Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.104
2004/05/09


【News Headline】
  • まさに藪蛇。年金未納問題で進退窮まった菅直人
  • 【mini Review】
  • DVD
  • : 君が望む永遠DVD(1)
  • DVD
  • : 君が望む永遠DVD(2)
  • DVD
  • : 君が望む永遠DVD(3)
  • DVD
  • : 君が望む永遠 〜涼宮家のお見舞い返し〜
    【Weekly Column】
  • プロ野球2004の展望(セリーグ編)

  • ■News Headline

     【まさに藪蛇。年金未納問題で進退窮まった菅直人】 
     年金改革法案を巡って、野党側がしつこく要求していた閣僚の国民年金の納付状況の開示。しかし、これが思わぬ藪蛇となってしまった。与党側は7人の閣僚に未納時期があったことを公開することを引き替えにして、年金改革法案を審議通過させたが、ただでは死なないのが永田町の掟。民主党でも菅直人代表を始め、前代表の鳩山氏の未納が次々と発覚して信用失墜。与党に攻勢をかけるどころではなくなってしまいました。

     ここまでは、自民党も民主党も「同じ穴のムジナ」というイメージでしかなかったのだが、問題なのはその後の対応策の取り方なのです。与党はいち早く先手を打って、小泉内閣の大黒柱だった福田官房長官の引責辞任を発表。それに対し、民主党の菅代表はあくまでも引責辞任を否定し、様々なニュース番組に出演しては「年金制度の一元化に道筋をつけることで責任を果たす」とオウム返しに終始し、質問に的を得た回答さえできない始末。ある番組の世論調査では、福田官房長官の辞任を「当然」と答えたのは64%。菅代表が辞任すべきと答えたのは70%にも上り、「自民潔し、民主往生際悪し」というイメージを世間に与えてしまったのです。やってることはどっちもアウトなのに、イメージというやつは恐ろしいですねぇ…

     そもそも、菅代表の未納期間というものは、HIV薬害問題で政治家として”男を上げた”厚生大臣の在任期間に当たるのです。たとえ手続き上のミスであっても、仮にも年金を扱う省庁組織のトップにいた人間に許される問題ではない。しかも、みすみす敵(与党)に反撃の機会を与えてしまい、自爆テロ(自分の首と引き替えにして与党の信用を失墜させる)のチャンスを逃してしまった。野党第一党の党首として「無能」の誹りを受けても致し方あるまい。

     この記事を書いている段階ではまだ、菅代表が辞めるかどうかは分からないが、「菅代表のままでは、次の参議院選挙は戦えない」という厳しい声が民主党内からも上がっており、辞任は避けられない見通しのようです。私は、政治家は清廉潔白でなければならないとは思いません。強欲で悪辣であっても、有能で結果さえ出してくれればそれでいい。もっとも、その有能さというものは、考えなしに大声を上げることで国民のウケを良くすることでも、資金調達と選挙対策の上手さでもなく、実務レベルでの話なんですけど。それにしても、イメージだけで政治家のトップが勤めるこの国の世論って、一体何なんでしょうかねぇ…


    ■mini Review

     【君が望む永遠DVD(1)】 メディアファクトリー / アージュ 
     今週のミニレビューは、雑誌や漫画などのネタが不足してしまったという諸事情によって、期せずして「君望づくし」になってしまいました。いや、これはこれで、6話分を鑑賞する時間がかかるし、しかも「君望は普通のアニメよりも何倍も疲れる」んですけどね…だからこそ、TV放送版は観なかったし、ファン買いしたDVD版も買うには買ったものの、未開封のまま放置していたのですが…これも何かの縁、というわけで、覚悟を決めて、いざっ!参る!

     ゲーム本編でも4時間たっぷりかけて第1部の甘〜く切なくて幸せだった日々が描かれていましたが、アニメ版でも丸々2話分を使っていて、その構造は健在です。ゲーム版で既に話の筋を知っている人間にとっては、この第1巻に収録されている初回2話は、照れくさくもあり微笑ましくもあり、そして…とてつもなく胸が苦しくなるのです。この幸せな時間が、もうすぐ終わってしまうことを知っているから…あの丘で4人で撮った最初で最後の写真も、水月が誕生日に孝之を引き止めてねだった指輪も…いかん、それだけで、もう泣きそうです。悲劇の場面が近づくにつれて血圧も急上昇。事務的な警察の無線報告で語られる名前は…も、もうだめです隊長!(誰?)涙で前がよく見えません!

