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週刊GM研 Vol.91
2003/05/03


【News Headline】
  • セガの合併問題、9日にも結論か?
  • 【mini Review】
  • CD  : 
  • True Love Story Summer Days, and yet...
    プレキャラクターシリーズ Vol.1 & Vol.2
  • 雑誌 : 
  • ドリマガ 5月9日号(vol.380)
  • 雑誌 : 
  • 週刊ファミ通 5月9・16日号(vol.752)
    【COLUMN】
  • コミックレヴォリューション33の考察とミニレビュー

  • ■News Headline

     【セガの合併問題、9日にも結論か?】 
    http://www.dengekionline.com/news/200305/02/n20030502seganamco.html

      ナムコは5月1日、セガに対して5月9日を期限とした、合併提案についての意向を確認する書面を提出したことを明らかにした。ナムコでは、この状況に対して「企業経営において今、両社が全力を傾けるべきは、一刻も早く、互いの経営に対する意志を明確にすること」とし、ナムコ、セガ両社の経営の安定性を築くためにも、改めて意向を確認するに至ったようだ。なお、この件についてセガ広報部では「これまでと変わらず、引き続き検討していく」とコメントしている。

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     マイクソフトによるセガ株買収の噂が流れ、合併申し入れの発覚以来、株式市場でもナムコ株の下げ止まりの気配が見えないこの状況下で、ナムコが痺れを切らせて「白黒はっきりしやがれ」と期限付きの回答を要求した格好であり、市場側は冷静に受け止めているようです。新聞筋によると、ナムコ側からの提案はセガを存続会社とする合併とされていたが、これはチト疑わしい情報だと思う。確かに売上高ではセガの方がナムコよりも上だが、セガが抱える莫大な負債と健全経営のナムコを比較すれば、どちらが吸収される側かは一目瞭然のはずだ。もし事実だとすれば、今度はナムコ社内からの猛反発も予想される。サミーを立てればセガが指向してきたクリエータ手動の経営体制にメスを入れる事になり、ナムコを立てれば独禁法抵触の恐れもあり、マイクロソフトを立てれば売国奴扱いされても文句は言えない。行くも地獄、行かぬも地獄。セガがどの道を選ぶにしても衝突は避けれないのなら、一度すべてを見直して、速やかに決断し、再出発を計るべきだろう。セガという組織を解体し、ブランドと精神を開発分社が引き継ぐ、少し前ならそんな方向性も可能だったが、今となっては詮無きこと… さて、どうなることやら…


    ■mini Review

     【True Love Story Summer Days, and yet... プレキャラクターシリーズ Vol.1(楠瀬緋菜) & Vol.2(桐島里未)】 
     7月24日に発売予定のTLSシリーズ最新作「True Love Story Summer Days, and yet...」にさきがけて、登場人物のプレキャラクターシングルCDのリリースが始まりました。とりあえず第1弾の「楠瀬緋菜」と第2弾の「桐屋里未」を入手して聴いてみたのですが… 4曲(1曲はカラオケなので実質3曲)しか入っていないのに、2100円(税抜)とはコストパフォーマンスが悪すぎです。「豪華CD-EXTRA仕様」と帯には書いてありますが、でも本来、それらは普通のゲームだったら公式HPとかで自由にダウンロードできるようにしてあるのが普通であり、商品としての付加価値として使うのはいかがなものいかと…しかも、キャプチャームービーの画質が悪すぎです。こんなのに2100x6=12600x1.05=1320円、実にゲーム本体の2本分を発売前に貢がねばならぬとは…(その上OVAまで…)

     歌については、声優陣の発表の時点で端からまったく期待していなかったので、特に感想はありません。いや、桑名さんと笹島さんの歌が下手だと言いたい訳ではなく、キャラクターがまだ遊び手に馴染んでいない段階で「イメージソング」と言われてもピンと来ないんですよ。イメージを喚起するようなインパクトのある楽曲ではないし、KSS系で絶賛?売り出し中の声優さんの割には「色」が出ていないような気もする…(それがいい方向に作用してくれればいいのだが…)

    追記:アニメイト日本橋では、Vol.1が山のように余りまくっています。Vol.2に至っては発売日なのに新譜コーナーに置かれていないという有様です…本当に大丈夫なのか?

