先週のコラムでは、今年のプロ野球セリーグの展望について書きましたが、今週は引き続きパリーグについて各チームごとの戦力分析をしてみたいと思います。混迷を極めるセリーグとは違って、パリーグの戦力構図は至って単純です。西武とダイエーの2強と、その他4チーム。ただし、今年は3位までに入っていればプレーオフに進出できるという新しい制度が導入されたため、上位2チームも安穏とはしていられないし、実質上の残り1つの席を巡って4チームによる3位争いも激化することになるでしょう。確かに、シーズン終盤まで緊張感を保つことで消化試合は減らせるだろうけど、現場でやってる選手たちにとっては、1年間戦ってきて1位になることが=優勝ではない、ということに違和感を覚えるでしょうねぇ…そこで緊張が切れてしまい、余力を残したセリーグのチームに大敗…なんてことにならねば良いのですが…
まずは、5/16現在では首位を独走中の西武について。松井稼頭央がメジャーに移籍し、カブレラが骨折で出遅れたこともあり、打力の低下は避けられないという見方が大半だっし、開幕当初は連敗が続いていたにも関わらず、若手の台頭によって誰もが予想しなかった首位独走。ロッテがなぜか解雇したフェルナンデスは思わぬ大活躍だし、松井稼頭央の後継者として我慢して使うつもりだった中島の才能は一気に開花したし、長年の課題だった伊東監督以後の正捕手の座も、細川でほぼ確定できました。投手陣も大沼が先発で使える目処が立ったし…このチームのスカウトマンは本当に良い仕事をしますねぇ…これで、いまひとつ調子に乗り切れない松坂が復調して、カブレラが戦線に復帰すれば、このまま最後まで独走しそうな気配もあるけど、厄介なのは今年から導入されたプレーオフ制度です。どんなに独走しても、プレーオフで敗退すれば優勝を逃すという理不尽な制度の犠牲第一号にならねば良いが…
次は、ダイエーについて。オフシーズンは本社の経営問題で大揺れに揺れたものの、昨年とほぼ同じ戦力を維持したままシーズンインできました。小久保の理不尽な無償放出については、元々戦力に入れなくても優勝できたわけだから、チーム力という面では影響はありません。それを差し引いても、相変わらず打線の破壊力は健在です。しかし、斉藤・和田・新垣・寺原などの怪我人続出の投手陣もあるし、ルーキーに任せなくてはならない抑え投手陣のコマ不足はもっと深刻です。村松の抜けた穴も意外と大きくて、ホームラン以外で点が取れなくなってしまったのも痛いところ。他チームが軒並み話題性のある新戦力を整備してきただけに、現状維持が精一杯のダイエーの苦戦は免れないだろう。でも、今年は1位になる必要は必ずしもないのだから、短期決戦に照準を合わせたチームの調整さえできれば、十分に勝機はあると言えるでしょう。
次には、日本ハムについて。北海道への本拠地移転とメジャー帰りの新庄効果で、人気面ばかりが注目されていたけど、4月の打率が4割を超えたセギノールと、日本の野球に順応してきたエチェバリアの両大砲と、坪井、木元、高橋、など打線の破壊力は相当のものです。怪我で調子に乗れていない小笠原が復調し、投手陣が整備されれば、3位に食い込むことも十分可能でしょう。新庄は数字だけ見れば相変わらずですが、広い札幌ドームでは守備範囲の広さは重要だし、ムードメーカーとしても貴重な存在です。ただし、怪我がちな選手が多くて選手層が薄くて、シーズンを通して安定した戦力を維持できないのが難点です。
次は、ロッテについて。開幕当初は連勝街道を突っ走っていたが、守護神:小林雅の乱調で連敗に歯止めが掛からず、韓国期待の星:李も極度の不振で2軍落ち。野球浪人から復帰した小宮山や、まだ以前の迫力を取り戻せない黒木に頼らざるを得ないコマ不足の投手陣。オリックスの井原監督との間に勃発した遺恨のせいなのか、オリックスには全敗と相性の悪さも露呈。これでは上位を狙うのはなかなか難しいだろう。バレンタイン采配がマジックを再び起こせるかが焦点に?
次は、オリックスについて。チーム打率3割を超える爆発的な打撃力を誇るものの、9点取っても10点取られて負ける防御率の悪さは致命的です。抑えの速球王:山口も安定感に欠けているし、阪神から獲得したムーアもなかなか調子が上がらないし、マック鈴木はどうにもこうにも…ああ見えて意外と気が短い武闘派の井原監督が、どーしようもないフロントに痺れを切らしてブチ切れるのではないかとの心配が…
最後に近鉄について。オフシーズンは球団命名権の売却失敗騒動を起こしたり、大阪ドームから撤退との噂も流れるなど…チーム全体の華のなさは更に加速してしまいました。年間50本前後を計算できていたローズが抜けた打線の迫力不足の感は否めない。若き大エース岩隈が投手陣を引っ張り、阪神から移籍してきた川尻は活躍しているものの…抑え投手不在で接戦を落とすケースが多く、3位以内に入るのは難しい情勢です。
さて、シーズンが終わった頃どんな結末を迎えていることやら…
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