Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.39
2002/03/09


Index
【News Headline】
【mini Review】
  • 書籍
  •  : みんなそうなの? 植松伸夫
  • 漫画
  •  : 無限の住人(12) 沙村広明
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 vol.692
  • 雑誌
  •  : ドリマガ
    【COLUMN】


    ■News Headline

    【Xbox, クレーム対応不備問題について】  

     Xboxを使用しているとディスクに傷が付くという問題に,マイクロソフトが出したコメントに、非難が集中して大問題へと発展してしまった。マイクロソフトは3月1日付けで,「ディスクの自然な摩擦などにより起こりうる現象であり,通常のDVDビデオの再生に影響を及ぼした事例はありません」とのコメントを発表。同社広報によれば,傷が付く原因として考えられるのは,トレーとディスクの自然摩擦のほか,トレーがスライドしたとき,乱暴にディスクを出し入れしたときなどである,と発言(仕様どころか,マイクロソフトは“自然現象”と言い切っている)。

     「マイクロソフトでは,この現象について製品不良とは認識していない。米国でも同様の報告はあったが,これまでにプレイに支障が出たという話はない」(広報)。また,「これに関わらず,万が一,ゲームのプレイに支障があった場合は,品質保証規定に従い,本体を修理,または交換する」と説明しているのだが,外周の傷についてはこの限りではない…と、断固として自社製品に非があることを認めなかった。

     しかし、この不誠実な対応に日本のゲームファンの怒りが大爆発!鳴り物入りでデビューしたにも関わらず、低調なスタートとなったXboxだが、この問題を受けてXbox市場は更に冷え込んでしまった。故障の原因は、船便で送られたときに埃まみれになってしまい、粉塵が本体に入ってしまったとか、DVDドライブの品質管理不備だとか諸説入り乱れているが、マイクロソフトすら正確な情報を把握していないので、真偽のほど分からない。

     加熱する一方だったこの騒動に、遂にマイクロソフトが白旗をあげた。Xbox本体の無償修理だけでなく、Xboxによってついて傷ついたディスクの交換についても無償で応じると発表した。しかし、この対応策をよく調べてみると、修理判断基準は明確に示されていないし、現在市場に出回っているXboxについてはそのまま販売を続けるとも発表している。

     なぜ、不具合があるかも知れない本体を危険を冒してまで買わねばらないのか?この対策によってユーザーの不信感を払拭できるとはとても思えない。少なくとも私なら、マイクロソフトから明確な不具合の原因究明と徹底的な責任追及がなされて、初回生産分のXboxが店頭から完全に姿を消すのが確認できるまで、絶対にXboxを買おうなどと思わないだろう。一度失った信用を取り戻すのは容易ではないことを、ビル・ゲイツは学習するべきだ。日本人はマイクロソフト製品を好き好んで使っているのではなく、使わざるをえないから使っているだけなのだ。そんな殿様商売がゲーム市場でも通用すると思ったら大間違いだ!

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    ■mini Review

    【みんなそうなの?】  植松伸夫 / 週刊ファミ通 
     ファイナルファンタジーの全シリーズの音楽を手掛ける「植松伸夫」氏が週刊ファミ通で連載しているコラム「みんなそうなの?」が単行本になりました。今やスクウェアサウンズの取締役という重職にありながら、のほほんと飄々とまったりとした文章が特徴で、のらりくらりと本誌連載の方は既に連載100回を越えてました。こうして単行本で読み返してみると、本当にリラックスできます。1200円と少々高いですが、それに見合う効能はあるかと。FF音楽ファン必読の一冊です!

    【無限の住人(12)】  沙村広明 / 月刊アフタヌーン 
     劇画調武器漫画「無限の住人」もようやく加賀篇のクライマックスを迎えて、物語の道筋が見えてきました。月刊誌連載ゆえに単行本の発行ペースが遅いし、アフタヌーンで1話ずつ読んでいると話がほとんど進まないので困ります。完結してから一気に読み直すのが理想的ですが、いつ終るか分からないのでそうもいきません(同じ事が「ベルセルク」にも当てはまります)。でも、アフタヌーンでなければこんな芸術家肌の連載は出来なかったのも事実である。これからもヤキモキしつつ続木を楽しむことにしましょう。

