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【「千と千尋の神隠し」がベルリン国際映画祭で最高作品賞を受賞】 |
ベルリン国際映画祭で、宮崎駿監督作品「千と千尋の神隠し」が最高作品賞「金熊賞」を受賞した。日本映画の興行記録を更新し続けるこの作品だが、アメリカでの評判がいまひとつであり、ベルリン映画祭の下馬評でも決して有力な候補ではなかった。しかし、緻密な映像に魅せられると同時に、西洋的なファンタジーに東洋の風俗や土着的要素を盛った点が斬新に映ったようで、アニメ作品としては世界三大映画祭で初受賞となりました。ところが、凱旋帰国の記者会見の席で、宮崎監督は賞賛の声に、意外な回答を示しました。
「僕に言わせれば日本のアニメはどんづまりですよ」と、意外な発言。さらに高ぶった口調で「たとえば庵野(秀明)監督が自分から『僕らは先代の作品を模倣してばかりいるコピー世代。でも、僕らのあとに続いているのはコピーのコピー、そして今やさらにそのコピーの時代なんですよ』って言ってましたが、その通りに事態は深刻だと思う。だいたい、ジャパニメーションなんて言っていい気になってますが、実態は過度の暴力・セクシャル描写があるだけで評価にも値しない。うかつに海外に広めても結果的に恥をかくだけですよ」
また、「現代日本におけるアニメ文化のありかたは?」と問われると、「たとえば『となりのトトロ』を1日に5回も見てる子供がいる、なんていう話も聞きますが、自分たちで売っておいて何ですけど『そんな時間があったら外で遊べ!』と言いたい。僕自身すごくジレンマがあるんですが、それだけの時間で体験できることのほうが貴重ですよ。アニメやゲームに熱中しすぎるのを大人なり親が止めなきゃダメでしょう。親や地域が、それに代わって子供の想像力を生かせる空間を作らなきゃ、と思う」とも。
私も宮崎アニメで育った世代ですが、宮崎アニメに人生観を左右するほどの影響力があるとは思いませんし、教育的効果があるとも思いません。なぜなら、宮崎アニメはある程度の原体験がないと心の底から楽しめないからです。「トトロ」で描かれる自然と動物との触れ合いも、「耳をすませば」で描かれる初恋、「もののけ姫」で描かれる自然への畏れ…自らの体験があるからこそ、「宮崎アニメ」というブランドの色眼鏡を通さずに、作品に共感を覚えることが出来るのです。
しかし、これらをスクリーンの中の疑似体験として認識してしまうのが、現在の「子供達」なのです。ゲームや漫画やアニメは、日本が世界に誇る娯楽産業に成長しましたが、それは作品の質の向上を必ずしも意味しません。リアルをリアルに感じないコピーのコピー世代が作る、ゲームのためのゲーム、漫画のための漫画、アニメのためのアニメ…その先にあるものは何なのか?ちょっと想像力を働かせれば、それがいかに危険なものか容易に想像できるでしょう。
めでたい席で主賓自らこのようなネガティブな発言をすることを、「大人気ない」と思う人もいるかもしれないが、誰もがそう思っていても、誰にも言えないことを代弁するのが、トップクリエータの責務ではないでしょうか? 宮崎監督のアニメ監督最後の仕事の仕上げとしては相応しいかもしれませんね。
【ファイナルファンタジーX ピアノコレクション】 |
ああ〜ダメだダメだダメだ!mini reviewでは多分初めての全面否定をしなければなりません(欝)。残念です。何がダメって、ピアノアレンジがイメージに合いません。ただでさえ、FF10はフルボイスなのでゲーム音楽が一歩引くような作りになっていて原曲の印象が薄いのに、それをさらに技法に走ったアレンジを加えるので、まったくゲームのシーンが思い浮かんできません。「ザナルカンドにて」はそもそもピアノ曲なのでピアノが合って当然ですが、許しがたいのが「素敵だね」のアレンジ!原曲の透明感と情感を台無しにする「ひとり多重奏」が不快極まりない!
