Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.48
2002/05/25


Index
【News Headline】
【mini Review】
  • 漫画
  •  : 魁!クロマティ高校(4) 野中英次
  • 同人誌
  •  : たとえば悩める乙女の物語とか。 大羽なお
  • DVD
  •  : まほろまてぃっく(第一期) 
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 vol.703
    【COLUMN】


    ■News Headline

    【Electronic Entertainment Expo(E3)特集】  

    SCE:ハード戦争はもう終わった!?
     SCEA最高執行責任者KAZ HIRAI氏は、5月21日,米国ロサンゼルスで行われたカンファレンスの冒頭で、「ゲームハード戦争は既に決着がついた」と勝利宣言をしましまた。PS2はすでに全世界で3000万台を出荷し、すべての市場で過半数を超えるシェア獲得しているし、苦戦を強いられているXboxが起死回生の策として温めていた値下げに対しても、2日早い先制攻撃値下げによって完全に出鼻を挫いてしまった。日本市場においてはオープン価格化に止めるという余裕ぶりを発揮しています。

     PS2の米国でのネットワーク開始は8月27日。オープンISP方式を採用し、スタートアップディスクを同梱したネットワークアダプタは39ドル99セント。アメリカではADSLの普及率が悪いので(国土が広すぎて電話局との距離が問題となるため、常時接続の主流はCATV)、日本と同じようなPSBBコンテンツ戦略は不可能なのだ。その代わり、接続環境を選ばない安価なネットゲームユニットを提供することができる。PCネットゲーム先進国アメリカで、家庭用ゲーム機によるネットゲームがどこまで普及できるか注目したい。

     今後もビックタイトルが順当にリリースされるので、PS2の優位性が揺らぐことは考えにくいが、むしろ問題となるのは、ソフトの供給過多によるパイの奪い合いと市場の活力減衰だろう。独占と競争のバランスという矛盾した命題は王者の宿命である。

    任天堂:揺ぎ無い自信、そして新社長誕生へ!
     SCEAの勝利宣言を鼻先で笑い飛ばした任天堂は、E3に揺ぎ無い自信を持っていた。ゲームキューブを149.95ドルに値下げし、看板タイトルの「マリオ」と「ゼルダ」が揃い踏み! セガ・ナムコ・カプコンとの共同開発プロジェクトによってサードパーティーのタイトルも充実しつつある。米国では未だに根強く「ゲーム=任天堂」という神話が息づいており、今回の値下げは熱狂を持って迎えられた。

     ゲームキューブ事業を軌道に乗せて山内社長は最後の花道を飾り、新社長には若干42歳の岩田聡氏(元:ハル研究所所長、現:任天堂取締役経営企画室長)を大抜擢! 新会長には浅田篤副社長、新専務取締役に宮本茂(情報開発本部長)、竹田玄洋(総合開発本部長)、波多野信治(業務本部長)がそれぞれ就任して、岩田氏を中心とした集団指導体制に移行する。

    マイクロソフト:ネット戦略で生き残りを!20億ドルテコ入れ
     出荷目標の大幅下方修正など、苦戦を強いられているXboxだが、先日の欧州・豪州での大幅値下げに続いて、E3直前に発表された北米・日本市場での大幅値下げが発表され、ネットゲーム戦略への大量資金投入の表明で勝負に出ました!(値下げに関しては、完全にPS2に出鼻を挫かれてしまいましたが…) 『5年間でXboxプロジェクトに20億ドルを投じる』というテコ入れ策が発表されましたが、そもそも5年間Xboxが現役でいられるとは思えないのですが…

     Xbox用オンラインサービス「Xbox Live」は、今夏には10万人規模のβテストを開始して、今秋に日本,欧州,北米でサービスが開始される予定。年会費約50ドルの定額課金システムになる予定です。「Xbox Live」がPS2とGCのネットゲームサービスと決定的に異なるのは、ネットワークに関わる業務(ホスティングやセキュリティ、課金システムなど)を、マイクロソフトが代行するということである。ゲーム会社にとっては、発売後もサーバーの維持管理に膨大なマンパワーを要求されるネットゲームにおいて、そのメリットは計り知れないものとなるだろう。


