Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.113
2004/08/25


【News Headline】
  • 日本が熱くなれるのはオリンピックだけですか?!
  • 【mini Review】
  • アニメ
  • : マリア様がみてる 春「銀杏の中の桜」
  • マンガ
  • : NHKにようこそ!(1)
  • 雑誌
  • : 週刊ファミ通 9月3日号(vol.820)
    【Weekly Column】
  • 休載

  • ■News Headline

     【日本が熱くなれるのはオリンピックだけですか?!】 
     日本人のオリンピック好きは世界的にも有名ですが、今回のアテネオリンピックでの盛り上がりは過剰すぎるかもしれません。日本選手団の大活躍によって、東京オリンピックを上回るペースのメダルラッシュが背景にあるとはいえ、競技の放送時間帯は超深夜or超早朝と、完全にずれているんですけどねぇ…その分、録画需要が高まって、DVD・HDDレコーダーがバカ売れしてデジタル家電景気の後押しをしているという… 先の参議院選挙のゴン中山出演のCMではないけど、「日本が熱くなれるのはオリンピックだけですか?!」と言いたくなってしまいます。

     私の場合、今年の夏はコミケに参加できないほど仕事が忙しかったし、コミケの初日とオリンピックの開会式が同じだったこともあり、なんだか知らない間に競技が進行して結果だけをニュースで聞いていたので、特に何も感想はありません。もっとも、生中継でアナウンサーの絶叫や応援ばかりの解説を何時間も聞かされるよりは、いいとこ取りで観た方が素直に楽しめるのかも知れませんけど。

     しかし、あまりにも熱くなりすぎて「金メダル確実!」と、マスコミが言い続けてしまったため、観る側もその気になってしまい、サッカーや野球での敗退に対して「がっかりだ」というような雰囲気になってしまったのが、とても残念だと思います。中国とか南米とかだと、ストレートに戦犯探しに走ったりするから分かりやすいのですが、日本の場合は「健闘空しく…」とやんわりとお茶を濁してしまうので、いつも問題の本質は先送りになってしまいます。さんざん世論を煽っていたマスコミが、手の平を返したように責任追及で騒ぎ立てるのもおかしな話であり…

     野球の日本代表の敗因については、不慣れな国際ルールなどのハンデキャップも確かにあっただろうけど、それ以上に、日本のマスコミがあまりにも自分のチームを正確分析しすぎた事にも原因があると思います。相手チームは、日本のスポーツニュースを見れば先発ローテーションはほとんど分かってしまうし、相手さえ分かれば日本のプロ野球のデータ映像資料はいくらでも手に入りますからね。その反面、相手チームのデータは皆無に等しい。情報戦の時点で完全に負けていたんですよ。

     それに、「金メダルを獲るしかない」とプレッシャーをかけすぎてしまったことで、ピークへのもって行き方を誤ってしまった感も否めない。予選で全力を出しすぎて本選でへたってしまうのは、日本人の悪い癖ですから。個人競技では最近の日本人選手の意識が変わってきたからプレッシャーにも動じないけど、団体競技ではどうしても連帯感ゆえの油断があるし、責任感も増幅させてしまいます。良くも悪くも日本人の気質は変わってしまったようですね。もっとも、火付盗賊のようなマスコミのやり口に踊らされている観る方はちっとも変わってはいないようですが…嘆かわしいことです。


    ■mini Review

     【マリア様がみてる 春 「銀杏の中の桜」】  
     さて、マリみて第二期の名場面になるはずだった「マリア祭の宗教裁判(命名:松平瞳子)」は…なぜでしょう?これといった盛り上がりもなく、あっさりと終了してしまいました。前回の放送で不自然なほど志摩子さんと乃梨子のラブラブっぷりをたっぷり時間をかけて描いていただけに、今回の嘘のような詰め込み加減に何か納得できないものがあります。

     原作との対比では、「瞳子が薔薇さまに憧れていた」という下りもなかったので、瞳子は本当に単なる悪役になってしまいましたし、祐巳ちゃんが動揺のあまり「どどど」と道路工事してしまう仕草もなかったし、志摩子さんと乃梨子のふたりの居残り後片付けもカットされていたし、実は駆け付けていた聖さまとバッタリ遭遇する場面もカットされていたのが残念で仕方がありませぬ。ちなみに、細川可南子も1カットだけチラリとモブ(群集)として出演していました。おそらく第三期までは出番も台詞もないんでしょうけど…