サウンドアレンジャーが変わると、ここまで音は変質してしまうのか…植松サウンドの信奉者としては許しがたいアレンジの失敗です。全体的に高音が多くて「音が軽い」し、原曲の「芯」となるべき部分が貧弱だ。ゲーム音楽は「ピアノのらしく」弾いてはいけないのだ。アレンジは最小限に止め、あくまで原曲のコードをピアノで追いつつ、楽曲レベルでの技法に走らずに、演奏の現場レベルでの技法で+αを引き出していく。すぎやまこういち、久石譲を代表とする稀代のピアノアレンジャーの作品とは比べ物になりませぬ。あぁ、植松伸夫アレンジで聴きたかった… |
【おとなのしくみ(4)】 鈴木みそ |
週刊ファミ通に連載されていた「おとなのしくみ」の最終巻です。デジタル彩色の技術もどんどん上達しているし、毎回毎回締め切りギリギリまで粘って濃いネタをさらに凝縮してあるので、読み応えたっぷりです(その代わり、連載中はいつ落ちることやらハラハラしてましたけど)。単行本はほぼ全ページカラーの塗り直しがされてますが、ネタの差替えは(珍しく)ほとんどありませんでした。読み物としても十分に面白ろいので、ゲーム業界のダーティーな本音を垣間見てみたい方には是非オススメします。現在、みそ先生は無職生活を満喫中。連載中はゲームをやるのが嫌で嫌で仕方がなかったのに、ゲーム誌の仕事から解放されて「もうゲームをやらなくていいんだぁ!!!」と思っていたのに、いざ暇になってみると朝から晩までゲーム三昧。充電が終ればまた復帰もあるかもしれません。気長に待つことにしましょう。 |
【週刊ファミ通 vol.690】 エンターブレイン |
今週のクロスレビューは、Xbox用ゲームと月末が重なって本数が多すぎて紹介し切れません。まずはPS2「ゼノサーガ」が33点を獲得(ムービーの長さや物語の難解さに難癖をつけようとする、クロスレビューの悪癖はどうにかならんのか?)。PS2「いただきストリート3」は32点を獲得(何も変わってないゲームを語ることほど楽なものはない。でも、プロのレビュアーがそれでいいの?)。PS2「Kanon」は29点を獲得(他機種版との比較に終始して、ゲーム自体の特徴がまるで伝わってきません。そりゃあ、こんな移植版なんてマニアしか買わないよ。折角4人レビュアーがいるのだから違った視点で書いて欲しい)。Xbox「DEAD OR ALIVE」は37点を獲得(まぁ、ファミ通の評価は性能とブランドに依存するので、格闘ゲームとしての評価はあてに出来ませんけど)。Xbox「ジェットセットラジオフューチャー」は32点を獲得(新生セガの目玉商品のはずだが、いまいちパッとしない評価かも)。Xboxの「幻魔鬼武者」と「サイレントヒル2」は移植なので割愛。Xboxの「信長」もいつものことなので割愛。Xboxのなんかスノボやら、レースゲームも割愛します。
「広井王子のマル天通信」の右隅「広井さんコレやりましょ」に、「吉松孝博 先生」(サムシング吉松先生の本名)のコメントが掲載されていました!これで「セガいち」のファミ通ジャックは成功だ!? |
【ドリマガ 3月8日号】 ソフトバンク・パブリッシング |
先日開催された「Playstation Meeting 2002」にて、カプコンが発表した「NETWORKバイオハザード」が波紋を呼んでいる。昨年の9月13日に大々的にバイオシリーズの「ゲームキューブ独占供給宣言」をしていたのだから、今回の発表は方針の転換と受け取られても仕方がない。カプコン側はHPで「ゲームキューでの製作は予定通り進める」との公式見解を出しているが、任天堂は「独占契約をしたわけではないので、コメントできる立場にない」と慎重な姿勢を崩していない。カプコンとしては、ネットゲームに消極的な任天堂だけに絞ってしまったら、ネットゲーム開発に乗り遅れるという危機感があったのだろう。親方ソニーを納得させるためには看板タイトルである「バイオハザード」を外すわけにはいかない。「ネットゲームだからシリーズとは別物。独占供給宣言に矛盾はなく問題ない」という主張は詭弁だが有効なやり口である。しかし、ゲームキューブへの独占供給を推進していた「三上真司」を代表とする現場の人間が黙ってはいないだろう。ゲームキューブ版の「バイオハザード(1)」の成否如何によっては、開発陣の分裂という最悪のシナリオも? |
