Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.112
2004/08/17


【News Headline】
  • ナベツネのオーナー辞任について
  • 【mini Review】
  • アニメ
  • : マリア様がみてる 春「チェリーブロッサム」
  • ムック
  • : マリア様がみてるプレミアムファンブック
  • ムック
  • : 週刊わたしのおにいちゃん増刊号
    【Weekly Column】
  • 同人活動を続けることの意味

  • ■News Headline

     【ナベツネのオーナー辞任について】 
     オリンピック大好きの日本人が、アテネオリンピックの日本勢のメダルラッシュに夢中になっている最中、自他共に認める球界の首領(どん)こと、読売巨人軍のオーナー:通称ナベツネ氏が、日本学生野球憲章で禁止されているアマチュア選手への金銭授受問題の責任を取るとして、オーナー職を退くと電撃発表して大きな波紋を呼んでいる。大学ナンバーワンと言われている明治大学の的場投手に対し、巨人のスカウトマンが「栄養費」などと称して強引にお金を渡していたようだが、この金銭授受は球団幹部公認の元で行われていたことが発覚。時期が時期だけに責任は重大だとして、渡辺オーナーをはじめ、土井球団社長、三山秀昭球団代表・編成本部長、高山鋼市球団副代表の解任を発表。渡辺オーナーを中心に進行してきた1リーグ制への移行問題はどうなるのか?揺れる野球界の今後の行方は、さらに混沌としてきた。

     それにしても、程度の軽重に差はあれど、どこの球団でもやっていそうな接待で、イチ選手へのたかが200万の端金で、オーナー、球団社長、球団代表という最高位幹部の首が揃って飛ぶというのは、いささか過剰反応すぎる気がする。ここまでやられてしまうと、勘繰りたくなるのが人間の心理というものです。情報から推察するに巨人の狙いは、責任問題は決着済みだとして、過去にさかのぼっての不正調査を封じることにあるのだろう。あれほどの有力新人を集めるのに、巨人軍のネームバリューと長嶋さんのカリスマ性だけでまかり通っていたとは思えない。本人への直接的な金銭授与などというお粗末な事はしていなくても、選手の周囲を固める人間にこっそりと働きかけを要請することは、当たり前に行われていたことだろう。もっとも、後者に関してはそれこそ自由獲得競争の戦術として黙認されているわけですけど…

     加熱する自由獲得枠を問題に上げる人もいるが、しかしそもそも、ドラフト制度に逆指名制度(現在の呼び方は、自由獲得枠制度)とFA制度の導入を強力に推進していたのは、他ならぬナベツネ元オーナー自身だったんですよ。読売グループの無尽蔵の資金力と過去の栄光を武器にして、自分に有利なルールばかり作ってきた結果は…招いたのは選手年俸の高騰による球界崩壊の危機でしかない。「野球界の発展のために尽力した」と評価する人もいるでしょうけど、それはあくまでも自分を基準にしたものでしかない。富みの配分も戦力の均衡も考えなかった。その辺が、メジャーリーグのニューヨークヤンキースのスタインブレナナーとの違いなのでしょう。

     残念ながら、ナベツネが辞めたところで、球界再編の流れは変わらないでしょう。選手の年俸を「来年から半額でよろしく」なんて言えませんからね。経営努力による改善策もなく、合併すれば強くなるし1リーグになれば巨人戦の放映権もらえてウハウハ、なんてことしか考えられない人間しかいないのがオーナー会議というやつですからね…ナベツネもオーナー職を辞したもの、読売の大株主であることには変わりは無いのだから、球界への影響力や発言力は事実上変わらないわけですし…ふぅ…


    ■mini Review

     【マリア様がみてる 春「チェリーブロッサム」】  
     3薔薇様も卒業してしまい、いよいよ新年度がスタート!まずは、志摩子さんの妹になる乃梨子ちゃんの登場なのですが…なんでしょう?このエロエロな雰囲気は?こういう話だったかな?と疑問に思って原作の小説を読み返してみたら…なるほど。小説版は乃梨子主観で書かれていたし、今回の話の内容はわずか53ページのものでしかないから、「儚くも神秘的な志摩子さんの雰囲気」の演出にクドイほど時間を使っていたのでしょう。あ、少し訂正。小説版はザッピング形式で書かれているから、後半部分の「瞳子ちゃん登場」の部分も今回の話に収録されていましたね。1本の時間軸で構成する以上仕方の無いことですが、演出効果としては弱くなるなぁ…と思ってみたり。