     うっほん、ま、まぁ感情論はこのくらいにして、アニメの技術論の評価としては…主となる作画にはこれといって不満はありませんが、副次的なカットでの人物のデッサンバランスが明らかにおかしい場面が所々あったのが残念です。アジア発注製作の弊害?あのBGMとともに始まる、EDスタッフロールのバックで流れる深い悔恨…ゲームでは描かれなかったこの場面の演出はすごく良く出来ていると思うのですが、できればゲーム同様の「音量」に変化をつけた演出を入れて欲しかった。大音量で流れる「Rumbling Heart(GAME version)」で、もっと激しく心を掻き乱してくれっ!(って、アンタはマゾなのか?)

     …という風に、ゲーム版を知ってる人でも大いに楽しめます。あ、でも、これって激しくTV向きじゃないアニメですね。週1放送で2週も前フリに使ったら普通の視聴者は引いちゃうし、緊張感も保てないですからね…

     【君が望む永遠DVD(2)】 メディアファクトリー / アージュ 
     続いて、第3話と第4話を収録した第2巻を鑑賞。さっきまでの絶望はどこへやら、水月とのラブラブ半同棲生活の始まり。そんなわけで、ここからゲームの第二部開始です。孝之を独占したいと願う心と、自分は遙の代わりにはなれないという心との葛藤から来る、焦り・空回り・一人相撲…水月ストの私にとっては、まっこと辛いシーンの連続でござるよ…

     第3話の終わりまで、「遙が目を覚まさないまま眠っている」という説明を一切しなかったのも、面白い構成だと思います。アニメ版が初見の人にとっては普通のシーンなのかもしれませんが、ゲーム版を知っている人間にとっては、水月が時折見せる何かに遠慮してるような仕草とか、孝之を「お兄ちゃん」と慕っていた茜ちゃんの憎むような視線とか…分かっているけど敢えて語らないというのが、「遙のことを忘れたわけじゃないけど、必至に今を生きようとしてる孝之と水月」という構図を描く上で、良い効果を生んでいるのだと思います。

     ゲーム版では語られなかった、遙が目を覚ますまでに、いくつかの兆候があって茜ちゃんの葛藤があったことが描かれているのもポイント高し。3年前のあの事故の日ちょうどに目を覚ます、という原作の設定を変更するだけの価値は十分にあります。あ、でも、遙ルートがメインになってるアニメ版で、茜ちゃんの抱え込んだ想いにどう決着をつけるつもりなんでしょうかねぇ…

     細かいツッコミを入れてみると、タコのマグカップのあのデザインはちょっと…なぜか背景のみでの出演となっている穂村さん。原作でも人気薄だったしなぁ…ゲームには出てこなかった、水月の勤務先の女性上司の出番が妙に多いと感じるのは気のせいですか?

     【君が望む永遠DVD(3)】 メディアファクトリー / アージュ 
     更に続けて、第5話と第6話が収録された第3巻を鑑賞。ここでようやく、遙が目を覚ますのを待ち続けてボロボロになっていく孝之と、その姿を見るに見かねた水月が孝之を支えてきた時間が語られます。なるほど。先に明るさを取り戻した現在の孝之の日常を描いてから、過去のボロボロの孝之を描くことで、いかに水月の献身的な支えという存在が大きかったのかが分かる、という構造ですね。そして、茜ちゃんがなぜ水月を憎むようになったのかについても、効果的に演出できていたと思います(惜しむらくは、孝之への葛藤を暗喩する呟きは、「鳴海さん」ではなく「お兄ちゃん」の方がより効果的だったのですが)。

     プレイヤーと主人公を同一の存在として認識して進行させる、ゲーム特有のルート分岐という概念を無くして1本道のアニメにしてみると、身の回りに起きる悲劇は全部得体の知れない運命のいたずらに翻弄される孝之、というように見えてくるから不思議なものですね。ダメ人間というよりは「可哀相な人」にしか見えません。うーん、そこまで冷静になって「TVドラマ」みたいに見れちゃうのも、それはそれで問題があると思うんですけどねぇ…やっぱり、君望という作品はゲーム版のように熱くなって、その罪も温もりも全てを引き受けて傷つく覚悟があってこそ、その選択に意味と重みを信じることができると思うのですが…

