Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.81
2003/02/15


【News Headline】
  • ネット仲間の男女3人、一酸化炭素中毒集団自殺
  • 【mini Review】
  • ゲーム機
  •  : ゲームボーイアドバンスSP
  • 雑誌
  •  : ドリマガ 2月28日号(vol.375)
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 2月28日号(vol.741)
    【COLUMN】
  • 連載:ギャルゲーは倒れたままなのか?(第1回)

  • ■News Headline

     【ネット仲間の男女3人、一酸化炭素中毒集団自殺】 
     2月11日午後、埼玉県入間市下藤沢のアパート1階の空き室で、近くに住む無職男性(26)と若い女性2人が倒れ、死亡しているのを栃木県内の女子高校生(17)が発見、119番通報した。室内には七輪が4個置かれ、窓や部屋の入り口は粘着テープで目張りがされており、一酸化炭素中毒で死亡したとみられている。3人は自殺志願者が集まるインターネットの掲示板を通じて知り合ったという。掲示板には、昨年12月9日に男性が「心中相手を探しております」「練炭・コンロ・睡眠薬・密封できる部屋。すべてそろえ終わりました」と書き込みがあった。また、12月14日には同名で「受付終了」とする書き込みがあった。昨年10月にも同様の集団自殺が起きたが、3人はこの心中を参考にしたらしい。自殺志願者を募る掲示板には「七輪で練炭をたいて窒息死すると眠るように死ねるらしい」という書き込みもある。

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     …世も末ですなぁ… ネットで知り合っただけの人間と死をともにしよう、という発想がどうして湧いてくるのか不思議でならない。私は無神論者なので死後の世界も輪廻転生も天国も地獄も信じていません。だから「死」が特別に神聖なものだとは思いませんが、だからと言って、見ず知らずの人間と死ぬ時まで一緒にいたいとは思いません。それに、「苦しまずに死のう」という考え方が気に入らない。かつて、文豪:太宰治は生前、何度も入水自殺を図ったが簡単には死に切れなくてもがき苦しんだ。その苦悩と狂気を太宰は作品にぶつけたように、そのようにして、人は死に向き合うことで何かを掴むことがある。しかし、今回の事件の彼らは生きることから逃げて、死の苦しみからも恐怖からも逃げて、ただ単に楽な選択をしてしまった。ネットがどうのこうの以前に、これは人間として大切な何かが現代人に欠けてしまっていることなのではないだろうか?


    ■mini Review

     【ゲームボーイアドバンスSP】 任天堂 
     折りたたみ式とフロントライトを採用したゲームボーイアドバンスの上位機種「ゲームボーイアドバンスSP」を購入しました。私はセブンイレブンに「FFT-A 同梱版」を予約開始日に予約していたので無事に購入できましたが(予約販売分は予約開始から5日間で完売してしまったらしい)、一般販売分は即日完売であり、当分の間は品薄状態が続きそうです。

     さて、GBA-SPの実際の使用感ですが…まずはその圧倒的な小ささに驚かされます。その小ささと軽さは、ほとんど携帯電話感覚です。液晶が明るくなった効果は、パッと見では分かりにくいかもしれないが、これまで最適の視野角が非常に狭かった事に比べれば、SPの視野角は確実に広くなっています。むしろ、その効果が発揮されるのは光量不足の場面でしょう。

     いくら視野角が広くなったとは言え、最適な視野角は限られています。その角度が従来よりも浅くなって、コントローラ面を地面に対してほぼ水平にしなければならないので、電車などの公共の場でのプレーにはあまり適していないのかも知れない。それに、LボタンとRボタンの作りが少々雑なのが気になるし、GBAの弱点だったサウンドの貧弱さも改善されていないし、ヘッドホンで音を聞くためには別売の変換端子が必要、という仕様が解せない。

     仕様では「約3時間の充電で連続約10時間使用可能」とありますが、この数字は電池式のGBAに比べて少ないと短いと感じる人もいるかもしれないが、実際1日に10時間連続して屋外でゲームを遊ぶことなんて普通の人はないから問題ないでしょう。しかし、充電池というものは充電を繰り返すごとに寿命が減って行き、いつかは使い物にならなくなってしまうものなので、ウン十年後までゲームを残しておきたい、という方は旧GBAを売らずにしまっておく事をオススメします。

     【ドリマガ 2月28日号(vol.375)】 ソフトバンクパブリッシング 
     今号には、ドリマガ恒例のセガスペシャルDVDが付録に付いています。セガ開発各社の新作ゲームのプロモーションムービーが54分収録されていて実質40円。価格的にはとってもお得なのだが、うーん…なぜ私の心はピクリとも動かないのでしょうか?確かにムービーは綺麗ですよ。動きは滑らかですよ。でも、どれもこれもセンスを感じない。これじゃあ売れるものも売れんわなぁ…セガは経営面でも企画面でも技術面でも、2流に成り下がってしまったんでしょうかねぇ…再建どころか、結局5年連続で大赤字を出して、遂にはサミーと事業統合。このままでは、どこかに吸収合併されるのも時間の問題でしょうね。

     「D.C.〜ダ・カーポ〜」のPS2移植が決定しましたね。TVアニメ化も決定(記事の上では進行中となっているが、すでに開発元のサーカス社からはアニメ化決定のリリースがなされています)。私は基本的にパソゲーの情報を仕入れていないので、「D.C.」がどんな作品なのか全く知らないわけですが、記事の紹介文を読んでいると…「1年中咲き続ける桜」「何も無い所から和菓子を生み出す力」…なんだか、ものすごく嫌な匂いがするのは気のせいですか?(世界の不思議と学園恋愛モノという構図は、まるっきり「Wind」と同じですなぁ)。西又葵だか誰だか知らないが(問題発言)萌え絵だけで簡単にブランドになってしまうパソゲー業界、その下請け扱いのコンシューマー…最初から移植を前提にした作品作りは、遊び手に対しても失礼な行為だと思いませんか?