    【週刊ファミ通 vol.691】  エンターブレイン 
     今週のクロスレビューは、PS2「ワイルドアームズ アドヴァンスドサード」が32点を獲得(飽きさせない展開を絶賛。システムに目新しさはないが上手くまとまっている。便利すぎるオートバトルは賛否が分かれるかも)。 PS2「WRCワールドチャンピオンシップ」は35点を獲得(まったくノーマークだったが、ラリーの泥臭くて荒っぽい雰囲気や、シビアじゃない挙動でドライブ感覚で楽しめる。GTフォースにも対応)。 ゲームキューブ「巨人のドシン」は32点を獲得(前作があまりにもマイナーすぎた64DD版だったが、ようやく陽の目を見る日が来た。「ピクミン」といい「動物番長」といい、ゲームキューブは独創的なゲームが多くて好感が持てますな)。

     今号最大の見所は、最終ページのチュンソフトの広告です。2ページ見開きでゲームのタイトルすら載っていません。チュンソフト公式ホームページでも正式な発表はされていないが、PS2対応の実写サウンドノベルで2002年4月25日(発売?発表?)とだけアナウンスされたムービーが置いてありました。チュンソフト信者の私としては、何物にも勝るスクープであり、今から気になってしょうがない。今度こそ実写サウンドノベルでリベンジを成功させて、是非「街」の続編製作に繋げていただきたいものである。

    【ドリマガ】  ソフトバンクパブリッシング 
     今号のドリマガは隔週刊の利点を活かして3月20日・21日発売のゲームレビューが先行掲載されてます。「サクラ大戦4」はシリーズ完結を惜しむ声多数。絶賛の割に点数が低いのは謎ですが、サクラファンなら迷わず買うべきでしょう。「ガラクタ名作劇場ラクガキ王国」はスタジオジブリ提携の暖かい世界観とラクガキの楽しさが評価されたが、演出がスローモーで高揚感が損なわれているとの声も。「ビルバク」は例のテロ事件の影響で発売が延期されていたイワク付きのブツですが、思考型のパズルゲームとして高い評価をされてます。

     それと、今号の「セゲいち」に大爆笑。この話をそのまま「Xboxのクレーム対応」と「ときメモ3の販売不振」に置き換えてみると…うわっ、危なすぎて笑うに笑えない!…(>「トラいち」の大神さん、ネタにしてみませんか?(私信))

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    ■COLUMN

    【FF11の使用料金制度について】 
     「ファイナルファンタジーXI(以下、FF11)」の発売日が5月16日に決定した。なぜゴールデンウィーク後の中途半端な時期に発売するのかというと、6月の株主総会を無事に乗り切るためにどうしても必要…という大人の事情によるものです。先の決算で膨大な赤字を出した手前、これ以上再建計画を遅らせることは、スクウェア株の信頼失墜につながりかねませんからね。

     定価は7800円で、月額使用料金は1280円に決定。はっきり言って、非常に高いと思います。実際にはユーザーは更にADSLプロバイダにPlaystationBB利用料金を払わなければならないのだ。この月額使用料金は定額制なので、1日2時間しかプレーできない社会人ユーザーと、日がな一日中ゲームのできる学生さんも同一料金となる。社会人は接続時間帯も限られてしまうし、使った時間がダイレクトに反映されるオンライン専用RPGにおいては、これは大きなハンデになります。それなのに払う金額は一律とは納得できない。

     ゲーム本編が高すぎるのも気に入らない。オンラインRPGはソフト単体では作品として成立しないのに、前作と同じ値段で売ろうとは何事か?!新規にオンラインゲーマーを取り込もうとするらならば、思い切ってゲーム本編価格を4800円程度の低価格に設定して、月額使用料金で元を取るくらいのビジネスモデルで挑むべきだ。もし本編が4800円だったら、月額1280円という設定でも「あり」だと思う。それだけ「長期間遊ばせる自信がある!」という、製作者の心意気を感じられるから。

     私はことあるごとにFF11を否定してきていますが、オンラインRPGそのものを否定する気はありません。むしろ、その面白さを啓蒙してくれるゲームの出現を心待ちにしているのです。FF11に期待するところがあまりにも大きかったため、失望もより深いものになってしまいました。可愛さあまって憎さ1万倍というやつです。ビジネスモデルとしてのネットゲームを否定する任天堂のスタンスは正しいのか? その答えは数ヵ月後に出ます。駆け足で進化してきたゲーム業界は、置き去りにしてきた大切な何かに気付くことが出来るのでしょうか…

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    文責:GM研編集部編集長 gonta

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