     アニメ版がこの先どんな結末になるのか、不安でもあり楽しみでもあります。

     【君が望む永遠 遙復活記念キャンペーン 〜涼宮家のお見舞い返し〜】  
     今日の君望おまけのひとーつ!(内P風に) このDVDは、4/23からのキャンペーン期間中に、君望DVDを購入した人に先着で配布されたものです(※特典はなくなり次第終了)。これは、2003年8月31日に五反田ゆうぽうとで行われたアージュのイベント「美少女歌謡の夕べ」の模様を収録したものです。収録内容は…

    (1)Rumbrling hearts(歌:栗林みな実)
    (2)君が望む永遠(歌:rino)
    (3)Precious Memories(歌:栗林みな実)
    (4)TVアニメ「君が望む永遠」アフレコ取材映像(出演:谷山紀章、栗林みな実、青木 誠)

     3曲目の「Precious Memories」の映像については、DVD第3巻の映像特典としても収録されていますが、他の収録映像は大変貴重なので、ファンの方は見逃さずにゲットしておきましょう。特に、CooRieのボーカルでメジャーデビュー(?)してから人気の出たrinoさんがMEGIMI名義時代に唄った名曲「君が望む永遠」のライブ映像は必見です。孝之役の谷山紀章さんのハイテンションと、栗林みな実さんの人見知りが織り成す漫才みたいなアフレコも必見。水月役の石橋朋子さんが出ていないのが残念ですけど…何にしても、これが無料配布だとは、何とも太っ腹なことですな。


    ■COLUMN

     【プロ野球2004の展望(セリーグ編)】
     プロ野球の2004年のペナントレースが開幕してはや1ヶ月が経過しましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?阪神一色に染まった昨年とは違い、今年のセリーグは大混戦模様です。5月9日現在も団子状態が続いていて、数日前まで首位だったチームが、翌週には最下位に転落していたりするなど、この先の予想は非常に困難です。開幕前ならなんとでも予想できますが、いざ始まってしまうとデータが揃い過ぎて、逆に予測は難しくなる一方です。そこで、今年はこの際、恒例の順位予測は放棄して、各球団の戦力分析による傾向と対策をまとめるだけに止めておこうと思います。

     まずは、巨人について。ローズと小久保の新加入により「史上最強打線」と持て囃されて、開幕前には野球解説者の大半が巨人を優勝予想したにも関わらず、蓋を開けてみれば一発でしか点の取れない繋がりの無い打点(打線とは言えない)と、中継ぎ・抑えの相変わらずの投壊で、いまひとつ波に乗り切れないでいます。NHKの解説者になった広澤も「今年の巨人ファンの楽しみは、連続試合ホームランの記録が何試合までのびるかだけ」と言い切っていますしね。そもそも、エース級の投手がちょっとでも調子が良ければ、おいそれと大量得点なんて望めません。ホームランは最も効率の良い得点方法ですが、それは相手投手にとっても同じ事で、後に尾を引くようなダメージが少なくて容易に気持ちの切り替えができてしまうのです。ホームランによる1発を恐れず、ガンガン攻め込んでくるピッチングされたら、ヒットの連打なんてできなくなります。むしろ、目先の1点を恐れるプレッシャーを掛け続けて行く方が、相手投手にとっては嫌な攻め方なんですけどねぇ…もっと深刻なのは投手陣。終盤に継投ミスで試合をぶち壊すいつもの巨人の姿は健在です。ストッパー不在のチームが優勝したケースなんて、近代野球ではほとんどないですけど…こんな酷い防御率なのに、この順位に止まっていることの方が不思議なくらいですよ。まぁ、元々打のチームというものは、打ちまくって勝ちまくるか、打たれまくって伸び悩むか、そのどっちかしかない博打みたいなものですからね。優勝か下位転落か?もっとも、そのくらいの方が野球本来の面白さがあっていいと思いますよ。ナベツネみたいに優勝することだけを脅迫観念にして野球を観るよりずっと楽しい。そういう点では、今年の巨人というものは妙に親近感が湧いてくるのですが…

