Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.98
2003/06/28


【News Headline】
  • 有料ゲームで小5少女自殺 ネット先進の韓国に衝撃
  • 【mini Review】
  • 同人誌 : 
  • HR(ホームラン)/ ゆ〜のす通信
  • 雑誌 : 
  • ドリマガ 7月11日号(vol.384)
  • 雑誌 : 
  • 週刊ファミ通 7月11日号(vol.760)
    【COLUMN】
  • コンフェデ杯でカメルーンのフォエ選手が突然死

  • ■News Headline

     【有料ゲームで小5少女自殺 ネット先進の韓国に衝撃】 

     ネット先進国の韓国で、インターネット上の有料ゲームで半年間に170万ウォン(約17万円)も使ったことを母親にしかられた小学5年生の少女(11)が自殺する事件が起き、社会に大きな衝撃を与えた。自殺したのはソウル近郊の京畿道水原(キョンギド・スウォン)市に住む少女。6月24日の夕方、自分の部屋で首をつっているのを2歳上の姉が見つけ、病院へ運んだが翌日未明に亡くなった。5月のネット利用料だけで20万ウォン以上になったことを母親にしかられ、それを苦に自殺したとみられている。

     この少女がはまっていたネットゲームとは、アバターと呼ばれるサイバーキャラクターを使ったコンテンツで、こんもキャラクターに有料でアクセサリーや服を着せて楽しむ、いわば「ネット着せ替え人形遊び」といえるもの。だが、今回問題になってしまったのは、電話番号のみで課金契約が成立してしまう手軽さだった。有線電話の060番号を使ったサービスを利用すれば、保護者の確認なしに、翌月の電話料金請求書に「情報利用料」という項目で料金が課せられる。 子どもたちが親の同意を得る必要がなく、コンテンツ提供会社も親の同意を得ているかどうかを確認する必要がないため、一部の子どもたちは、お金に対する意識が足りないまま、何気なく同サービスを利用しており、後に問題となるケースが多発している。

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     飲まず食わずでネットゲームに熱中しすぎて死亡したり、ネット世界のアイテムがリアルワールドで高額取引されたりネット詐欺が横行したりと、ネット先進国ならではの問題が噴出している韓国ですが、日本のゲーム業界はこの先例をどう捉えているんでしょうかね?日本でなぜネットゲームがなかなか根付かないのか?その理由はいくつかあるが、最大のネックになっているのはやはり課金システムにあると思う。最も一般的なクレジットカード決済では、カードを持てるのは大人に限定されてしまうし、安全上の問題もある。SSLなどで暗号化されているといっても、すべての情報伝達経路で情報が保護されているわけではないし、パソコン自体にキーロガーなどのスパイウェアが侵入していたらどうしようもないのだから… 安全上の不信感と敷居の高さが図らずもネットゲームを「子供の手の届かない」ものにしてきたのだが、ブロードバンド人口が1000万人を超えて、ネットコンテンツ事業もまだ大手のみだが軌道に乗り始め…日本でも猫も杓子もネットゲーム、の時代が来るのもそう遠いことではないでしょう。そうなった時、教育を完全に放棄してしまった現代日本の親たちは、子供たちにちゃんとネットのモラルと金銭感覚をしつけることができるのだろうか?ネットは無限の広がりを持った世界だが、その先にいるのは自分と同じ人間であって、その1つ1つにリアルワールドでの顔と生活があるということを忘れてはいけない。そもそも、ネットコンテンツで金儲けをしようという発想自体が無粋なことなのではなかろうか?


    ■mini Review

     【HR(ホームラン)】ゆ〜のす通信 / ゆ〜のす 
     限りなく商業単行本に近い製本を実現した「あずかんな大気」や、ひめくりカレンダーなど、数々のチャレンジで毎回驚かせてくれる、サークル:ゆ〜のす通信さんのサンクリ新刊、それが「HR(ホームラン)」です。タイトルは三谷幸喜脚本の舞台「HR」のパロディですが、その実態は「Wind -a breath of heart-」をあずまんが風にアレンジしたスクールコメディ本です。ゆ〜のすさんは、以前にも突発的に「君が望む永遠」の黒いコメディを描いたことがあったけど、あのノリだと思っていただいてよろしいかと。作者自身が「ファンは読まない方が身のためな一冊。必ず原作のイメージを損ないます。笑って許せるあなたは神」と言ってるくらいですから。

