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 【ティアリングサーガ訴訟、任天堂が敗訴】 |
任天堂が「ファイアーエムブレム(以下、FE)」の著作権を侵害されたとして、「ティアリングサーガ(以下、TS)」を販売を担当したエンターブレインと開発を担当したティルナノーグ、及びティルナノーグ社長:加賀昭三氏を相手取って、販売の差し止めと約2億6000万円の損害賠償を求めていた裁判で、11月14日、東京地裁は任天堂の請求を棄却する判決を下した。
任天堂が論拠としていたのは、FEシリーズのプロデューサーだった加賀昭三氏が独立して製作したTSを「FEシリーズの続編かのように宣伝され営業を妨害された」ということだったが、判決では「制作者の感性に依存しているゲームの性質上、シリーズの続編と市場が認識するのは避けられない」として著作権侵害にはあたらないと指摘した。任天堂はこの判決を不服とし控訴する方針。 この問題で良く分からないのは、どのタイミングで任天堂がeb!にクレームを付けたのかということ。加賀氏が独立して「エムブレムサーガ」の製作を誌上発表してから1年以上も期間があったのに、発売直前になって急遽タイトルを「ティアリングサーガ」に変更するまで目立った動きは無かったし、訴訟に踏み切ったのもゲームの発売から2ヶ月近く経ってからだった。著作権侵害だと主張するにしても、販売差し止めを求めるにしても、任天堂のこの不可解な一連の動きが、裁判で不利に働いたのではなかろうか? この手の著作権関連裁判では、二審で正反対の結論が出ることも珍しくないため、裁判の今後の行方は予測し難い。だが、ドリマガの全ハード読者レースでは、TSが8.1159点の203位に対して、「FE封印の剣」は9.5121点の3位。すでにゲームユーザーの間では両作品のゲームとしての評価は決着が着いています。法廷で不毛な抗争をいつまで続ける気なんでしょうねぇ… |
漫画 【恋風(2)】吉田基己/イブニング |
ゲーム業界に続いて漫画業界にも押し寄せていると云われている「妹モノ」の波ですが、むしろ漫画の方が妹文法の分野では元祖であり、「妹=実は血が繋がっていない」という設定はほとんど不文律として認識されてきました。しかし、PCゲームの世界で「妹萌え」なる特殊な進化を遂げたこの分野では、次第に漫画の使い古された文法は魅力を失っていったのですが…
そんな昨今、この分野で新風を吹かせているのが「恋風」です。単純に「妹萌え〜」という短絡的なお話ではなく、むしろ10年ぶりに「お兄ちゃん」と呼ばれることへの戸惑い・苛立ち・照れくささを、スクリーントーンを一切使わない超絶的な技法で描き、感情の機微・空気の色と密度すらリアルに伝わってきます。血の繋がった兄と妹だから好きになってはいけない。でも、意識しないようにすればするほど、普通の兄妹として接しようとすればするほど、心にも無いことを言ってしまって喧嘩になってしまうし、それ以上に自分の心がどうしようもなく痛くて… 2巻のラストでは遂に…ああ、続きが気になる! でも、こういう漫画は人目を憚らずに読みたいので連載本誌では読みにくいんだよなぁ… |
雑誌 【ドリマガ 12月6日号(vol.370)】ソフトバンク |
まずはトピックス「セガショック」について。セガの株価がDC製造中止時期(DCショック)以来の1000円割れという事態に。AM事業が好調なので全社的には50億円の黒字だが、620万本の販売計画を大きく下回る457万本という低調な結果に対して、マーケットにはセガの再建計画に懐疑的な空気が広がっているようです。来期の販売計画も発表されていますが、「サカつく3」を60万本と想定しているのは正気の沙汰とは思えないのですが…(W杯効果のあった「サカつく2002」でさえ50万強程度だったのに…)
一方、バンダイは絶好調で過去最高益となる245億円の経常利益を達成し、40億円を投じて新社屋(通称:ガンダムビル)の建設に着手。かつて「ピピン@」で大失敗したり「セガバンダイ」合併寸前まで行った事がありましたが、今では嘘のような話ですな(ゲーム業界の一寸先は闇なんだねぇ…) DCに「18歳推奨」が復活! で、いの一番に名乗りを上げたのがNECiであり、先号に引き続き自称カリスマプロデューサー:多部田の登場です。先号でさんざん思わせぶりなことを言っておいて、なんだよこんなことかよ!インタビューを読んでみると、「18才以上対象予定」などと矛盾した発言が?おいおい、単なる話題づくりかい! 「白詰草物語」の移殖は予想できましたが、あのゲームは18禁がどうのこうのではなく児童ポルノ法の方に問題があるのではなかろうか? 同時に発表された「ニューベストコレクション」に到っては存在の意味がまったくわかりません。DCからPS2へのベタ移殖なのに4980円も取る気かよ!あこぎな商売ですなぁ… 今週の「セガのゲームは世界いちぃぃぃ!」は前回に引き続きタイムスリップ編ですが…久しぶりに「トラいち」のネタを考えながら読んでしまいましたが…うぅ、危なすぎて哀しすぎて書けません。「あの時こうしていれば」という場面はいくつもありますが、好転する材料や展望が思い浮かばないのが困ったものです。やはり、根本的な歴史の要因を除去するためには杉(以下、危険すぎるので自粛) |
雑誌 【週刊ファミ通 12月6日号(vol.729)】エンターブレイン |