    ■mini Review

    【魁!クロマティ高校(4)】 野中英次  
     今回もクロ高は独特のノリで暴走を続けています。連続9回も引っ張った「修学旅行編」では、ずっと新幹線の中でとうとう京都に着くことなく終了。連載中のハシラ(コマの外側に担当編集者が入れる注釈のこと)では「編集部が京都への取材旅行に連れて行ってくれるまで続ける」と書いてありましたが、漫画家のささやかな抵抗は失敗に終ったようです(そのおかげで作品としては面白くなりましたけど)。林田のとんでもない秘密が明らかになったり、メカ沢の弟「メカ沢β」は出た途端アレでナニだったり、唯一の常識人(のハズ)の神山は次々と意外な趣味で存在感を示しています(具体的なオチは読んでからのお楽しみ)。ちなみに、限定版の同梱物は「フレディ漢(おとこ)気バンダナ」です(前回の「メカ沢ストラップ」に比べたら激烈に需要がない気がしてならないが…)。

    【たとえば悩める乙女の物語とか。】大羽なお/チキンなげっと 
     「モノローグの魔術師」と賞賛される絶妙な心理描写が特徴の「大羽なお」さんの「こみパ」同人誌シリーズ最新作のヒロインは「瑞希」です。「こみパ」の正ヒロインでありながら、唯一同人誌に否定的で他のヒロインとは一線を引いた存在だったし、瑞希シナリオの完成度も高かったので、なかなか「同人ならでは」の斬り口を見せてくれる瑞希本はありませんでした。ゲーム内ではあくまで和樹の視点としての物語なので疑問に思いませんでしたが、実際には和樹も瑞希に教えられたことがあったはずです。同じ結論であっても、瑞希側からの視点の心理描写を描くことによって、後味が全く違います。個人的に瑞希はそんなに好きなキャラではなかったのですが、この本のおかげで瑞希のことが好きになれそうです。

     ラポートの「みずいろ」アンソロ(進藤さん)も非常に良かったし、今後もアンソロのお仕事は順調のようです。着実にメジャーへのステップを踏んでいる、これからの大羽さんのご活躍が本当に楽しみです

    【まほろまてぃっく(第一期TVシリーズ)】  アニメ公式HP  
     TBS系のBSデジタル放送「BS-i」での放映だっためリアルタイムで観た人は少ないと思います。最終話までを収録したDVD版がようやく出たので、まとめて観直してみたのですが… 川澄綾子さんのまほろさんはハマリ役だったし、式条先生の暴走ぶりが楽しかったし、戦闘シーンや独白シーンなどにガイナックスらしさ(エヴァっぽさ)が随所に見受けられました。結構早い段階で第二期シリーズの製作が決まっていたようで、連載継続中の原作の範囲を逸脱することなく、あくまで原作に忠実に、「対リューガ戦」までで無難にまとめられていました。まだお話として完結していない以上、現時点では作品としての出来を判断する事はできませんが、今秋から始まる第二期にも大いに期待したいと思います。

    【週刊ファミ通 vol.703】  エンターブレイン 

     
    プロジェクトFIFAワールドカップ それなら君が代表監督
    (大宮)9 (嵐山)9 (奥村)7 (針生)7
     惜しい!発売があと2週間早ければ(17日の代表発表に間に合えば)、トルシエへの反感と中村俊輔・名波への同情票を集めて大ヒットの可能性があったのになぁ… かなり時間と手間のかかるシミュレーションタイプのゲームなので、他社のサッカーゲームと市場が被ることはないだろうが、やっぱり普通のサッカーゲームのように選手を思い通りに動かせるわけではないので、序盤の代表のショボさがもどかしく感じてしまう。でも、最大の問題は『サッカーゲームをやるくらいならテレビで試合を観た方がずっと楽しい』という現実なのでは?
    夏色の砂時計
    (大宮)7 (嵐山)7 (奥村)7 (針生)6
    時間を行き来して、恋人の事故死の原因を突き止める…というテキストアドベンチャーです。タイムスリップとは使い古された言葉でありありがちな設定のようにも感じますが、「本人の意図としない形で、後で起きる事を先に知ってしまう」とう構図は面白い。でも、必然的に「現在」の繰り返しを強いられる構造のため、どうしても使い回しやパターンの少なさが不満になるようです。
    ※コメントの内容は私の主観によるものであり、ファミ通レビュアーとは無関係です。

     今、近藤るるるの新連載「たかまれ!タカマル」が熱い! 編集者が後で入れる作品タイトルを考慮しないコマ割りといい、今は無き旧アクセラの社名の由来ネタをちらつかせたり、「お前もファミ通を嫌いになれ、っていうかエンターブレインを嫌いになれ」と大暴言をかましています。これからも目が離せない!!