     なぜWindの同人誌というものがほとんど存在しなかったのか?それは、「Wind」というゲームはそれなりに売れたし、見た目はすごく良く出来たゲームだったけど、実際にやってみた人の大半はちゃぶ台をひっくり返してしまう演出上のマズさとクドさが満載だったからです。私もレビューで弾劾したものの、どうにも虫が治まらなかったのですが、この作品はそういう痛いところをピンポイントで突いて、なおかつギャグとして笑い飛ばしてくれました。おかげで胸の支えが取れたような気分になれました。ファン(信者)にとっては耳の痛いギャグかもしれませんが、諫言に耳を傾けるのもまた作り手の度量というものであり、こういうスタイルも同人ならではのもので「アリ」だと思います。

     【ドリマガ 7月11日号(vol.384)】ソフトバンクパブリッシング 
     特集「セクシーシーン48連発!」で大爆笑。いや〜これこそドリマガ!というべき天晴れなバカ記事ですな。倒錯しまくったエロバカネタでも、これだけ数を集めると「これもゲームのひとつの歴史」とさえ思えてしまうから不思議です。「ソウルキャリバーII」スタッフによる女体へのこだわり、PS2的にもギリギリだしナムコ的にもギリギリな「ゆめりあ」、セクシーさをアピールする長いコメントの片隅に「あと書き忘れたけど、バレーも楽しいヨ!」と申し訳程度に書かれたDOAX…最高です!

     ごほん、バカテンションはこのくらいしてし、真面目なお話に戻しましょう。「安売り情報局」では、「最終兵器彼女」が早くも6,800円→3,980円と暴落中とのこと。「ときメモ」とTVアニメスタッフによる会心作」という「よいしょコメント」がなお一層悲哀を誘います(素直に「予想以上に売れなかった」と言えんのですか?)。ソフマップの店頭では「萌えよ剣」が新品980円まで暴落したのにまったく売れてないんですけど…「シェンムーII」のようにいまだに初回生産版が多量に余っていて、680円でも買い手がつかないというのも、そこはかとなく哀れを感じてしまう。こういう「投げ売り」が起きてしまうのは、初回出荷さえしてしまえば後は野となれ山となれ、というゲーム会社本位の流通体質があるからです。商品単価が高い割に実質商品寿命が短いし返品も効かない。あまつさえ、大メーカーなどとの取引の現場においては、大作ソフトを入荷させてもらうためや、系列営業のノルマ達成のために、売れそうもないソフトを押し付けられたりすることもあるとかないとか…

     ユーザーとしてはソフトが安く買えるのはありがたいことだが、それによって業界全体が頭打ちになってしまって、小売店の経営を圧迫してしまうとすれば、素直に喜べない。現実に、私は今ではゲームを買っても遊ぶ時間がない。安さを求めて中古めぐりをすることもなくなってしまったし、未開封の積みゲーの数は増える一方… CESAは業界全体の市場規模がどうのこうのとか、ゲーム脳がどうのこうのとか調査している場合じゃないと思うぞ。こうして現実に、ゲーム購買の第一線を支える人たちのゲームスタイルの実態、そしてそこに埋もれている実質的なゲームに費やされる時間とソフトの飽和量について、適正な調査を行って警鐘を鳴らさなくてはならない時期なのではなかろうか?

     【週刊ファミ通 7月11日号(vol.760)】 エンターブレイン 
     「新ベストプレープロ野球」のテレビCMに起用されたのは、グラビアアイドルの森下千里。昨年度までeb!の広告塔として起用してきた小倉優子によるGBA版ベストプレープロ野球のCMがよっぽど評判が悪かったのか?などと在らぬ邪推をしてしまいます。「売れない」と分かったら自社製品でもスッパリ切り捨てて、まったくフォローしてくれないのがeb!の社風なのかねぇ…

