Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.90
2003/04/19


【News Headline】
  • 公正取引委員会、野球ゲーム独占に対してコナミに警告
  • ナムコがセガに対し、合併を前提とした申し入れを!
  • 【mini Review】
  • 研究本
  •  : 魁!クロマティ高校入学案内
  • 漫画
  •  : ドールマスター(1〜4)
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 5月2日号(vol.750)
    【COLUMN】
  • MOTHER3、GBAで復活!

  • ■News Headline

     【公正取引委員会、野球ゲーム独占に対してコナミに警告】 
    http://www.dengekionline.com/news/200304/18/n20030418konami.html

      ゲーム大手メーカーのコナミは、2000年4月から日本野球機構と独占契約を交わし、実名選手が登場するゲームの商品化権と、他社が野球ゲームを発売する際にそれを許可するサブライセンス権を獲得したが、他者へのサブライセンスの許諾の際、許諾に時間をかけたり許諾に応じなかった疑いがあるとして、公正取引委員会はコナミに対し近く文書で警告する方針を固めた。なお、日本野球機構は2002年10月に、2003年4月以降コナミとの契約を更新しないことを発表しており、すでに独占契約は解除されている。

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     うーん、本当に今更という感じですが、どんなに時間が経っても悪事が悪事である事には変わりがない。権利は先行投資というリスクを伴う正当なビジネスだから権利で儲けるなとは言わないが、他社を妨害し業界の健全な発展を阻害して自社製品を保護するとは言語道断、コンゴ動乱!(古のギャグ) 今回はまだ警告の段階なので、独占禁止法による法的罰則の適用対象にはならないとは思うが、問題が風化してからでないと結論が出ない日本の司法体制には大いに問題があるといえるだろう。それに、取り締まるべきものはもっと他にあるような気がするのだが…

     【ナムコがセガに対し、合併を前提とした申し入れを!】 
    http://www.dengekionline.com/news/200304/17/n20030417namcosega.html

     ナムコがサミーとの事業統合を控えるセガに対して、合併を前提とした申し入れを行っていたことが明らかになった。セガはこの件に関して「ナムコから合併を前提とした申し入れがあったことは事実」と認めつつ「セガでは、先日発表したサミーとの事業統合を協議中であり、今回のナムコの申し入れを含め、取締役会などで慎重に議論・検討を進めていく」とコメントしている。セガとの事業統合を2月に発表したサミーでは「特にこれまでそのような話は聞いていない」としながらも「5月末に統合契約書の調印、10月1日に統合という流れに変化はなく、順調に進めている」と話している。

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     いや〜、仕事場の昼休みにこのニュースをネットで知ったときは、我が目を疑いましたよ。またガセネタか!と疑いましたが、ナムコがHP上で公式に合併打診の事実を認める声明を出していたので、このニュースがホンマモンだと確信したのですが… まぁ、セガとサミーの事業統合については、事業統合発表後もイクロソフトによるセガ買収疑惑が持ち上がったり、サミーの株価が急落したり、セガの株価はピクリとも上向かず危機的低空飛行を続け…そもそも、この事業統合自体がセガ社内の幹部クラスさえも知らされていなかった寝耳に水のものだったし、実務レベルでの統合折衝が暗礁に乗り上げているという噂も流れていました。その混乱と間隙を衝いて、ナムコが逆転を狙って情報をリークしたと考えるのが自然というものでしょう。

     一度は正式に決まったサミーとの縁談を「協議中」などとトーンダウンしているコメントから推し量るに、この縁組が破談になる可能性は極めて高いと言えるだろう。石原都知事の再選によって本格的に実現する「東京カジノ構想」特需の利権をコナミに独占されてたまるか!という狙いはサミーもナムコも変わらないわけだが、セガにとってはサミーとの統合が思ったほど市場にインパクトを与えられなかったことで、不安と疑念が生まれてしまうもの無理からぬ話である。ゲーム屋というよりパチスロ屋のサミーにみすみす経営を乗っ取られるよりも、同じゲーム屋で(実態はともかくとして)イメージ的には対等の合併が望めるナムコから声をかけられば真剣に検討したくなるものだ。

