Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.109
2004/06/21


【News Headline】
  • 近鉄とオリックスが合併に合意。動き出した球界大再編
  • 【mini Review】
  • 漫画
  • : 魔法先生ネギま!(6)
  • 漫画
  • : School Rumble(5)限定版
  • 雑誌
  • : 週刊ファミ通 7月2日号(vol.811)
    【Weekly Column】
  • 休載

  • ■News Headline

     【近鉄とオリックスが合併に合意。動き出した球界大再編】 
     唐突に発表された、近鉄とオリックスの合併合意宣言に…プロ野球界は大きく揺れています。オーナー会議で4分の3以上の賛成があれば承認されるということですが、企業の経営問題に関わることなので他球団のオーナーが強く反対できるものではないし、これまで近鉄の球団名売却やダイエーの外資系企業への身売り問題が浮上した時には猛反対した、「球界の首領」こと巨人の渡辺恒男(ナベツネ)も合併を容認する姿勢を見せており、球団合併は事実上承認されたも同然ということで、着々と準備は進められているようです。

     なぜナベツネが今回に限っては反対しなかったのかというと、かねてより氏が唱えてきた「1リーグ制」を実現するまたとない機会であるからだ。パリーグがもし来年5球団になるとすれば、毎日試合がないチームがひとつ出来てしまい、試合消化に大きな問題が出てしまいます。また、合併するにしても、支配下登録選手だけではなく裏方などの球団関係者も、約半数が現場を追われることになるため、受け入れ先をどうするのか、どの選手を残して放出する選手の獲得方法は?などなど、多くの野球協約の変更を含めた根本的な改革を先送りにしたたまま、シーズンに入るわけには行かないのです。

     1リーグ制に移行するにしても、まだ問題はあります。対戦カードを組む上では球団数が偶数でることが望ましい。しかし、この野球不況のご時世に、新球団を1つ増やすのは現実的とは言えない。となると、さらにどこかが合併に走るか、それとも消滅するか、いずれかで1球団を減らさなくてはならなくなる。現にナベツネは、迂遠的な表現ではあるけど意訳すると、「1リーグ制にしたけりゃ、パリーグをもう1球団減らせ」と迫っています。すでに、ロッテとダイエーの合併の噂が浮上して、王監督は「ロッテなんかと一緒になっても…」と全面否定し、日本ハムの球団社長は「合併は球界の必然の流れ」と発言するなど、当分の間混迷は収まりそうにありません。

     着々と合併と球界再編へと動いているわけですが、しかし、これらの問題は、すべてファンの声を無視した所で決定し議論が進められているのです。球団側は「どちらの球団名を残すのか」などの的外れな議論に終始し、ファンたちの抗議の意味も込めたヤフーBBスタジアオの連日の大入り満員を、球団側は「合併効果」と喜ぶ始末…他球団が1リーグ制に反対する論拠も「巨人戦の回数が減って収入が減る」というものでしかなく…まったく、こんな杜撰な運営をしてたら、行き詰るのも当たり前だ。根っこが最初から腐ってるんだから、日本にはプロスポーツ文化が根付くわけがないですね…


    ■mini Review

     【魔法先生ネギま!(6)】 赤松健 / 週刊少年マガジン 
     1クラス丸ごと、あらゆる萌え属性をブチ込んだ約30人もの萌えキャラを作ってしまうと、10歳の少年のネギ先生がカッコよく見えてしまうから、赤松漫画というのは不思議なものですね。特に、修学旅行編はバトルの連続なので、まるで少年漫画みたいです(掲載誌は少年誌なんだからそっちの方が普通なのかもしれませんが)。長かったドタバタ修学旅行編も今巻で完結し、次巻からは再び学園萌え漫画に戻りそうですが、明日菜のネギに対する心情の微妙な変化とか、父親のサウザンドマスター絡みの裏設定を匂わせるような伏線があったりと、なかなかに先の展開を見据えた巧みな構成がなされています。ライバル(?)の久米田康司先生の「かってに改蔵」曰く、「使い古された路線を巧みに滑り降りる」赤松先生の作風の境地に達する描き手は、今後もそうそう現れるものではないでしょうね。いずれアニメ化されるとしても、30人からの声優起用ってのは…大変ですなぁ…