     「USER'S EYE」のコーナーに苦言。「FE烈火の剣」のコメントの中の「槍込みがいがある」という表記は間違っていますよ。それに、「海賊のクラスチェンジがなくなったのが残念」とありますが、海賊も「覇者の証」を使えばちゃんと転職できます。このアンケート自体が発売後のほんの数日しか集計期間がないから、底の浅い評価や未確認事項の誤認が発生してしまうのは仕方がないことだが、そういうミスはちゃんと雑誌サイドでフォローしてあげるべきだろう!それに、最近のファミ通は、ライターも校正する人間もあまりにも字を知らなさ過ぎる。「誤植」というより「誤用」が多すぎる。まともに読める文章を書ける編集者はみなベテランばかりで、若手から光るものを持った人が誰も出てこない。ただのゲームが上手い人たちの集まりになっているのではなかろうか?これでは誌面がつまらなくなるのも無理からぬことじゃて…ふぅ(遠い目)


    ■COLUMN

     【コンフェデ杯でカメルーンのフォエ選手が突然死】
     フランスで開催中のサッカーのコンフェデレーションズ杯で、6月26日にリヨンで行われた準決勝カメルーン―コロンビア戦の試合の後半72分、カメルーンのMFマルク・ビビアン・フォエ選手(28)が突然、プレーと関係ところで意識を失って倒れ、担架で運ばれて心臓マッサージなどを約45分間受けたが、そのまま意識は戻らずスタジアムの医務室で亡くなった。長くフランスリーグでプレーし、昨シーズンからはプレミアリーグで活躍していたフォエ選手の突然の悲報を受け、3時間後に行われたフランスVSトルコでは試合前に黙祷が行われ、フランスの選手の中には泣き出してしまう選手もいたほど。この試合でゴールを決めたアンリ選手は、天に指を差すポーズでフォエ選手への哀悼の意を示し、フランスは試合には勝ったものの、そこに笑顔はなかった。

     サッカーの国際試合中に選手が亡くなるのは異例の事態で、その死因については心臓発作とされおり「試合前から気分がすぐれなくて薬を服用していた」といわれているが、異常気象による猛暑と高い湿度、そして1日おきの開催という過密日程、この2つの要素を無視する事はできない。給水タイムを設けないなど、大会運営側の気の利かない部分もあったようだし、最悪のピッチ状態だったし…いくらアフリカ人が暑さに慣れているといっても、彼らは何年もヨーロッパのプロリーグのスケジュール(秋→春)に合わせた体作りをしてきた。本来、6月というのはフルシーズンを戦い抜いて疲労の極地にある状態であり、この時期に行われる国際大会やW杯だけを見て世界の頂点を見た気分になっている人はとても御目出度い人だと言わざるを得ない。

     FIFAというのは巨大な利権団体であって、サッカーの普及と発展に対して特別に何かをしてくれるわけではない。現在も、2006年のW杯出場枠を巡って、開催国のドイツの意向を無視して36カ国への出場枠増加案を押し付けようとしたり、集客力のないコンフェデを日本で永年開催しようとしたり…余計な事ばかりしてくれています。今回のコンフェデで中1日の強行日程を組んだのも、大会会期を圧縮して経費削減を狙ったものだったし、フランスが製作する国際映像はカメラ数が少なすぎてゴールシーンを満足に追えないという有様…フランス戦をゴールデンで(EU時間)流したいから、この試合は真昼間に行われたわけで…せめて、これがちょっとは涼しくなるナイターの試合だったら、こんな悲劇は起きなかったかもしれないのに…

     カメルーンという国は、W杯の中津江村遅刻騒動で日本ではすっかり有名な国になってしまったが、その実態は、さしたる資源もなくサッカー選手として以外に成功する道はない貧困に喘いでいる国である。陽気な人が多いアフリカ人にしてはシャイで温厚なフォエ選手は、この試合のハーフタイムの時、チームメイトに対して「この試合は死んでも勝たなくてはいけない」と檄を飛ばしていたそうだ。彼らにとって国際試合とは、日本代表のような曖昧な帰属意識による誇りなどではなく、国の威信と個人の生活と未来を賭けた戦争なのだ。

     今回の事件は不慮の事故で片付けてしまって良い問題ではない。選手の疲労を無視した人災というべきものであり、それは一歩間違えば日本代表にアクシデントが起きていても不思議ではない状態だった。中1日を固定メンバーで戦う事がいかに無謀な事か…ジーコ監督は象徴としては有効かもしれないが、指揮官として有能であるとは言えないかもしれない(長嶋監督みたいなもの?)。いずれにしても、このような不幸な事故が二度と起きないよう、機構や運営側も選手のコンディションというものに細心の注意を払っていただきたいものである。


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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