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かつて、任天堂の64DD用ゲーム「MOTHER3 キマイラの森」として開発をスタートし、その後ニンテンドウ64用ゲーム「MOTHER3 豚王の最後」として作り直され、一度は完成を迎えていたにもかかわらずお蔵入りになってしまったあの問題作「MOTHER3」が、現在ゲームボーイアドバンス用ゲームとして開発中であることが、GBA用「MOTHER1+2」の発表と併せて、任天堂と糸井重里氏から発表されました。
宮本茂・岩田聡・糸井重里の3氏による、あの衝撃の発売中止宣言から早幾年…「MOTHER3」の開発を担当していたHAL研究所出身の岩田さんが、任天堂の企画室長を経て任天堂の社長に大抜擢された日から、MOTHER3の復活を心のどこかで期待し続けていたわけですが、本当に実現してしまう日が来ようとは…しかも、GBA用で作っているとは驚かされました。この復活劇に対して、糸井重里氏のHP「ほぼ日刊イトイ新聞」には大きな反響が寄せられました。いかに多くのファンにこのシリーズが愛されて来たか、どれほど「3」を待ち望んでいたかをが如術に現れていると言えるでしょう。
かくいう私も、シリーズ初代のファミコン版を、小学校時分に友達から借りたソフトなのにクリアするまで遊び倒してしまった唯一のゲームであり、ドラクエでもFFでもないパンクでポップなノリは、幼少期の私に多大な影響を与えました。移動距離の取れないホーリーローリーマウンテンで十字キーを激しく回転させて無理やりテレポートしてみたり、フランクリンバッチは2個しか手に入らないため、PKビームγで確実に殺されたり(通称:ピカピカ、ドゥーン)、不良のティディが歩くと画面が揺れたり、斜めに歩くと倍速で歩けたり、ラスボス相手に1時間以上戦い続けてようやく「歌う」のコマンドに気が付いたり…逸話を挙げたらそれこそキリがありません。
新作の「3」が、ハイエンドのGCではなく、敢えてGBAをプラットフォームに選んだ英断には大きな拍手を送りたいと思います。そうでなければ、お蔵入させて多くのファンを嘆かせてまでして「MOTHERらしさ」を追い求めた意味がなくなってしまいますからね。美麗映像とインパクト至上主義に陥り、ハリウッド映画産業と同じように中身の伴わない誤った進化を続けているゲーム業界の潮流…これに対して、任天堂が唱える続ける「ゲームはおもちゃ」という理想を貫くための象徴的な存在という、重大な使命を帯びた作品となることは間違いないでしょう。
かつて中村光一氏は「ゲームとは、どこまで削れるか、それがすべてだ」とゲーム作りのあるべき姿を語っていましたが、しかし、現実にはこの約10年、ゲームは3Dの魔法にかっかて膨張の一途を辿ってしまいました…その夢から覚めた任天堂と糸井重里が、どんな作品を見せてくれるか大いに注目したいと思います。
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