     次回はいよいよ最大の見せ場「レイニブルー」です。あの胸が締め付けられるような名場面と、そこに至るまでの流れをどう演出するのか…お手並み拝見といきましょう。

     【NHKにようこそ!(1)】 滝本竜彦・大岩ケンヂ / 少年エース 
     通勤電車の吊広告で、「角川ネガティブキャンペーン・NHKにようこそ!」を見た時、「マジですか!?」とやたらとインパクトを受けたことを覚えています。ちょうどNHKのプロデューサーの制作費横領問題が明るみになった頃だったので、非常にタイムリーなネタでしたしね。「NHK非公認」「青春を後ろ向きに駆け抜ける驚愕のノンストップひきこもりアクション」などなど、香ばしいキャッチコピーに心躍ったものの、その時は「ふーん」というだけで済ませました。しかし後日、虎の穴の無料冊子「とらだよ」の中で、第1話まるごと収録というとてつもないタイアップ企画をやっていたので、気軽に第1話を読んでみたら…はまってしまいました。ちなみに、この作品中でのNHKとは、「Nippon Hikikomori Kyoukai」の略称であって、例の公共放送局とは関係はありませんので、あしからず。

     ただし、この作品は「いろんな意味で危険だから面白い」のであって、マンガとして面白いのかどうかは、もうしばらく様子を見たいと思います。何しろ、第1巻だけでは「プロジェクト」が一体何なのかさっぱり見えてこないし、ひきこもり脱出どころか、むしろ症状は悪化しているので…でも、それでも、オタクな人々にとって、この作品が放つ後ろ向きのひきこもりダメオーラ・毒電波・壊れっぷりには、何かしら感じ入るところがあると思いますよ。この先の展開がとても楽しみであり、恐ろしくもある作品です。

     【週刊ファミ通 9月3日号(vol.820)】 エンターブレイン 
     「ファミ通エクスプレス」で、PSPとニンテンドーDSに関する、ユーザーと販売店のアンケート結果が載っていましたが…なるほど。なかなかハッキリした傾向が出ましたね。ニンテンドーDSに魅力を感じると73.6%のユーザーが答えたのに対して、PSPに魅力を感じると答えたのは58.6%止まり。ソフトラインナップについても、NDSに期待できると答えたのは63.7%に対して、PSPは35.9%止まり。このように、数字だけを見ているとPSPが劣勢であるようにも見えるが、携帯機市場を独占していた任天堂に対抗する新機種であることを考慮すれば、PSPは十分に話題性のあるハードだと言えるでしょう。現段階ではPSの延長線上のものとしか具体的なビジョンがイメージできないのが、立ち上げのプロモーションとしては「らしくない」のかな?とも思ったりもしますが…

     今週のコラム「浜村通信」のテーマは「小学校での講演」の中に、気になる一節がありました。経験のない人にはいくら説明しても共感できない。そう諦めてしまっているボクらの中にも問題があるのかもしれない。理解できないものを懸命に理解しようとしている人たちが居るのだから…なるほど、確かにそうですね。でも、下手にゲームに理解のありすぎる親というのも考え物だと思いますよ。手取り足取り教えられたことで感動できるわけがないし、何でも許される環境では叱られて初めて知るモラルが育つこともない。創意工夫とは、数え切れないほどの失敗から生まれるものなのですから。親たちも子供が夢中になっているものを理解しようとする努力は必要です。聞きかじったニュースで悪影響があるからと、ゲームを遠ざけたり取り上げたりするのではなく、まずは自分の手でトコトンやってみればいい。子供から学ぶ姿勢が必要なのではないでしょうか?

     あともうひとつ。「ゲームで感動したことがあるか?」という質問に、子供たちがひとりも手を挙げなかったこと。これはとても寂しいことだと思います。小学生がやるゲームに物語性を求めることは無理があるかもしれません。ゲームに置ける感動というものは、キャラクターへの感情移入が必須であり、その感情を理解するためには、実生活での多くの経験が必要なのですから…少なくとも、小学生に「CLANNAD」をやらせて60時間以上かけて遊んでも泣けるとは思えませんから(^^


    ■COLUMN

     【休載】
     ※今週のコラムは、激務続きで時間が取れなかったため、お休みさせていただきます。


    文責:GM研編集部編集長 gonta