Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.11
2001/07/30

■News Headline

【任天堂「エムブレム」訴訟問題を考える】 from ZDnet

 任天堂は本日(7月25日),エンターブレインとティルナノーグが共同開発した「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」が,任天堂のゲームの著作権を侵害しているなどとして,両社などを相手取り,このゲームの製造・販売・頒布の差止めと損害賠償(2億5830万円)の支払いを求める訴訟を東京地方裁判所に起こした。

 このゲームは開発当初「エムブレムサーガ」というタイトルだったが、発売直前になってタイトルを変更した。おそらくこの時点で、秘密裏に任天堂とエンターブレイン両者の間に示談が成立していたはずなのだが… なぜゲーム発売から2ヶ月近く経った今になって訴訟に踏み切ったのか、謎は深まるばかりである。

 この訴訟では、開発会社「ティルナノーグ」の社長:加賀昭三氏も個人として訴えられている。任天堂でファイアーエムブレムシリーズの製作責任者として活躍した加賀氏が、独立して設立したのが「ティルナノーグ」。この問題の根本は、類似品がどうのこうのではなく、むしろ「クリエータの独立や引き抜きによるアイディアの帰属定義」を狙ったものと言える。今回訴えられたファミ通でおなじみのエンターブレイン社が、どのような公式反応を示すのか注目したいと思います。(多分、長いものには巻かれてしまうでしょうけど。相手は天下の任天堂。しがない雑誌が喧嘩を売れる相手ではないです)

【コナミがハドソンを買収?】 from ZDnet

 7月26日,コナミとハドソンは資本提携を伴う戦略的業務提携を行うと発表した。コナミはハドソン全株45%となる560万6000株を取得。ハドソンの筆頭株主となり、コナミの子会社であるコナミコンピュータエンタテインメントスタジオの事業の一部(札幌における事業全部)をハドソンが分割型吸収分割の方式により継承するという。これにより,ハドソンは事実上コナミのグループ企業となる。

 一応名目は資本提携ということになっているが、事実上これは買収といっていいだろう。かつてファミコン時代を築いた老舗メーカーも、最近では自社ブランドでのヒットに恵まれず、過去の遺産も食い潰し、事実上任天堂の下請けと化していた。諸行無常。私はハドソンという会社が「大嫌い」なので、潰れても1ミクロンたりとも感傷なんてありませんけどね。

 それにしても、コナミの野望は何処に行こうとしているのか?潰れていくメーカーの権利を買い漁り、訴訟合戦で知的所有権を独占し、買収でメーカーすら乗っ取ってしまう。手広くやりすぎで、私にはもう何がなんだかサッパリ分かりません。イチユーザーとしては、業界再編で話題を振り撒くよりも、ちゃんと作品で勝負して欲しいんですけどねぇ。


■Market Research

【順調な滑り出し?FF10】

 発売1週間で初回出荷分214万本の9割以上を販売したFF10。PS2の普及台数が550万台といわれているから、購入率は40%近い。これは実に立派な数字といえるだろう。だが、現場サイドには意外と品薄感が無いのが不思議である。実際に日本橋のソフマップで店頭市場調査をしていると、PS2本体は山のようにあるし、GT3のレーシングコントローラーを買っていく中年男性や、孫のためにGBアドバンスをマリオカートとセットで買おうと店員さんに説明を求めるおじいちゃん、あいかわらずギャルゲーを買っていくオタクたち… おーい、みんな、FF10はどうしたの?

 うーん…まぁ、確かに周りが騒げば騒ぐほど「俺だけはやらないぜ」と頑なになってしまう人もいるだろうし、昔のRPGの辛さを引きずって「RPGはもう引退」と決め込んでいる人たちも多いのだろう。アンチ巨人ファンみたいなものかも。そういう人たちは、一度ブームに乗り遅れると永遠にやる機会を失ってしまう。ゲーム業界の無党派層?実はこの無党派層を大量生産しているのが大作ソフトであり、ゲーム離れを加速させている疑いがある。大作は諸刃の剣なのである。


■Cross Review Review

【黄金の太陽】 from 週刊ファミ通

発売日8月1日
ゲーム業界さすらいの開発会社キャメロットの高橋兄弟が「シャイニングフォース」以来、久々に製作した本格RPG。携帯ゲーム機とは思えないグラフィックと演出。王道シナリオとパズル性の高い謎とシステムを各誌が絶賛している。ただ、戦闘シーンでの演出過多と、謎解きのバランスに不満も。わざわざ携帯ゲーム機で大作RPGをやる事に、どれだけのファンが賛同してくれるかが、ヒットの最低必要条件となるだろう。
開発/販売キャメロット/
任天堂
機種GBA
ジャンルRPG
定価4800円
製作者高橋宏之
高橋秀五

【サモンナイト2】 from 週刊ファミ通

発売日8月2日
ごく一部で非常に評価の高い、知られざるシミュレーションRPG。世界観は軟派でぬるくて居心地がいいが、戦闘では意外なほど無骨で硬派。かわいい絵柄でむしろ損をしているかも。シミュレーションRPGが好きで、この手の絵柄に抵抗が無い方にオススメです。
開発/販売バンプレスト
機種PS
ジャンルSRPG
定価5800円


■Pick up this week

【激突!バーチャ4VS鉄拳4!】 from ドリマガ

 この夏、アーケードゲームが熱い!格闘ゲーム界の二大巨頭が揃い踏み。どうも鉄拳4はバーチャに比べて報道的に地味な気がするが、どちらも根強いファンを持つゲームゆえ心配する必要はなかろう。両方掛け持ちしている格ゲーファンには少々酷な話だろうけど。アーケード業界では、競争はマイナスなのでは?

 私自身はへっぽこ格闘ゲーマーなので、多くは語りませんが、この2本が早い時期に家庭用ゲーム機(PS2?)に移植されることを願っています。特に、セガにとっては死活問題です。現在は期待感だけで持っているセガですが、来年にはその真価が問われます。100万本ソフトが出せないようなら、セガはソフトメーカーとしても失敗の道を辿ることになるでしょう。2001年度内、2002年3月発売が本命か?(鉄拳4と時期が被らないようにして欲しい)


文責:GM研編集部編集長 gonta

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