     【School Rumble(5)限定版】 小林尽 / 週刊少年マガジン 
     やたらと豪華な若手声優陣を起用したアニメ化も決定し、一気にメジャー人気作品への階段を駆け上り始めた「スクラン」ですが、その最新刊は人気商材の証とも言われる「限定版」も発売されました。限定版と言っても、660円とお買い得な価格設定で、ほぼ全てのキャラクターのプロフィールを掲載した冊子「School Album」が付属。どうにも使いようもないストラップや、卓上カレンダーなどをつけて不当に高い代金をふんだくる、あこぎな限定版商売が横行する中で、この商品はなんとも実用的で良心的なものだと思いますよ。

     さて、5巻の内容については…カレリン(一条かれん)が主役の天満ちゃんを喰うほどの存在感を示してくれました。もはや誰も主役だとは思わなった烏丸くんに至っては、1コマも登場さえないという始末ですが…一貫性というものは全くありませんが、それも「活きの良さ」だと解釈できる面白さが、この作品にはあると思います。天満ちゃんの妹の八雲と播磨君の奇妙な友人関係とか、お嬢(沢近)と播磨君の微妙な関係とか、新登場のハリー・マッケンジー(第1巻を読んだ人にだけ分かる笑い)やララ・ゴンザレスの今後の活躍(引き立て役?)にも注目したい。また、外伝的に主要メンバーとはまったく関係のないサブキャラを主役にした外伝読みきりも、この作品の魅力のひとつだと思います。こういう「なんでもアリ」な雰囲気をアニメでどこまで表現できるのか、期待してみることにしましょう。

     【週刊ファミ通 7月2日号(vol.811)】 エンターブレイン 
     ファミ通エクスプレスの巻頭特集では、任天堂の経営方針説明会で言及された、据え置き型の次世代機のコードネーム「レボリューション」を含めた、任天堂の中長期的なビジョンが詳しく報じられていました。「新しい技術で豪華さと複雑さを競う路線は必ず限界に達する」「すべての責任を中古ソフトに押し付けるのは無理がある」という適確な市場分析。次世代機「レボリューション」においても、「重要なのは次世代の技術ではなく、次世代のゲームプレイ体験」というポイントを強調しています。正式発表は来年のE3になるようですが、おそらくニンテンドー・ディーエスと同様あるいはそれ以上の驚きの提案をしてくれることでしょう。

    「ゼノサーガ エピソードII」のスタッフインタビューが掲載されていましたが…なんというか…ファンにとって、これほど心躍らないインタビューは珍しいと思いますよ。完全に技術者からの視点でシステムの設計思想を延々と語られてもなぁ…ハッキリ言ってしまいますが、誰もゼノサーガにゲーム部分(バトルシステムとか)に過剰な期待なんかしてないんですよ。ファンが知りたいのは「なぜ変えたのか」という前作との比較論ではなく、「どう面白くなるのか」という新しい提案なのですが…シナリオの高橋哲哉さんはストーリー原案ということで製作現場からは一歩引いた立場になり、キャラクターデザインが変わったのは、田中久仁彦氏がメインから外れたからだと言われているし、今回の音楽が光田康典さんではないことも初めて知ったし…どんどんヤル気がなくなってきました。

     今回のコラム「浜村通信」の「ドラクエ5と息子の成長」がとても面白かった。10歳の小学生の息子が、親子の情愛をテーマにした「ドラクエ5」をどう感じるのか…リアルタイムで元祖バージョンのドラクエ5を体験した、ゲーム世代も今ではいい年したオトナになりましたが、果たして現実の世界においてもゲームの面白さは次の世代に受け継がれるのか…とても興味深い命題だと思います。でも、やはり真の名作というものは、時代を越えてまったく等しい感動を与えてくれるものなのですね。10歳の子供が結婚相手の選択に真剣に悩んで、仕事中の父(浜村編集長)の携帯に珍しく電話をかけて相談し、「結婚式のシーンを一緒に見て欲しい」と言ったという事実。オトナのように「セーブしておて2パターン見ればいいや」という安直な考え方ではなく、ゲームに自分を投影できる子供ならではの純粋さ…もしかすると、今のゲームに一番欠けているものは、遊び手自身のゲームに臨む姿勢にあるのかも知れませんね…


    ■COLUMN

     【休載】
     ※大変申し訳ありませんが、現在、夏コミ新刊の原稿に集中するため、ニュースとコラムの執筆は交互にお休みさせていただいております。


    文責:GM研編集部編集長 gonta