Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.57
2002/07/27


【News Headline】
  • 復活!神宮寺三郎!
  • 【mini Review】
  • CD
  •  : ALL MY LOVE (堀江由衣)
  • CD
  •  : アニメ店長 FIRE WAVE !! III ゆきゆきて温泉
  • 雑誌
  •  : COCO SUMMER 2002
  • 雑誌
  •  : ドリマガ 8月9日号(vol.362)
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 8月9日号(vol.712)
    【COLUMN】
  • メイドコスプレ喫茶ってどうよ?

  • ■News Headline

     07/25 【復活!神宮寺三郎!】 ワークジャムHP  
     「クロス探偵物語」で知られるワークジャムは7月25日、「探偵 神宮寺三郎」の新作、『探偵 神宮寺三郎 Innocent Black』をPS2で10月に発売することを発表した。「探偵 神宮寺三郎」は、ファミコン時代から計7作、累計販売本数は160万本を超える人気推理ADVでした。しかし、1999年11月25日、開発元のデータイーストが和議申請して事実上倒産。「探偵 神宮寺三郎」の歴史も幕を閉じたと思われていた。それから約3年の沈黙を破り、開発スタッフが再集結して完全新作として復活することになったのでした。

     いやはや…なんともうらやましい話ですなぁ… アスキーのゲーム部門売却によって、同じようにその生死が不明のTLS(トゥルーラブストーリー)のファンとしては、本当にうらやましい話です。両社のトップ会談で過去作品を含む今後の全権の譲渡が円満に成立したというのは、ゲーム業界では案外珍しいケースなんですよ。知らないうちに乗っ取られていたり、二束三文で買い叩かれたり、吸収合併されたりする、泥臭いケースはいくらでもありますけどね。製作者にとってもユーザーにとっても幸福な復活を遂げることができたのは、本当に稀なケースだと思います。

     甲斐性の無い生みの親の元で飼い殺しにされるよりも、活躍の場を与えてくれる良い育ての親に引き取られた方が、遥かに幸せというものです。使わない権利を後生大事に抱え込んでいてもロクなことにはなりません。不良債権と同じで、売れるときに売っておかないと後悔することになりますよ?(提案)


    ■mini Review

     【ALL MY LOVE (堀江由衣)】 陸上防衛隊まおちゃんOP
     「ラブひな」で御馴染みの赤松健先生が原案を務める15分アニメ「陸上防衛隊まおちゃん」のOP主題歌「ALL MY LOVE」を収録したシングルCD。歌っているのは、今やNo.1声優アイドルとなった「堀江由衣」。今回もCDジャケットでの可愛さは破壊的ですが、役どころが準主役でも主題歌を歌ってしまうのが、この業界の不思議なところ。楽曲的には、完全に声が曲に負けている感が否めません。私の住んでいる地域ではテレビ東京が受信できないので、OPアニメーションのバック曲として合っているのかどうか判別できませんが、「いたいけな小学生(8歳児)たちが、可愛らしい宇宙人たちと、ゆるゆると戦う」という作品のテーマには、シリアスを匂わせるような楽曲と堀江さんの線の細い声は、どう考えても合わないと思うのですが…(堀江曲としては、中の上程度の出来だと思います。)

     【アニメ店長 FIRE WAVE !! 3 ゆきゆきて温泉】  
     アニメ店長のラジオドラマ「ゆきゆきて温泉」をCD化する際、ボーナストラックへの出演を原作者:島本和彦先生に依頼したのがすべての始まりでした。「湯けむり編なのに原作者だけフロに入ってないとはどーゆーことですか!」と録音当日にゴネて、いきなりその場でシナリオを書き始めるという、なんとも迷惑なクリエイティブな経緯の結果、ボーナストラックが独立してCDがまるまる1枚増えてしまったという、前代未聞のドラマCDです。しかも、このCDの値段は一枚組みのときに設定されていたそのままなので、お客さん的には断然「お得」なのです。島本漫画に登場する「燃える漫画家:炎尾燃(島本和彦)」というイメージとは少し違いますが、自分の恥をいじって笑いを取りつつ、キャラを立てつつ勢いでテーマをまとめてしまうあたりは、さすがです。Disc1の方は相変わらずオタクの特性を扱った、笑うに笑えない際どいネタが満載。暴走を続けているうちに、すっかり定着してしまったドラマCD版のキャラ設定が、原作者に相乗効果をもたらすこともあります。このCDは、まさにその好例と言えるでしょう。

     【COCO SUMMER 2002】 エンターブレイン COCO公式HP  
     日本橋のGM研御用達漫画専門書店「わんだーらんど」でプラプラと買出しをしていたら、見慣れない雑誌を見つけました。高橋しん先生の書き下ろし表紙、「最終兵器彼女」の精神分析、総力特集「月姫」-ギャルゲーになにが起きたのか?- …ふーん、次世代エンタテイメント情報誌ねぇ…いったいどこの出版社が?!…エンターブレインかよっ!!!(この時点で内容への期待はマイナス99点だったのですが、「ネタになる」という1点のみで買ってしまうのはレビュアーの哀しい性(さが)ですなぁ…)

     さて、肝心の内容の方ですが、表紙だけ見たらインテリ系批評誌っぽいけど、中身は単なる萌え雑誌です。しかも萌え雑誌としては弾けてないし、批評系雑誌としても中途半端なので余計に始末が悪い。萌えない&燃えない。まともに読めるページは1割にも満たない。高橋しん先生と精神科医の対談も、えらく無理のある内容です。というか、そんな目で「最彼」を見るんじゃねぇ!この(以下、自主規制)