     ただし、この問題は、セガとサミーが属するCSKグループの枠組みや、セガとナムコの社風の違いなど複雑な要因が絡んでくるため、スクウェア・エニックスのように事がスムーズに運ぶとは思えない。いずれに転ぶにしても、セガの自力再建が不可能であることに変わりは無く、吸収合併されるのは時間の問題です。願わくは、セガのブランドとスピリットを伝え残す事の出来る選択をしていただきたいものです。


    ■mini Review

     【魁!クロマティ高校入学案内】講談社 
     なんだかえらいタイトルですが、要するに講談社お得意の自社研究本です。サイズは普通の単行本と同じサイズですが、これでもかと言わんばかりに、クロ高特有のおバカでシュールで何の役にも立たない情報がてんこ盛りです。巻頭カラーの「どうして誰も止めなかった!?特撮!クロマティ高校」といい、「課長バカ一代」から登場しているメカ沢新一(旧名:ボブ)の徹底検証では、「読者どころか編集長にも知らせないまま載せちゃった」といういわくつきの特別読み切りを単行本初収録し、なぜかヤングアッパーに掲載された「メカ沢さん」までも収録。世界最強のものぐさ漫画家:野中英次が2万字もしゃべってしまったインタビューでは、のなーの投げやりさ加減が大爆発しています。

     (メカ沢について)ペン入れはアシスタントにやらせることあります。あれは誰が描いても同じだから。(四天王について)あれはたまに出すからおもしろいんだよ。忘れた頃に思い出す。もう忘れてたけど。(担当)四天王は5人なのに脚が11本ある。(のなー)脚を数えるってすごいねぇ。その他にも、第66話と67話の順番を間違えて掲載してしまったなどなど…あまりにもバカバカしい(褒め言葉)その内容は、クロ高ファン必携の書と言えるでしょう。

     【ドールマスター(1〜4)】井原裕士/電撃大王 
     付録目当てに時々電撃大王を買ったときには読んでいたし、泥の沼組の同人誌「ドールマスター7つの秘密」も読んでいたし、井原裕士氏のWEB日記同人誌まで読んでいたのに、なぜか本編の単行本に手を出すことがなかった「ドールマスター」ですが、何を思ったのか突然4巻まとめて衝動買いしてしまいました(いや、今まで本編をちゃんと読んでいなかったのか不思議でならないのだが…)。

     で、感想はというと…週刊GM研の原稿の締め切りもCレヴォ合わせのコピー本の作業も押しているにも関わらず、4巻一気に読んでしまいました。これは大当たりですぞ!「アマチュアフィギュアを題材としたホビー系マニアックラブコメ」という、いかにもディープでオタクなジャンルに先入観を持ちすぎていたのだが、作者本人が「バカまんが」と言っているように、ちゃんとコメディとして面白いし、登場人物のキャラも立っているし、ラブコメとしてもドキドキできます。そうして普通の漫画として面白おかしく読んでいたら、いつの間にか危うくフィギュアのディープな世界に引き込まれそうになってしまいました。面白いだけに危険です。堅気の道を踏み外したくない方は十分に気をつけましょう。(結局は本人の素養次第ですが)

     【週刊ファミ通 5月2日号(vol.750)】 エンターブレイン 
     「トゥルーラブストーリー サマーデイズ アンド イエット...」(以下、サマデ)の第3報が掲載されていました。4月末からはキャラクターCDの発売も始まる事だし、どうやらそのタイミングに合わせて、4号おきに継続して定期的に情報を出していくつもりみたいですね。今回はこれといって新情報はなくて、これまでのおさらいといった感じなので取り立ててコメントはありませんが、発売日が7月24日に決定したみたいですね。本当にこの日に出せるなら、なんとか夏コミには「サマデ」のファーストインプレッションを間に合わせる事も可能です。TLDのβ版に向けて最後の追い込みの時期と重なってしまうのがなんとも痛いのだが… (それより、未だに「期待の新作TOP40」にかすりもしないのはなぜだろう?御用雑誌でこの体たらくでは先が思いやられますな…)

