関西に約3年半住み、毎週欠かさず日本橋に通っていた私でしたが、この4月から故あって首都圏に移住することになり、オタクとしてのホームグランドを、日本橋から秋葉原に変える事になりました。秋葉原はオタクにとって「聖地」というべき場所であり、私も関西在住時代には年4回、同人誌即売会で上京するたびに秋葉原に寄る事を楽しみにしていました。しかし、それは「イベント」としての街への接し方だったので、いざ実際に毎週通うことになってみると、日本橋と秋葉原の電気街として様々な性質の違いが見えてきました。そこで、今回はその違いについて比較考察してみたいと思います。
・街の広がり方について
これは大きく異なります。秋葉原が中央通りを中心とした狭い正方形のゾーンに密集しているのに対して、日本橋は堺筋のメインストリートに南北に長く細く広がっているのです。正確に言うと、「なんば日本橋」と「恵比須日本橋」が2つがあり、うっかり地下鉄の日本橋駅で降りてしまうと、電気街まで300m以上歩くことになってしまうので、注意が必要です。秋葉原はそれ自体が独立したブランドであるため「エリア外」となると見向きもされませんが、日本橋は北に行けば道頓堀や心斎橋、南に行けば新世界という立地条件により、連続した街の流れの一部として機能しています。日本橋は、良く言えばカオス、悪く言えば雑然とした街なんです。その気取らない所が私は好きなんですけどね。ただ、街の環境という点では秋葉原の圧勝です。千代田区には歩きタバコ禁止条例が施行されいますが、日本橋は歩きタバコ天国のまんまですから。携帯灰皿なんて誰も持って無いし、人込みを歩く時でさえ火の付いてる方を隠すこともしませんからね…でも、注意して因縁をつけるとオタクは確実に喧嘩に負けるので、やめときましょう。
・お店の種類について
これも大きく異なります。秋葉原はペンシルビルの1部屋だけのような中小店舗が数え切れないほど存在し、それなりに商売としてやって行けてしまっているのに対して、日本橋では中小の店舗が少ないだけではなくて、同一ジャンルでの競争があまり激しくないんですよ。中小のオタクショップなどは、半年に一度のサイクルで潰れては作り潰れては作りの繰り返し。これは、単純にオタク市場の規模の桁が違うのだから仕方が無いことです。それと、関西人は「なんでも値切る」イメージがあると思いますが、実はそれ以上に「横着者」でもあるんですよ。ココ!と決めてしまったらそこでしか買い物しません。ポイントカードの効率を考えたら、何店も回って比較検討するよりも常連になって融通を利かせてポイントも溜める方が理に適っていると言えよう。そうそう、日本橋で不思議なのは、なぜかやたらとガチャポン専門店が多いことです。バラ売りやセット販売も当たり前。100台以上のガチャポンマシーンがただ置いてあるだけのお店が何店もあり、終いには「ガチャポン博物館」なるものまでありますからね。やはり、人件費をかけないことと横着すること、関西人特質の象徴と言える相違なのかも。
・お店の便利さについて
こればっかりは一概に比較できません。秋葉原にはいかなるジャンルであっても、収拾が付かないほど・考えるだけで疲れてしまうほど多くの選択肢があります。それに対して、日本橋では選択の余地はほとんどないけど、誰が見ても最良の選択肢を迷わず選べます。あ、そうそう、実際に両方の街をホームグランドとして利用した経験を持つ私にとっては、決定的な違いを感じています。それは…秋葉原では、大型店舗でも1フロアの面積が狭くて多層階に売り場がジャンル別になっているため、ポイントカードを溜めたり割引券を使う際の区切りが難しくて困っています。金券ショップの相場も違うので、ポイントお得道を追求する人間にとっては、秋葉原はアウェイなのかも?
・店員の質について
秋葉原ではアルバイト率が非常に高いためか、不必要なまでにマニュアルどおりの対応にイライラさせられることもしばしばあります。一方、日本橋ではバイト店員の肩の力が抜けすぎているので、それはそれで腹が立つこともありますけどね。店員さんの知識量については、どちらも「人によって当たり外れがある」としか言えません。極めて特殊な知識が要求されるマニア街では、お客の知識の方が勝っていることも珍しくは無いし、極限まで知識に特化してしまって人としての対応力に問題が出てしまうこともありますからね。たまーにマニュアルを越えた柔軟な対応で感動させてくれるようなレベルの高い店員さんに出会うこともあるので、そういう貴重な出会いを大切にしてお店選びをするのもいいかも。
以上、とりとめもなく比較してみましたが、もっとも、比較してみたところで、自分の通える範囲にある方をホームグランドにするしかないんですけどね。いずれにしても、どうせならその街の流儀に適応して、オタクライフを最大限に充実させる方法を見つけましょう。
※ちなみに、よく間違えられるので注記しておきますが、日本橋の正確な読み方は「にっぽんばし」です。「にほんばし」と読むと東京の地名になってしまうのでご注意下さい。また、秋葉原には「アキバ」という略語が存在しますが、日本橋には誰もが使うような略語は存在しません。関西人は略語が嫌いなのかな?
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