     読者が採点する「ユーザーズアイ」のコーナーで、「ファイアーエムブレム封印の剣」が載っていましたが、「良かった点:難易度がちょどいい」「悪かった点:難易度が高い」と、面白いことに正反対の意見が最も多かったのです。やはり、FEは遊び手を選ぶゲームなんですねぇ…「音楽がイマイチ」という意見もありましたが、そればっかりはGBAのサウンドスペック自体がヘッポコなので仕方ありませぬ。でも、「難易度が下がって物足りない」からと言って低い点をつけるのは、何か根本的に違うような気がするんですけど…

     今週のソフトウェアインプレッションは、ファミ通のサクラ大戦番記者:吉池マリアさんが「サクラ大戦4」について書いていました。さすがは公私にわたってサクラ大戦を遊び倒した人だけあって、なかなか説得力のある内容です。サクラシリーズを愛するものなら誰でも至る一般論で構成されていますが、プロっぽく技巧に逃げたりしていないので、吉池さんのサクラ大戦へのリスペクトがしっかりと伝わりました。雑誌記者化してしまって、ゲーマーとして・レビュアーとして信頼に足る編集者がいなくなって久しいファミ通にも明るい兆しが?


    ■COLUMN

    【ワールドカップ開幕へのカウントダウン】 
     いよいよ5月31日に開幕を迎える「2002 FIFA ワールドカップ KOREA JAPAN」。私は4月に大阪長居スタジアム周辺から奈良県に引っ越してしまったので、現地人としてワールドカップに直接関わる機会はありませんが、多分日本でワールドカップが開催されるのは生きているうちに2度とないだろうから、素直に楽しみたいものです。

     しかし、運営側の対応はなんともお粗末ですね。韓国でチケットが余ってしまったため、ギリギリまでチケットを販売する必要があり、本人を確認するためにチケットに印刷される名前の印刷ができなくなってしまい、試合会場での本人確認を行わない事になり、そのままなし崩し的に「転売OK」になってしまった。先日も日本橋の金券ショップの店頭で、日本戦のチケットが15万円で堂々と売りに出されているのを目撃しました。ダフ屋やチケット詐欺の横行が大いに懸念されます。(もっとも、通常のチケットも高すぎるんですけどね)

     大分県中津江村にカメルーン代表が「ストライキ」によって大幅に遅刻したかと思えば、一転して中津江村滞在を延長して2次キャンプ地の山梨県富士吉田市が大迷惑を被ったりしています。また、多くのチームが練習を非公開にしており、キャンプ地特需を見込んでいた自治体の皮算用は狂いっぱなし。静岡県藤枝市教委の課長が日程変更に悩んで自殺したり、淡路島・津名町では警備費の増額に困窮して、1989年のふるさと創生事業で購入した1億円の金塊の売却も検討しているとか。中津江村は連日トップニュースにで扱われたので、知名度の宣伝効果は10億円とも言われていますが、「カメルーンが来た村」というよりも「カメルーンが遅刻した村」というマイナスイメージでの宣伝で喜んでいいんでしょうか?

     それに、日本政府がビザの発給を認めないために、英雄:マラドーナが来日できないなど、あいかわらず融通のきかない対応にはあきれてしまいます(ちなみに、韓国は招待状を送っていた)。フリーガン対策も穴だらけであり、前科のないフーリガンは入国審査で判別できないし、試合会場からちょっと離れれた飲食街ではまるで無警戒状態です。彼らが本当に危険なのは、試合後に酒が入った瞬間なんですけどねぇ…

     土曜日に行われたスウェーデン戦で、すべての強化試合日程を終えた我らが日本代表ですが、初戦の相手ベルギーは来日前に王者フランスを破った実績も実力もあるW杯の常連です。大方の予想では「引き分け」となっていますが、相手が相手だけに中途半端な戦略で引き分け狙いに行ったら返り討ちに遭うことでしょう。W杯の主催国が決勝トーナメントに出場できなかった前例は歴史上一度もありません。まだまだ日本代表は発展途上のチームですが、そのポテンシャルは十分に世界の列強と渡り合えるものだと思っています。そのためにも、まずは1勝して勢いに乗れるかどうかが焦点になるでしょう。

     願わくば、「サッカーゲームで憂さ晴らし」なんて展開にならないことを祈っております。


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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