     【ドリマガ 5月9日号(vol.380)】ソフトバンクパブリッシング 
     2003年GM研大賞の最優秀作品賞の最有力候補であり、「ドリマガ新・全ハード読者レース」でも順調に高位置をキープしている「魔界戦記ディスガイア」ですが、2月〜3月の話題作に選ばれて読者のレビューコメントが掲載されていました。「2Dドット絵でていねいに描き込まれたキャラクターがちょこまか動いてくれるし、レベルアップした時のガッツポーズと心地よい音、芸の細かいアクションで数字だけでなく目に見えて強くなってく、SRPGの醍醐味を全て兼ね備えた名作」ほほう、なかなか良い着眼点のレビュアーではないか。(奈良県・GM研・26歳)…はぃ?って、自分で書いたんかいっ! すっかり忘れていたけど、気まぐれにネット投票した時に、GM研に掲載したレビューの一部を抜粋して送った事が1回だけありました。スペースの都合上、原文を多少要約してあったので、名前を見るまで自分が書いた文だとは気付きませんでしたよ。過去に自分か書いた文に触発されてしまったようで、せっかくのGW10連休なのに未開封の積みゲーの山ではなく、打倒超魔王(Lv4000)を目指して「ディスガイア」(累計プレー時間:120時間)のやりこみを再開してしまいました。ああ、楽しいけど止められん!

     特集2「今、キャラクターゲームがアツい!」では、「最終兵器彼女」「ちょびっツ」「ワンダバスタイル」「頭文字D」ラブひな」「まほろまてぃっく」が紹介されていました。こういうキャラゲーというものはファンアイテムに過ぎず、システムやゲーム性が完全に度外視しても構わないという風潮があったし、実際にその大多数は内実が伴うものではありませんでした。しかし、今回紹介された5本は、ちゃんとくして特集された記事を読んでみると、ゲームとしてちゃんと見れる程度の内容を備えているようです(ゲーム性の向上が必ずしも原作との相乗効果に結びつくとは限らないのが、キャラゲーの難しいさでもあるわけだが)。でも、「あずまんが大王アドバンス」が初週3,000本とか、「魁!クロマティ高校」が初週2,000本だったりと、キャラゲー業界の冷え込みも相当なものです。原作との相乗効果を生み出すような新しい切り口を持った作品が出現しなければ、このまま滅びの運命からは逃れられない?

     【週刊ファミ通 5月9・16日号(vol.752)】 エンターブレイン 
     「パワプロ班」と呼ばれる攻略部隊を持つファミ通だからこそできる「パワプロ10」開発者インタビューが非常に面白かった。谷渕プロデューサーが「”もっと野球らしく”が10のテーマで、スイングした時の感覚とか、球の軌道や回転しかたとか、グラブの出し方とか、全部再構築しました」と言うものの、画面写真ではそんな地味な変化は分かりづらいので、広報も困惑しているくらいです。しかし、そこはさすがはパワプロ班、しっかりと文章でその微妙な感覚を表現してくれました。パワプロのアクション部門(野球本編)から退いて久しい私だが、ここまで聞かされてしまっては現役復帰せざるをえないだろう。私はコナミが大嫌いだが、小島秀夫監督作品(監督の人格は含めず)とダイヤモンドヘッド(パワプロ開発チーム)とメジャーA(ウイイレ開発チーム)だけは例外です。サイドビジネスで赤字を出したり評判を落としたりして、本業のゲーム開発の現場に悪影響を出さないようにしていただきたいものです。