     「ファミキング」内のコーナー「ゲーマー裁判」で、「クオリティアップのための発売延期の是非を問う」が非常に興味深かい内容でした。「情状酌量の余地あり」と回答した側の「発売日を守るためにバグを見逃したら本末転倒」という意見はもっともだと思うし、「情状酌量の余地なし」と回答した側の「何をどうクオリティアップするのか明確にして欲しい」という意見ももっともだと思います。判決では「メーカー、ユーザー、双方がお互いを叱咤激励するような関係を目指してもらいたい」と結んでいるが、当のeb!自体はどうんなんですか?とツッコミを入れずにはいられないのが、トゥルラーの悲しい性と現実なんだけどなぁ…


    ■COLUMN

     【MOTHER3、GBAで復活!】
     http://www.1101.com/MOTHER/index.html

     かつて、任天堂の64DD用ゲーム「MOTHER3 キマイラの森」として開発をスタートし、その後ニンテンドウ64用ゲーム「MOTHER3 豚王の最後」として作り直され、一度は完成を迎えていたにもかかわらずお蔵入りになってしまったあの問題作「MOTHER3」が、現在ゲームボーイアドバンス用ゲームとして開発中であることが、GBA用「MOTHER1+2」の発表と併せて、任天堂と糸井重里氏から発表されました。

     宮本茂・岩田聡・糸井重里の3氏による、あの衝撃の発売中止宣言から早幾年…「MOTHER3」の開発を担当していたHAL研究所出身の岩田さんが、任天堂の企画室長を経て任天堂の社長に大抜擢された日から、MOTHER3の復活を心のどこかで期待し続けていたわけですが、本当に実現してしまう日が来ようとは…しかも、GBA用で作っているとは驚かされました。この復活劇に対して、糸井重里氏のHP「ほぼ日刊イトイ新聞」には大きな反響が寄せられました。いかに多くのファンにこのシリーズが愛されて来たか、どれほど「3」を待ち望んでいたかをが如術に現れていると言えるでしょう。

     かくいう私も、シリーズ初代のファミコン版を、小学校時分に友達から借りたソフトなのにクリアするまで遊び倒してしまった唯一のゲームであり、ドラクエでもFFでもないパンクでポップなノリは、幼少期の私に多大な影響を与えました。移動距離の取れないホーリーローリーマウンテンで十字キーを激しく回転させて無理やりテレポートしてみたり、フランクリンバッチは2個しか手に入らないため、PKビームγで確実に殺されたり(通称:ピカピカ、ドゥーン)、不良のティディが歩くと画面が揺れたり、斜めに歩くと倍速で歩けたり、ラスボス相手に1時間以上戦い続けてようやく「歌う」のコマンドに気が付いたり…逸話を挙げたらそれこそキリがありません。

     新作の「3」が、ハイエンドのGCではなく、敢えてGBAをプラットフォームに選んだ英断には大きな拍手を送りたいと思います。そうでなければ、お蔵入させて多くのファンを嘆かせてまでして「MOTHERらしさ」を追い求めた意味がなくなってしまいますからね。美麗映像とインパクト至上主義に陥り、ハリウッド映画産業と同じように中身の伴わない誤った進化を続けているゲーム業界の潮流…これに対して、任天堂が唱える続ける「ゲームはおもちゃ」という理想を貫くための象徴的な存在という、重大な使命を帯びた作品となることは間違いないでしょう。

     かつて中村光一氏は「ゲームとは、どこまで削れるか、それがすべてだ」とゲーム作りのあるべき姿を語っていましたが、しかし、現実にはこの約10年、ゲームは3Dの魔法にかっかて膨張の一途を辿ってしまいました…その夢から覚めた任天堂と糸井重里が、どんな作品を見せてくれるか大いに注目したいと思います。


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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