「テイルズ オブ シンフォニア」とは? 「テイルズ オブ シンフォニア」とは、ナムコRPGの代名詞的存在である「テイルズ」シリーズの最新作です。スーパーファミコンの最末期に発売されたシリーズの元祖「ファンタジア」以来、「ディスティニー」「エターニア」「ディスティニー2」と3本続けてPSとPS2でシリーズを重ねて来ましたが、今回は、久々に任天堂の主力ハードにプラットフォームに戻り、キャラクターデザインも初代「ファンタジア」と同じ藤島康介氏が手掛けた、「原点回帰」という意味合いを持つ作品であると同時に、2003年4月にはテイルズシリーズのみを開発する「ナムコ・テイルズスタジオ」を発足させ、開発の現場と広報プロモーションの連携をさらに強化し、OPアニメーション・主題歌のタイアップ・TVCM・攻略本の独自出版などなど、ゲームの作り方と売り方を変えようとする意欲作、それが「テイルズ オブ シンフォニア」なのです。 正統派な本格派RPG システムの面からみてみると、テイルズシリーズのウリだったアクション性の高い戦闘システム「リニアモーションバトル」を、完全3D化して進化させた「マルチライン・リニアモーションバトル(MLB)」だけではなく、ゲームキューブが得意とするトゥーンレンダリングで、藤島テイストの漫画タッチのキャラを限りなく原画に近い状態で3Dで動かすことにも成功しています。一部のアニメーションムービーを除いて、イベントも戦闘もリアルタイムポリゴンで動いていて、ゲームキューブ特有の高速読み込み機能も使用しているので、読み込みのストレスはまったくありません。私がテイルズシリーズを遊んだのは「ファンタジア」以来でしたが、シリーズの未経験者でも説明書なしでも自然にシステムを理解できるようになっているし、ダンジョンの仕掛けもよく工夫されていて、ちょっと考えれば解けるほど良い難度に調整されていて歯ごたえがあり、シナリオもショートミッションをテンポよくこなしていくうちに謎の全体像が見えてくる演出になってるため、私のように、2ヶ月もかけて毎日短い時間でちょっとずつ遊んでいても、久々に「RPGらしいRPG」をやったという実感が得られました。 MLBによる賑やかだけど忙しない戦闘シーンも、設定を使いこなして普通にレベルを上げていけば、完全オートのままでラスボスにも勝ててしまいます。RPGにありがちな「戦闘=障壁」という考え方では、肝心なところで躓く=負けてしまうと、せっかくシナリオが盛り上がっている場面に水を差すことになりかねません。しかし、シンフォニアの場合の戦闘の概念は、あくまで「乗り越えるべき壁」であって負けるためにあるわけではありません。歯応えを残しつつ積み上げた人なら誰でも勝てるようなバランス調整は、理想では分かっていてもなかなかできるのではありません。 君と響きあうRPG 物語の面からも、私はこの作品を高く評価しています。CMで使われていた、ロイドとコレットの声が重なる「君と響きあうRPG」というキャッチコピーのファーストインプレションで、衝動的に購入に踏み切った私でしたが、ゲームを実際にやってみると、このフレーズの意味の深さを思い知りることになりました。シンフォニアのシナリオは、とてつもなくハードです。世界を再生するための旅に出て、天使になることを宿命付けられた神子のコレットと、その幼馴染のロイド。だが、その旅の意味も神子の役割も、すべては歪んだ世界の仕組みが生み出した産物だった。限られたマナを奪い合って繁栄と衰退を繰り返す2つの世界、狭間の者(ハーフエルフ)を忌み嫌う根強い差別感情、人間を家畜のように扱って「間引き」を行ったり、人体を犠牲にしてエクスフィアを製造する組織:ディザイアン…そして、世界再生の旅の中で主人公たちは気づいてしまった。使命を達するたびにコレットは、眠れなくなり、感覚がなくなり、やがて言葉を失い、そして最後には心を…ヒトではないものになってしまうこと、それが「天使になる」ということの本当の意味なのだと… 中盤以降の展開はネタバレになるので書きませんが、破壊が渦巻き罪と罰と心の弱さをさらに厳しく追求するものとなりますが、敵側の複雑な関係や主義主張に至るまで良く描けていたし、理想を熱く語りつつも決して説教臭くならずに、仲間との信頼と信念を貫き通すことを主題として描ききったシナリオは見事のひとことに尽きます。なんだか褒めばかりいますが、本当に穴らしい穴が見つからない良く出来たゲームなんだから仕方がありません。ゲームキューブを持っている方でRPG好きの方なら、やって損する事はまずないと言える逸品です。
Last update : 2003/10/22
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