻(+「蛇足のご挨拶」)で一区切りということになりましたが、むんこ先生の原点となったこの作品は、商業誌での連載からファンになった読者の方にも、是非知っておいて欲しい、幸せな逸品です! ※画像使用許諾:2005/05/17
First written : 2005/05/19 ※このページで使用している画像は、GM研が作者様より直接使用許諾を受けているものです。 |