     瞳子ちゃんも今回初登場。出ました!縦に揺れるドリル縦ロール!第二期では完全に祐巳の敵役の役どころなのが辛いとこですが…それならそれで、割り切って小憎らしい悪役に徹しているあたりを、今後は評価していきましょう。可愛げのある裏腹な好意の演出は第三期に期待を持ち越しということです。更に細かい点では、志摩子さんのお父さん(住職)が少し男前すぎる気がするのですが…あの顔で花寺の講演で爆笑を取るのは…ちょっと想像しにくいですねぇ。そういえば、「タクヤ君」の下りが全部バッサリカットされていましたが、では後日の新聞部の真美さんのエピソードもカットということでしょうか?ちょっと残念なり。

     【マリア様がみてるプレミアムファンブック】  
     プレミアムブックというから、どんなものになるのかと思っていたら、シリーズと全く同じ文庫本の版型だとは…かなり意外でした。もっとも、版型がデカイだけで、買っても画集としてほとんど見ることなんてない、その他多数のプレミアム商売に比べれば、お値段的にも内容的にも妥当な内容だと思いますよ。内容としては、お約束のアニメ設定資料は当然として、三薔薇様(蓉子さま、江利子さま、聖さま)と一年生トリオ(祐巳、由乃さん、志摩子さん)の出演声優さんによる対談記事や、ひびき玲音先生の描き下ろし漫画や、ひびき玲音先生のアフレコ現場レポートや、蓉子さまが祥子さまを妹に選んだ書き下ろしエピソード「Answer」も収録されています。うん、こうして改めて書いてみると、なかなか充実した内容ですね。とても552円+税のファンブックとは思えないくらいに(笑)

     ちなみに、基本的にイラストレーターのひびき玲音先生が描くマンガというものを、今回初めて見ましたが…どうしてもマンガの「マリみて」というと、マーガレットで連載中の長沢智さんのイメージが先に来てしまうので…どうしても比較評価してしまいます。コマ割りや台詞の流れとか、やっぱり細かい部分で漫画家とイラストレーターの考え方の違いがあるみたいですね。どっちが良いとか優れているという意味ではありませんけど。本物以上の本物を受け手が作れるということは、それだけ作品が愛されているということなのですから。

     【週刊わたしのおにいちゃん増刊号】  
     シリーズ本編が発売された頃はかなり過剰な人気だと思ってはいましたが、好評を受けて増刊号として出版された今号は…市場ではかなりダブついているみたいですね。日本橋のソフマップでは半額で在庫処分に踏み切ったそうですし…「フィギュア付き雑誌」は今後も雨後の竹の子の如く続々と登場しますが、品薄で人気を煽って話題先行での短期決戦商品でしかないなら…このブームはそう長く持たないかも知れませんね。

     さて、この増刊号の内容としては…ブックレットが16ページ増で内容もかなり充実しています。興味深かったのは「わたおにが出来るまで」のまとめた資料コーナーです。2002年4月に「電撃萌王創刊号」誌上のよつばスタジオの嘘企画コラムの中で発案された思いつきが、1年8ヵ月後かけて本気で商品化してしまい、大ヒット商品になってしまったのですから…世の中何が流行るか分かりませんな。最近では同人の世界にもフィギュア付きのものが出てくるなど、俄かに立体造形ブームが起きつつあるようです。イタリアで9月に開催される建築展にも、この「わたおに」フィギュアの大嶋優木氏が出展することが話題になったりするくらいですし(しかもイタリアのイベントのカタログが、日本でフィギュア付きで売られる始末)。とりあえず、ブームの火付け役となった「わたのに」シリーズは今回で終了とのことですが、またとんでもないお馬鹿さんな企画で世間をあっと言わせて欲しいものです。