週間売上TOP30の「読者のご意見板」にちょっとツッコミを入れておきましょう。「諸葛亮孔明」という読み方は間違いです。諸葛が性、亮が名、字(あざな)が孔明であって、「諸葛亮」もしくは「諸葛孔明」と読むのが正しくて、名と字を同時に使うことは中国史上に存在しない誤った文法なのです。歴史ゲームメーカーでさえも「劉備玄徳」などと堂々と誤った使い方をしているので、ユーザーが誤った知識を身に付けてしまうのも無理からぬことですが…
年末商戦と月末が重なって、今週のクロスレビューは大作ラッシュ!SCEが巨額の宣伝費を投じて売り込んでいる「ダーククロニクル」は35点を獲得。宣伝やクロレビに踊らされるのは癪に触るが、情報を総合してみるとRPGとしてハイレベルに完成された好ゲームであることは間違いないようです。そんな活況の中「彼岸花」が「4・4・4・3」という「やっちゃったゲーム」の烙印を押されてしまいました。乱歩賞作家であり「街」のシナリオも手掛けた長坂秀桂を迎えて期待していた分だけ、失望も深いものに…(4人とも物語を高く評価しているのに、ここまで低い点がつくということは、ゲームとしてよっぽど酷いんだろうなぁ…) 今週の「浜村通信」について。私は「やきゅつく」が嫌いです。なぜなら、FAやトレードで補強し続ける=「読売巨人軍の論理」がこのゲームのプロセスそのものなのですから。浜村編集長はこのゲームを通して「チームへの純粋な愛がそうせるのだ」と、これまで散々批判してきたナベツネを理解する発言をしています。でも、これはゲームだから楽しいのであって、リアル(現実)の世界で札束で横っ面をはたくようなことをされたら、ルールもなにもあったものではない。そんな読売の傲慢が松井のメジャー流出の決定打になり、今オフの補強には巨人ファンでさえ呆れているというのに… カプコンの新作発表会の付録DVDは、「ビューティフル・ジョー」がすごく良かった。雑誌の静止画ではあの良さは絶対に伝わらないので、これは一見の価値アリです(でも、ゲームキューブ用のゲームのアピールをPS2で見るのは釈然としないのだが…)。 |
 【オマケつき雑誌について】 |
以前のコラムで「オマケつき漫画単行本」について書いたことがありましたが、最近は雑誌にまで付録としてオマケがつくようになってきました。しかも、その付録がむやみやたらに豪華なのです。「サンデーGX」は最終兵器彼女の書き下ろしを別冊付録として付けたし、「アニメージュ」はデジ子Tシャツを付録につけたし、「アフタヌーン」は海洋堂と提携して「ああっ女神様っ」の組み立てフィギュアをつけました。「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の132巻に収録されている「おまけ文化時代」のギャグが、現実に笑い事で済まされない時代が近づいているようです。
しかし、漫画雑誌の価格設定は原価ギリギリであって、それ単体ではほとんど利益が出ません。他の雑誌なら広告費で補えるが漫画雑誌の広告比率は非常に少ない。そこで利益の柱となるのは単行本の収益。云わば漫画雑誌全体が漫画の広告みたいなものなのです。そこに原価だけで100円を越えるオマケを付けようというのだから正気の沙汰ではありません。 そこまでして各誌が付録の充実に躍起になっているのは、規制緩和で自由な付録がつけられるようになった(以前は「印刷物」という条件がついていた)ということと、日本人は「限定」という言葉に弱いし、雑誌を惰性で買ってくれる習性があるので、損を承知でも強烈なインパクトで読者の目を引きたいという狙いがあります。 私のように立ち読み派の読者にとっても、絶大な効果があります。私が立ち読みしている雑誌は30誌以上ありますが、全部買っていたらキリがないのでコンビニの立ち読みで済ませています。でも、立ち読みで全ページを読み倒すのはさすがに良心が咎めるので、読むのは各誌2〜3作品に限られるし、1冊5分以内の超高速で読むことになります。新連載などは必ずチェックしますが、第1回で”合わない”と判断したら以後は完全にスルーしてしまいます。そんな厳選を見事に潜り抜けた作品は必ず単行本を買っているので、単行本だけで月額10,000円近くに上っているんですけどね… たまに付録に釣られて雑誌を買うと、じっくりと全作品をチェックできるので嬉しいのだが、単行本と違って雑誌は買い逃したら二度と手に入らない(奇跡的に古本屋でバックナンバーを入手できることもあるが)。付録が豪華になればなるほど、買い逃した時の精神的ダメージも大きくなるし、読者へのアピールという本来の目的ではなく、「限定」という希少価値が中古転売市場という消費の抜け道を作ってしまうことにもなりかねない。 営業努力としてオマケ戦略は決して間違ってはいないと思うが、エスカレートさせすぎて雑誌の価格高騰に繋がったり、雑誌の売上が付録の出来如何に左右されて、雑誌とオマケどっちが本体か分からなくなったりする危険性もある。1人の漫画好きとしては、やはり漫画雑誌が売れてくれないとマイナーな作品にもスポットライトが当たらないし、新人作家がチャンスを掴む機会が減ってしまう事態だけは回避して欲しいと思います。 日本が世界最大の漫画大国であり続けられるのは、作品を発表する場(雑誌)の豊富さと、それを支持する観客(読者)の存在があるからです。同人誌文化やWEBによって作家と読者の距離が近づいているように、雑誌と読者の距離も変化して行かなければならない時期なのかも知れませんね。 |
文責:GM研編集部編集長 gonta