    ■COLUMN

     【コミックレヴォリューション33の考察とミニレビュー】

    会場評

     今回から会場を池袋から東京ビッグサイトに移したわけだが、前回の総申し込み数を上回る約4000SPへと規模を拡大し、カタログも約1.5倍に増量になりました(価格は据え置き)。りんかい線が全線開通したといっても、交通の利便性の低下は否めない。早朝組みの話によると、最初から館内通路に引き込んで行列を形成していたらしく、東と西をつなぐ連絡橋通路は人で溢れかえって空気が澱みきっていました。今までは狭い敷地で何回も行列を折り返し4館に分散させていたので全体像をつかめなかったのだが、よくもまあ、こんな人数があの狭い池袋の会場に収まっていたものだと、今更ながらCレヴォスタッフの優秀さを痛感。コミケでは移動する事さえ一苦労だった最大手の葉鍵系や月姫エリアも、通路の間隔が広くて人口密度も高くなくて非常に移動しやすかった。今までは4館に分散して入場制限もあり会場移動が難しかったため攻略ルートの設計が重要だったが、単館になって全サークルが横一線スタートになったため、いつもと勝手が違って戸惑った方も多かったみたいですね。外周が使えるので大手の混雑のとばっちりを喰うこともなかったが、会場比のスタッフ数が少なすぎたようで、オープニングラッシュで突撃ダッシュする一般参加者を制止する声も聞こえなかったのは、今後の課題と言えるだろう。でも、次回からはまた池袋に戻ってしまうのが残念です。

     ちなみに、同日、東4・5・6ホールでは、Cレヴォと同じ団体が運営する「コミックルネッサンス」という創作系の即売会も行われていたようですが、5000SP募集と公言している割にカタログが100円だったりして「ダメな空気」が漂っていたわけですが、聞くところによると「来場者よりもスタッフの方が多いくらいだった」という閑古鳥っぷりだったようです。やはり餅は餅屋。赤豚が青豚に偽装して男性向けに復帰しようとして軽くあしらわれたように、レヴォも露骨に助平根性を出していると信用を無くしかねないですよ。

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    ジャンル評

     ジャンルとしては、「マリア様がみてる」の躍進が目覚しい。流行に敏感な準大手サークルが続々と参戦し、ジャンル登録していないサークルもコピー本を製作したり、ネタとして使ったりしていて、そのうち単独ジャンルコードが出来てしまいそうな勢いです。しかし、何しろ本編はコバルト文庫なので、その手のノリが駄目な人は体が受け付けないみたいです。私も同人誌のネタとしてしか本編を知らないのですが、面白い部分を抽出したネタばかりを先に読んでしまったので、今更本編を読んだら期待しすぎもあってガッカリしてしまうかもしれない。それが怖くて、未だに本編はチェックできないでいます。流行に乗り遅れるというのは、こういうことなのか…

     ネット廃人を量産中の「ラグナロクオンライン(RO)」も続伸を続けているが、サーバーが落ちていても利用料金はちゃっかり徴収するガンホー(ネット用語では「癌呆」)の運営体制への不満がもう爆発寸前であり、今後のなりゆきによっては減少に転じる可能性も否定できない。ROの同人誌は、ネタが激しく被ってしまうし、専門用語が多すぎて何がどう面白いのか分からない事が多くて、同人からの啓蒙にはあまり役に立ちそうにありません。むしろ敷居の高さを感じてしまうだけです。

     最大手ジャンルの葉鍵系も、さすがにネタ的に苦しくなってきたようで、オリジナル路線を突き進んでいるサークルが多くなってきたようです。私としてはその方が面白いわけですが…浮かばれないのが、いつまでたっても発売されない「CLANNAD」で申し込み続けているサークル達です。ギャルゲー界のドラクエにも困ったものですなぁ…Leafも「うたわれるもの」が作品的には評価されたものの、失墜した信用を回復するまでには至らなかったようで、過去の遺産に頼らざるを得ない状況が続いています。両社ともに言えることですが、どうしてゲームを出さないゲーム会社をブランドを神聖視するのか、私には理解できませんな。

     TYPE-MOONが商業化宣言をしたことだし、月姫ジャンルの隆盛は今回がピークかもしれませんね。いや、今後は葉鍵系に並ぶ「月姫系」としてジャンルコードとして存続するのかも知れません。月姫同人で名を上げたサークルも活動の延長線上として「Fate」同人に流れるだろうし、次回作「Fate/stay night」は同人界からの期待という追い風を受けているので、商業的にも成功すると予想されます。しかし、それが同人の枠内でのヒットに止まる「メジャーマイナー」になってしまっては意味がない。誰に対して、何を目的とするか、それを銘菓うにしないと、商業化宣言をした意味がなくなってしまいます。商業でやる以上、きちんとしたプロモーション戦略を示していただきたいものです。