     次に、阪神について。開幕前には、鳥谷やキンケードの新戦力の充実によって、巨人に次ぐ優勝候補の筆頭に挙げられながら、どうも波に乗れなくて混戦から抜け出せずにいます。1+1が2にならないのが、野球の恐ろしさというものですね。岡田新監督の采配については、まだキャラクターを掴みきれていないので何とも言えませんが、思いの外柔軟な考え方の持ち主のようですね。まずは、ゴールデンルーキー鳥谷の起用に固執しなくなったこと。同じポジションのライバル:藤本の充実振りを見れば、鳥谷が控えに回らざるを得ないのは誰の目にも明らかなことなのですが、スタメンを確約して獲得競争に勝ったという経緯や、グッズの売り上げに関する球団サイドの突き上げなどもあるので、ここまでスパッと見切りをつけることができるのは、なかなか大したものですよ。「1番:赤星、2番:藤本、3番:今岡」の新打順への切り替えも大当たりでした。「1番:今岡、2番:赤星、3番:キンケード」という打順では、外国人特有の早打ちが赤星の盗塁をスポイルしてしまうし、長打力のある今岡を1番にしておくのはもったいない。いくら先頭打者ホームランを打っても、1点にしかならないんでうsから。また、右打ちが格段に上手くなったアリアスは打率も残せるようになったし、控え選手も充実しているので、この先怪我人が出ても極端な戦力ダウンはないでしょう。心配なのは投手陣。スロースターターの井川はそのうち復調するだろうけど、伊良部の復帰はいつになるか分からないし、前川もまだセリーグの野球に馴染めていない。昨年は磐石を誇ったリリーフ陣も、安藤とウイリアムスにキレが戻らなくて、ストッパーを固定できないでいるし…優勝争いに踏みとどまるには、いかに接戦をものに出来るかどうかに掛かってくるでしょう。

     次に、中日について。落合新監督の「オレ流」で注目…というより奇異の目が注がれていたものの、シーズンが始まってみると、その采配は思いの外オーソドックスで分かり易いものでした。投手交代の際に必ず自分でマウンドに行くなどして、とにかく選手が気持ちよく試合に臨めるようにする。元々、投手力については球界トップクラスの実力あるチームなのだから、後は万年貧打の打線強化が課題だったのですが、福留の新4番と左投手相手でも先発起用してもらえるようになった井上によって、全体の打力は確実にアップしていますが…まだまだ迫力不足という感は否めません。大きな連敗はしないけど、連勝街道まっしぐら!というほど勢いに乗り切れていないので、優勝…となると少々厳しいかもしれません。

     横浜については、何と言っても、大魔神佐々木の復帰効果が大きいですね。確かに、全盛期のようなスピードボールが投げられるわけでもなく、圧倒的な威圧感があるわけでもないが、大リーグ仕込みの投球術と抜群のコントロールで、打者を抑えるかけひきは、さすがの一言。勝ちゲームに持ち込めば佐々木がいる、そうチームが信じることによって、先発投手陣は0に抑えることに気負うことなく、6回7回でゲームを作ることに専念し、打線も「終盤に1点でも勝ち越せば勝てる」と考えることができる。負け癖が染み付いていて低迷するチームにはなによりの薬である。金城と石井の復調に、古木・村田の若き大砲、ここに不振のウッズの調子が上がってきたら、他チームにとっては大きな脅威となるでしょう。少なくとも、ここ数年のように「横浜銀行」と呼ばれてカモにされるようなことはないでしょうね。

     ヤクルトは…ちょっと苦しいかな。大物が抜けるたびに、若手が台頭してくる「意外性のチーム」と言われ続けてはやウン年。昨年のオフには、取り立てて何の動きも無かったことが、現在の苦境を招いている…かどうかは定かではありませんが…とにかく先発投手の駒が足りないし、ストッパー高津の後継者として期待していた石井と五十嵐がともに調子が上がってこないし、頼みの大砲ラミレスもホームランが減ってしまってし、チームの大黒柱である古田のリードとキャッチングに衰えの影がちらつくようになってきたし…騙し騙しやりくり上手で凌いできていますが、この先上位を狙っていくのはしんどいかも知れません。意外性のある若手がどれだけ出てくるか鍵となるでしょう。

     いつも春先だけは調子が良くて「鯉の季節」と呼ばれてきた広島ですが、今年も連休前くらいまでは絶好調でした。その原動力のなったのが、「赤いゴジラ」こと10年目の嶋。投手から野手に転向し、今年ようやくレギュラーの座を掴んだ苦労人の思い切りのいいバッティングに引っ張られて、チームの連勝を重ねていましたが、やはり投手陣への不安がつきまとっています。昨年のストッパー永川の乱調で勝ちゲームを落とすこともしばしば。広島市民球場の狭さでは、打撃戦に持ち込むしかないとはいえ…選手層の薄さも相変わらずであり、主力に怪我人が出ないことが優勝の大前提になってくることでしょう。新井のスランプ脱出にも期待。

    ※来週はパリーグ編。


    文責:GM研編集部編集長 gonta