     【週刊ファミ通 2月28日号(vol.741)】 エンターブレイン 
     さて、購読中止審議が継続中の週刊ファミ通ですが、今週号もしぶとく生き残りました。「新ゲーム帝国」などの駄目記事は相変わらずですが、購読継続の決定打になったのは「プロ野球チームをつくろう!2」の記事でした。12球団のレギュラーの年棒が載っていることと、同ゲームのCMにも出演している野村監督へのインタビュー、これが決め手でした(ちょうど、野村監督がCM出演(タレント活動)のせいで大学チームとの交流試合でベンチ入りを断られた、という事件の直後だった影響もありますが)。インタビューでは、「巨人の方向性は正しい」という発言が飛び出すなど、意外な一面が見れて新鮮でした。ただし、「CMにまで出演しているのに一言もゲームの話になっていない」というのは、ゲーム雑誌のインタビューとしてはどうかと思いますよ、浜村社長…

     ファミ通.comアンケート「PS2春季限定カラー、どれに魅力を感じますか?」で面白い結果が出ています。「SAKURA:27%、SILVER:22.8%、AQUA:20.3%」と、3色がほぼ横一線という結果に。しかし、一番票が多かったのは「魅力を感じない:29.9%」であり、SCEが派手に喧伝しているほどの成果を挙げられるかは大いに疑問が残ります(今回のメインターゲットがファミ通を読むようなゲーマーではなく、女性一般層や非ゲーマーだから狙い通りと言えなくも無いが、ゲーム機としてそれでいいのか?と思わないでもない)。


    ■COLUMN

     【連載:ギャルゲーは倒れたままなのか?(第1回)
    「ギャルゲーの栄枯盛衰:前編」】
     皆さんは「ギャルゲー」というゲームジャンルをご存知でしょうか? 世間一般でのイメージでは「美少女ゲーム」と認識されているようですが、実際には、要素として「恋愛モノ」という定義はありますが、ギャルゲーというカテゴリーや厳然たる定義が存在しているわけではありません。広い意味では、恋愛に関わる要素が含まれていれば、すべてギャルゲーに含まれてしまうのです。

     そもそも、このギャルゲーという言葉とジャンルが市民権を得たのは、1993年にPCエンジンで「ときめきメモリアル」が発売され口コミで評判が広まり、1995年にPSに移植された際に一気に火が付いた時でした。それ以前のギャルゲーは、パソコンのエロゲーがメインであり、一部の大手を除けば、せいぜい数千本単位という日陰市場でしかなかったが、「ときメモ」が50万人という桁違いのファン層を掘り起こしたことで、ギャルゲーのメインストリームは一転して家庭用へと変化しました。(※「ときメモ」は多機種移植で累計100万本を達成しましたが、ユーザー数の実数で考えれば50万人前後です)

     「ときメモ」以降、俄かに活気付いた家庭用ギャルゲー市場には、雨後の竹の子の如く次々と、荒削りながらも意欲的なギャルゲーが登場しました。「トゥルーラブストーリー」「ヒロインドリーム」「メルティランサー」「ルームメイト」…しかし、そのギャルゲーバブルは、意外な形で終焉を迎える事になってしまうのでした…

     「ときメモ」の爆発的なヒットによって未曾有の絶頂期を迎えたギャルゲー市場。しかし、「ときメモ」の圧倒的な存在感とコナミの巧みな商品展開戦略が、皮肉にもギャルゲー市場を衰退させてしまう結果になってしまいました。ギャルゲー市場に新規参入したメーカーが手間隙をかけてゲームとして「ときメモ」を超えるものを作ろうと躍起になっているその頃、コナミはキャラクタービジネス路線を打ち出して、収益率の高いグッズを矢継ぎ早に市場に大量投下したのです。

     このかつてない極楽状態に、世の「ときメモラー」たちは、まるで操られるように湯水の如くお金を吸い上げられてしまいました。気づいた頃には、彼らには他のギャルゲーを買うお金など残されていませんでした。他メーカーが立ち上げた新規タイトルは、ことごとく続編で失敗して販売本数を半減させてしまい、グッズ展開をする資金も十分な市場もなく…こうして、コナミの絶対支配体制が成立したのです。

     しかし、コナミの我が世の春も長くは続かなかった。その勢いに陰りが見え始めたのは、「藤崎詩織ヴァーチャルアイドル計画」が発動された頃でした。これにはさすがに良識あるゲーマー達は眉をひそめて、「ときメモ」がすでに幻想だけの得体の知れない存在になっていた事に気づいたのでした。その後、確実に信者を減らしながらも続けられていったグッズ展開と、付け焼刃のゲーム商品展開…そして、さんざん待たせた挙句に登場した「ときメモ2」は、初回週こそ29万本を販売したものの、総数は半減してしまいました。代わり映えしないゲームシステム、中途半端なEVS… コナミ商法の限界、そしてゲームとしてのときメモの限界、その両面が露呈した瞬間、「ときメモ」の時代は終わりを告げたのでした。コナミの絶対支配体制下で芽を摘まれてしまった家庭用ギャルゲー市場は、その後長い冬の時代に突入しました。そして、それは現在の今に至ってなお続いているのです…

     次週、「Leaf、Key、PCギャルゲーブランドの勃興」へ続く


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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