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    注目作品ミニレビュー

     「がんばれ美月さん!」 美月亭
    今回最大の大当たりの1冊です。ひとことでジャンルと内容を説明するのは難しいのですが、作者本人の言葉を借りると「妄想絵日記浪漫譚」ということになるみたいです。これは、HP「美月亭」でほぼ毎日更新されているWEB絵日記「がんばれ美月さん」を本にまとめた物です。これはあくまで実在する人物とは一切関係がない「はず」ですが、あまりにリアルすぎる修羅場の進行と逃避と資金繰りは、同人に携わる者なら誰しも通った道であり、つい目を細めてしまします。でも、さすがに預金通帳は常に△(つまりマイナス)、家賃を印刷代に使い込んでしまった、「貯金は計画的に、同人は犯罪的に」という件(くだり)は笑うに笑えませんが、口コミでジワジワと人気が出てきているしショップ委託も好調なので、そのうち活動も軌道に乗る…はずです。その経過も含めて暖かく見守って行きたい逸品です(TLD制作進行に余裕ができたら正式レビューも書くかも?)。

     「Girl's Secret!」 
    イベント前日、同僚のI氏とカタログの最終チェックをしている時、私が「明がときメモGSの本を出すらしい。しかもギャグらしい。」と言うと、ものすごく驚いていました。確かに、明はときメモ本や久遠本の古豪サークルで通ってきたし、ギャグというイメージもないから無理からぬ話だけど。私も、ときメモGSの本編はやったことがないのだが、サギリックのGS本(ギャグ)を読んでいたので、あのゲームがギャグとして成立する余地が十分にあることは分かっていたんです。でも、明のGS本には予想を遙かに超える面白さがありました。コナミ(&メタルユーキー)が大嫌いの私でさえ、うっかりゲーム本編をやりたくなってしまうくらいです。主人公(つまり女の子)が主役でありネタの中心という構図であり、「主人公=目線隠し」という文法を逆手に取ってギャグキャラに仕立て上げる事で、一般的なギャルゲー愛好者に対しても「女性向けゲーム」という違和感をまったく感じさせません。なるほど、こういう楽しみ方もあんるですねぇ〜

     「アスカ三昧」 電波塔 / PEPPY ANGEL / Monkey's taste
    エヴァのアスカ本を中心に活動してきた、電波塔(もりのけつね)・PEPPY ANGEL(桜月りん)・Monkey's taste(曙はる)、この3つのサークルの合同誌、それが「アスカ三昧」です。普段はシリアスなシリーズものを書いているその反動もあり、今回の企画モノ読み切りは非常にリラックスして描けたようですね。この3氏共通のファンである私にとっては、それぞれの作風を生かしたそれぞれのアスカが生き生きと描かれている様は、何度読んでも読み飽きないですねぇ。桜月さんの(白黒でも感じられる)色彩豊かな絵柄と自由奔放なアスカも好きだし、曙はるさんのギャグテイストなタッチと素直じゃないアスカも好きだし、もりのけつねさんの墨絵っぽい画風と愛想のないアスカも好き。そんなアスカ好きなら大満足の1冊といえるでしょう。

     「勝手に祐一」 すたじお紅茶館
    原作の自虐的でアブノーマルなギリギリの芸風が大好きな私は、イベントでは必ず「改蔵」本をチェックしてきたわけですが、納得できる作品には1冊たりと出会えませんでした。しかし、今回ようやく「これは!」という1冊にめぐり合えた気がします。やはり、原作がとっても「アレ」なので、正攻法でパロディにしてもしょうがない。Kanonのキャラクターをベースにして、ギャルゲー界のタブーを改蔵の肝とも言うべき小ネタとして効果的に使用しています、(例:裏切られた人々の痛み「2003年夏コミをCLANNADで申し込んでしまった37サークルの皆様(うちひとりは友人)」、ダメ反逆者の数々「鯖落ちしても金は取る癌呆」「同人活動否定で某板で叩かれても自分のアニメでは「ヲマエモナー」」「年に何も出なかったくらいでがたがた騒ぐな。我々は2年も待たせたのだ!」、フラグ管理失敗「新刊落ちました(でもラグナはやってました)」、etc...)。その上、ぐだぐだなオチまで見事に再現しています。奇跡的な一発芸の切れ味を是非お楽しみください。


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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