    ■COLUMN

     【同人活動を続けることの意味】
     さて皆様、今回の夏の祭典はいかがでしたでしょうか?えっ?オリンピックはまだ続いているじゃないか、ですって?いやいや、祭典は祭典でも、オタクの祭典こと夏のコミケのことですよ。今回はたまたま開会式と1日目の日程がぴったり合っていたので、尚更紛らわしいのですが…延べ50万人の参加者が終結するコミケも、開催規模では十分国際的な祭典と言えなくもないと思います。実際に、この日のために海外からやって来る強兵もたくさんいますしね。

     しかし、私は今回は仕事のため3日間とも参加できなかったので、いつもとは勝手が違いました。まずは、友人にサークル販売の全権委任をお願いして、販売対応マニュアルを作成して、買出しを頼むリストも作成して、宅配便搬入もやって…やらなくてはならないことはいくらでもあり、開幕前にワクワクするような感覚はまったくなくて、ちゃんと全権販売代行の指示ができたかどうか、買出し依頼リストと作戦に不備はないだろうか…と、不安ばかりが募ってしまいました。しかも、自分が発行している本の現物は、すべて会場搬入にしてあるので、作者本人が確認できるのは、8月17日に荷物を在庫として受け取ってからになります。誤植はないのか?色はちゃんと出ているのか?デザインミスはないのか?…あれこれ考え始めるとなかなか寝付けなくなってしまって…

     ようやく実感が得られたのはコミケが終わってからでした。休日の8月17日に会場から発送してもらった在庫と、買出ししてもらった本を受け取った時でした。冊数的には、私がいつも買っている量の4分の1にも満たないはずなのですが、あまりのありがたさに泣きそうになってしまいました。この1冊のコピー本を手に入れるために、どれほどの人波に揉まれたことか…私もつい最近まで最前線で戦っていたので、その光景がありありと想像できます。自分が買う分のついでならまだしも、頼まれ物のためにそこまでしてくれるのだから…申し訳ない気持ちとともに、自分は本当に良い友人に恵まれているんだなぁ…とありがたく思えて…冗談抜きで、どの方向に足を向けて寝ればいいものやら、真剣に考えてしまいました。

     今回は、財政難による印刷費捻出問題では、PEPPY ANGELの桜月りんさんに良い印刷所(緑陽社)を紹介していただきましたし、イベント当日は仕事のため作者不在という非常事態でしたが、友人の協力によってなんとか無事に販売を行うことができました。残念ながら今回私は販売の現場に立ち会うことはできませんでしたが、蒸し暑い中スペースまで足を運んでくれた方、稚拙な私の本を手にとって下さった方、ご自身の原稿で忙しい中アンケート企画に参加して下さった同人誌作家の皆様、そして私の我儘に付き合ってくれている友人たち、すべての人々に山よりも高く、海よりも深く感謝させていただきます。

     転職後は午前様が当たり前の忙しい日々が続いて製作の時間が激減し、即売会の日が休みになる確約もまったくありません。自力での販売に責任を持てないのなら、サークルとして次回の参加申し込みをするべきではないのでは… 一時は真剣に同人活動の休止も考えていました。しかし、今回の件でいかに多くの人に支えられてこの活動が成り立っているのかを改めて思い知るに至り、その期待に応えることをやめたくない、改めてそう強く心に誓いました。こだわりを捨てる時は死ぬときだ。そう決意して始めた道です。戦場で戦って散れるなら本概というものです。自分の独りよがりではなく、どこかの誰かに見せることを前提して、目に見える批判も無形の応援もすべて残さず受け止めていく。その気持ちがある限り、私は道を見失うことはないでしょう。ゴールはまだまだ見えません。今はただ走り続けるのみです!

     それでは、2004年12月に、「GM研通信vol.3(正式名称未定)」をお届けできるよう、通常更新にもより一層の精進を重ねて行きたいと思います。いつかこの激闘の日々を良い想い出として語れる日を迎えるために…


    文責:GM研編集部編集長 gonta