5月14日からアメリカのロサンゼルスで開催されている、世界最大のゲーム見本市「Electronic Entertainment Expo」(以下、E3)」ですが、アメリカの景気減速と新型肺炎SARSを懸念する見方もあったが、今年も3大ハードメーカーを中心とした熱い戦いが繰り広げられています。雑誌に先駆けてネット速報を元に、ハードメーカーの動向を中心に最新動向を分析してみましょう。
SCE
世界王者SCEのカンファレンスでは、最後に壇上に上った次期ソニーグループCEO大本命と目される久多良木健社長に、「PS3発表か?」との期待と憶測が集まったが、発表されたのは、何とモニタ一体型プレイステーションのポータブルマシン「PlayStation Portable」(以下、PSP)であった。
「21世紀のウォークマン」として発表されたPSPは、メディアに直径6センチ容量1.8GバイトのディスクメディアUMD(Universal Media Disk)を採用し、480×272ドットの4.5インチTFT液晶を搭載。グラフィック能力として3Dポリゴン能力を有し,曲面ポリゴンを扱えるNURBSモデリングに対応。またMPEG4にも対応しており,ディスプレイは480×272ピクセルのワイドスクリーン(縦横比16:9)バックライト式TFT液晶を採用している。サウンド面ではPCM音源、3Dサウンド、ATRAC形式などに対応し、ステレオスピーカー、ヘッドホン端子を搭載。32ビットのCPUにUSB2.0,そしてメモリースティック(データはもちろん,ワイヤレス機能、GPSなどのメモリースティック型周辺機器にも対応)も装備できる。バッテリーは充電式リチウムイオン電池でさらにオプションで電源ケーブルも使用可能。アメリカ向けの資料によると,発売は2004年の期末になる予定。
その他の動きとしては、ネットゲームサービスに本腰を入れるため、北米でネットワークアダプタ同梱版PS2の販売を開始。日本でも6月12日からHDDユニットの店頭販売とHDD内臓モデルのPS2を市場に投入すると発表。同時に、PS2の北米価格を199ドルへと値下げし、マイクロソフトの値下げを牽制。
気になる次世代機PS3については一切リリースがなかったが、ソニーがIBMと東芝とで共同開発している次世代プロセッサ「CELL」が技術的にもコスト的にも問題の解決に時間がかかるため、PS2の延命へと戦略転換する必要があったのではないか---とアナリスト達は囁いている。
任天堂
任天堂のブリーフィングには、岩田聡社長が壇上に上がり、ゲームキューブの販売不調の要因を冷静に分析。携帯ゲーム機市場を完全独占してきたGBAについても、昨日電撃的に発表された「PSP」でソニーが挑戦してくる、まさに剣が峰に立たされた格好の任天堂だが、岩田社長は「ゲームはまだ終わっていない。本当の戦いはこれからだ。かつてこれほど任天堂がリスクを犯したことはないが、任天堂はけっして後退はしない」と、次世代機の開発を含めて任天堂独自路線の堅持を強調した。
また、岩田社長はネットゲームについて、「これだけ多くのネットワークゲームが登場しているのに、なぜ大儲けしている人がいないのか。私はネットワークゲームのビジネスモデルには、大きな欠陥があると考えている。毎月料金を徴収せず、売り切りでネットワークゲームを提供できないかを現在研究しているところだ」と、あくまでも独自路線で行くことを強調した。
その後は宮本茂を中心にして、「シムシティ」のウィルライト、「メタルギア」の小島秀夫、「バイオハザード4」の三上真司、ナムコ・セガと共同開発した「F-ZERO GC」、などのコラボレーションの成果を続々と発表。値下げについては発表されなかったが、6月から欧米ではゲームキューブにゲームキューブプレイヤーを同梱して価格据置で販売する実質的値下げを発表。GBAとの連結効果を狙ったばら撒き戦略を取るつもりのようだ。
また、任天堂は新たに東京にも自社開発拠点を開設してゲーム開発経験者の確保と引き抜きに本腰を入れるようです。サードパーティーの企画チェックも緩和されたのか、エロゲーメーカーのスクウェア(自称)エルフがGC参入を表明(「同級生3」「らいむいろ戦記憚」投入との噂)。おいおい、本当にそれでいいのか任天堂?
マイクロソフト
ゲームキューブと僅差で2位争いをしているXboxですが、すでに敗北を認めている任天堂とは違って、マイクロソフトはいつまでたっても強気です。営業赤字が前年同期比2倍の1億9,000万ドル(約220億円)に増大。売上高も同47.7%減の4億9,300万ドルと大幅減収なんですけどねぇ…ちなみに、王者SCEでさえ、経常利益は136億3,100万円。王者の2倍近い赤字を出しておいて、どこからそんな自信が湧いてくるのか、ビルの旦那の経営手腕を疑いたくなるというものです。
Xboxの米国価格を199ドルから179ドル99セントに引き下げ、日本でもXbox本体とXboxソフト1本、またはXbox本体とXbox Liveスターターキットを購入した人に対し、現金で6,800円がキャッシュバック(銀行振り込み)されるキャンペーンを発表し、テコ入れに躍起になっていますが、非常に面倒な手続きが必要なキャッシュバックというキャンペーンは、すでにセガがサターン時代に失敗しているんですけど…もう少し、日本のゲームの(販売現場の)歴史を勉強して下さいな。
任天堂から移籍してきたレア社(ドンキーコングの開発担当)については、元々日本での認知度はゼロに等しかったので何の感慨もありません。Xboxライブも低いハード普及率がベースでは、マイナータイトルでは対戦相手が見つからないという事態まで発生しているようだし…大手では3大ハード同時発売も珍しくはなくなってきているし、PS2のネットサービスが本格普及しくきたら、もうXboxでなくてはならない理由なんて何も無く、なんだか「鉄の箱」と「水着」だけでこのまま終わってしまいそうな気配が濃厚です。Windowsユーザーから巻き上げた血税でこんな道楽をいつまで続ける気なのか…
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