らいか・デイズ
漫画作者:むんこ
 4コマ  ほのぼの小学校コメディ  1〜5巻 
連載:まんがホーム、まんがタイムオリジナル

「らいか・デイズ」とは?

 花丸花丸小学校6年2組、春菜来華(はるならいか)は超多忙な女の子である。児童会会長 兼 学級委員長。頭脳明晰、テストはいつも満点で全国トップ。それでいて、まったく気取らずに勉強を教え、生徒間や教師間の揉め事を仲裁し、弱者の味方の裏番長でもあったり、時には担任代理でもあったり…クールで頭が良くて、実は優しくて、いざという時頼りになる…その人望ゆえに、生徒からも教師からもPTAの親御さんからも全面的に信頼されていて、果ては他校の校長からさえも「春菜はFA宣言しないのか?ぜひウチに!」と言われるほどです。

 しかし、完璧超人を地で行く来華にも、どうにもこうにも苦手なものがあります。それは…恋話(こいばな)です。不器用さと紙一重の純粋さを併せ持つ、そんな来華を取り巻く人々の日常と学校生活を描いたほのぼの小学校コメディ4コマ漫画、それが「らいか・デイズ」です。

それはきっと、誰もが経験した懐かしさと微笑ましさと

 来華に成績でいつも今一歩及ばないことでつっかかって来る竹田君(下の名前は未設定)の、来華に対する子供っぽい不器用な恋心といい、唯一フルネームを持つ「自称」ライバル転入生:浦部蒔奈さん(容姿端麗・ナイスバディー)の、大人びた達観したからかい方といい、名前はないけどいつも無口な来華の分まで隣で賑やかにしてくれる友達といい、何事も来華に頼りっぱなしの担任の先生といい…そこには、きっと誰もがかつて経験した懐かしさと微笑ましい空気が溢れていると思います。

 来華のような傑出した小学生は実際には万人に一人もいませんが、この作品の中では、特別な存在である来華が「普通」とはズレていることが逆に、つまらない当たり前のことだと思っていた「普通さ」の大切さを引き立ててくているような気がします。特に、来華と竹田君との不器用な幼くて淡い関係(恋?)は、普通に接することさえ本人たちには難しいことであり…多分、この作品を読む大多数のオトナは、かつての自分と重ね合わせるのは気恥ずかしいでしょうけど、キャラクターとして自然体ながら圧倒的な存在感のある来華に仮題することで、心置きなく懐かしく微笑ましく見守ることができると思いますよ。

説明抜きで面白さを感じられる…とても大切で難しいこと

 こういうセリフが少なくてリズムで読めてしまう4コマ漫画を「内容が無くても軽くなんとなく読めるんだよね」と酷評する人が時々いますが、私はそうは思いません。4コマ漫画はコマ割りなどの変化が付けられないし、ページ数も少ないので一度に書ける文字数もネタも少ない。連載誌が読み易さを重視するスタイルであるがゆえに、毎回一見さん向けの説明的な出だしが必要だったり…だからこそ、キャラクターを立てることにより、ネタが自然と出来上がってくる(ように感じさせる)ことが重要になるのです。ストーリーは後から付いてくるものであり、むしろ時間の経過やシナリオに左右されない独自の作品世界に成り得る。情景にストーリーが溶け込んでいくようなサイレントなオチが多い本作品では、説明抜きで面白さを伝えることが出来ている。それは、ぱっと見ではひどく簡単なことのように映るかも知れませんが、その作品を良く読んでみれば、それはとても大切で難しいことだと気づくことでしょう。

 個人的には、自分を特別扱いしないでくれる母親の前では「普通の子供」でいられる自分を楽しんでいる来華のネタが一番好きですね。連載誌の性質上、一般の漫画読者層があまり目に触れることの無い作品だと思いますが、肩の力を抜いて是非読んで欲しい隠れた逸品です。

First written : 2005/03/27
Last update : 2005/08/18