     いや〜(怒)久々に真剣に腹の立つ雑誌です!ふ・ざ・け・ん・な・! あの会社は一体何がやりたいんでしょうか?金の匂いを嗅ぎ付けて他人のフンドシで相撲を取ってばかりいないで、またには自社製品のフォローもしてください。

     【ドリマガ 8月9日号(vol.362)】 ソフトバンクパブリッシング 
     裏表紙のNECインターチャネルの「ファン感謝デーちょっとだけスペシャル3今度は夏祭り」の告知広告を見て絶句。8月10日(土)って…おいおい、コミケの2日目かよ!しかも会場はビックサイトの隣かよ! これは2日目サークルへの嫌がらせですか?それとも、企業ブースへの反旗? 小判鮫作戦にもほどがある!ただでさえ、PS2版の「AIR」の発売日がコミケ前日の8月8日に伸びて、地方在住の人が遠征スケジュールに大打撃を喰らったというのに…

     さて、表紙の方はマリオとソニックの爽やかな共演ですが、なんだかドリマガの表紙らしくなくて、本屋でドリマガが出ていることに気付かなかったくらいです。表紙はマリオなのに、一番ページ数を割いているのは「バーチャファイター4エボリュ−ション」なんですけどね。

     「ドリマガ全ハード読者レース」では、予想に反して「ときメモGirl's Side」が9.3125という高得点で18位にランクイン。う〜ん…投票者のコメントを読んでも、それが女性の意見なのか男性の意見なのか、ペンネームからは判断できないのが難点です。いや、そもそも、ドリマガに投稿する女性ゲーマーの割合はどの程度なんでしょう?通例として次回集計時にはこれを快く思わない読者からの反発で平均点は暴落すると思いますが、それが落ち着く次々号以降、固定ファンの支持でどの程度の位置をキープできるかが焦点になりそう。

     【週刊ファミ通 8月9日号(vol.712)】 エンターブレイン 
     ↑ではebに対する鬱憤を爆発させてしまいましたが、それは週刊ファミ通に対する評価にはまったく関係ありません。高度にシステム化されて情報誌化した週刊ファミ通は、今や誰が書こうが大して変わりませんからね(と、一応フォローしておきましょう(フォローになってない気がしないでもないが…))

     ファミ通町内会の写真ネタに「喫茶アスキー」が載っていましたが、それに対する担当編集者のコメントが、何気に際どいです。ebはアスキーの子会社なんだから、他人事じゃすまないですぜ?任天堂との裁判もゲーム部門売却もウヤムヤのままであり、一寸先は闇かも?

     「パワプロ9」の攻略記事が非常に役に立っています。ファミ通には特定のゲームに対して公私ともにハマリまくる「○○班」というチームがいくつか存在するのですが、中でも「パワプロ班」のサクセスモードでの分析能力はピカイチです。データだけを載せた下手な公式攻略本よりも遥かに面白い。不確かでも独自の理論を探っていくのが楽しくて仕方がない。


    ■COLUMN

     【メイドコスプレ喫茶ってどうよ?】 参考:ASCII24  
     オタク業界用語には、萌えの対象として様々な属性を定義していますが、そのひとつに「メイドさん」という属性があります。これはそれほど特異な属性ではありません(かくいう私も「まほろまてぃっく」大好きっ子ですし)。そういう層をターゲットにした、メイドさんのコスプレをした店員がウエイトレスをする「メイド喫茶」というものは以前から存在していましたが、それはあくまでグッズショップが副業でイベント・客寄せ的に細々とやっている知るひとぞ知る存在に過ぎませんでした。

     しかし、7月19日に秋葉原にオープンしたコスプレ喫茶『Mary's(メアリーズ)』は、列記とした一般企業「T・ZONE」が新分野での事業展開の一環として大真面目にやろうとしているから性質が悪い。「経営再建において、“秋葉原に特化すること”と“マニア向けに特化すること”を柱としている。他のコスプレ喫茶を安易に真似たのではなく、緻密に計算した上で開店に踏み切った」とT-ZONEの社長はコメントしていますが、「初年度売上高6650万円」という計算は、いったいどこから来るんでしょうねぇ…

     えーと…これはあくまで個人的な見解ですが、コスプレ業界の一般基準から見ても、決してレベルが高いとは思えないんですけど…マスコミ向けに特に可愛いメンツを揃えて「あの」レベルでは、通常営業時のレベル低下に思いっきりガッカリさせられることでしょう。それと、メニューについてですが、同業他社に比べれば案外手頃な値段だと思います。料理系はレトルトか出前だと思いますが、手作りでマズイ(危険な)飯を喰わされるよりは遥かにマシです。

     話の種に、上京した際に一回くらい取材に行ってみようかなと思わないでもありませんが、でも、いくら取材とはいえカウンター席で食べるような勇気は、私にはありません。あ、ちなみに店内は撮影禁止ですよ。8月をめどに営業時間内で彼女たちの撮影タイムを設ける予定だそうですが、そうなると撮影タイム待ちの客ばかりになって、客の回転率が大幅に落ちると思うのですが、それもちゃんと売上の計算に入れてるんでしょうか?

     「マニアは金になる」と考えるだけだったら、先週取り上げた「コミケ狩り」と大して変わりません。マニアをなめるのも大概にせんかいっ!!! 我々マニアは好きなものに対して投資を惜しみませんし、今更市民権を主張する気もありません。世間の理解も庇護も要らぬ、それがマニアのド根性。だからこそ、外部の要因によって自分の中の熱を醒まされることは、絶対に許せないのです。そもそも、人間の豊かな空想によって生み出された文法を3次元で再現しようとすること自体に、無理があるんですけどね…


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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