【Xbox日本上陸】 |
2002年2月22日、2並びの今日はXboxの日本版の発売日です。すでに恒例になっている渋谷TSUTAYAでのカウントダウン販売には、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長も姿を見せるなど、なかなか盛り上がっていたようだ。平日である上に予約販売が順調だったこともあり、行列の規模はそれほどでもなかったようだが、出足はそこそこ好調のようだ。
マイクロソフトの発表によると、初回出荷台数は25万台とのこと。5万台の限定版込みの数字なのか判別できないが、PS2(65万台)・ゲームキューブ(50万台)に比べたらずいぶん控えめな数字と言えよう。まぁ、PS2のように「初回100万台宣言」をしておきながら65%しか準備できなくて市場を混乱させたり(しかもバグだらけだった)、ゲームキューブみたいに猛烈に売れ残るよりは、ちょっとくらい品薄感を煽る程度が良いのかもしれない。(翌23日、日本橋に行ってみたらどこでも普通に余ってました。限定版すら余っていましたよ。報道は加熱してるけど、現場の反応はこんなもんです) 私個人としてはXbox購入の予定はありません。買う金が無いわけではありませんが、自分を納得させるだけの購入動機が見つからない。「どうしてもこのソフトがやりたいんじゃぁ〜!」「このソフトのためなら34800円出しても惜しくない!」と思わせるソフト(キラータイトル)が出てこない限り、どんなに値下されても買いません。 よく「ハードの命はソフトのラインナップである」という理論を見かけますが、それは半分正解で半分不正解です。ユーザーレベルの視点では、そのハードの市場がどうなろうと知ったことではありません。たとえ1本でも自分にとって最高のソフトがあれば、それでいい。確かに、ソフトの数が多い方が選択の幅が広がるが、常に選択に頭を悩ますこととなり、時間の潰し合いが起きる。むしろ、ゲームの密度は薄くなってしまうのだ。 私には、ユーザーレベルでXboxを購入する動機はないが、アナリストとしては大いに期待している。SCEの一極支配と独自路線を突き進む任天堂。この両者の共存は可能だが、衝突しないということは市場に競争原理が発生しないということでもある。価格競争や人気タイトルの争奪戦が起これば、結果的には質・量共にユーザーは恩恵を享受することが出来る。赤字上等のチキンレースに勝ち残るには、企業の資本力がモノをいうが、その点ではマイクロソフトには唸るほど金はある。「勝つまでやめない」と、あくまでも強気の姿勢を崩していない。挑戦者としては間違いなく最強である。慢性的な構造不況に陥っているゲーム市場はXboxを新風を巻き起こすニューヒーローとして歓迎するだろう。 ただし、現在はまだ、洋ゲーで勝負するのか?ネットゲームで勝負するのか?メイド・イン・ジャパンの正統を引き込んで勝負するのか? どうやりたいのかが見えてこない。アナリストとして冷静に分析すると、期待半分・不安半分といったところですね。業界の活性化は結構ですけど、それが限られたパイの奪い合いにならないよう願いたいものです。 |
文責:GM研編集部編集長 gonta