〜転がるりんご亭千夜一夜〜 「プリンセスホリデー」とは? 「プリンセスホリデー」とは、中世欧州ファンタジー風世界の「シンフォニア王国」という小国の城下町を舞台にした、明るくて前向きな純愛恋愛アドベンチャーゲームです。吟遊詩人として諸国を放浪していた主人公の元に、何人もの人づてに届いた妹からの手紙。文字はまったく読めなくなっていたが、ただならぬものを感じて3年ぶりに王都に戻ってきたのだが…そこで出くわしたのは、「社会勉強」のためにお城を抜け出して来たこの国のお姫様(レティシア)。悪漢から助けただけのつもりが追われる身となってしまい、そのまま成り行きでレティシアを匿うことになってしまった。主人公の実家は、貧民街の通称:飲んだくれ通りのりんご教会と呼ばれていて、その隣りある「転がるりんご亭」という酒場(兼宿屋)に転がり込み、レティシアはここで住み込みで修行することになった。レティシア姫の修行終了まで約1ヶ月間、教会のシスターで妹のフィー、姫の警護役で幼なじみのエル、酒場の看板娘で姉代わりのレイ姉、博識の魔法使い少女のラピス、そして、宰相令嬢のディアナ… 今日も、転がるりんご亭は、恋の多重奏で大忙し? 増量200%OVER!完全無欠の名移植! この作品は、元々PCエロゲーとして2002年9月27日にAugustという小ブランドが発売したものだったのですが、DCへの移植に際して「これでもか!」といわんばかりに大幅な改良が加えられました。各キャラに1種類ずつの新エンディングを追加し、新キャラとして宰相令嬢のディアナを攻略可能とし、おまけシナリオも大増量。PC版では曲のみだったエンディングに「歌(心から続く未来〜My fate〜)」を追加し、OPムービーもDCオリジナル版を追加。採光の美しい通常イベントCGの他に、柔らかいタッチで描かれるコミカルなカットインCGも大増量。「顔グラフィック」キャラ絵の口パク、「ぷるぷるぱっく」振動の演出、VGAボックス対応…完全無欠の名移植というべき仕上がりになっています。 そして、最大の改善点は、どの選択肢でキャラの好感度が上がるのかが分かる「ナビゲーションシステム」です。これは、ともすれば「選択肢」の意味と「ゲーム性」を放棄してしまうことになりかねない大冒険とも言える試みで、ユーザーの間でも賛否両論があったようですが、私としてはこのシステムは大賛成です。選択ミスという”紛れ”の発生を防ぐ事が出来、物語への集中力を高いレベルで最後まで維持することが出来ました。12種類ものエンディング+おまけ要素、すべてやっても13時間で収めることできた「軽快さ」は、昨今の恋愛ADVが、重厚壮大な感動・奇跡系で長大化する設計と対極に位置する、貴重な成功例だと思います。 王位と自由、そして愛のカタチ… DC版では各キャラに2種類のエンディングが用意されていますが、それらは一度クリアした2周目以降に最終選択肢として選択可能になります。言い換えれば、このゲームでは「決断」といえるものは、このたった一度きりなのです。それは「王位を取るか、自由を取るか」という究極の選択です。どちらを選ぶとしても、その選択は「心に決めた女(ひと)の笑顔ために!」という主人公の想いが大前提になっていて、それは可能性としてのifではなく、決断の末の必然としてヒロインとの幸せな未来を素直に祝福することができました。「愛の逃避行」と等価の選択として「王国の改革者として共に困難に立ち向かう」という未来像を描くことで、相対的に自由の意味を強調し、そのどちらの道でも精一杯幸せになろうとしているヒロイン達の魅力を引き立てることができ、作品として大きく飛躍できたと思います。 今時珍しい、赤面してしまうほど甘〜い直球ストレートな正統派な「恋愛というファンタジー」ともいえる作品であり、奇跡と感動などの劇薬ばかりのゲームに疲れてしまった諸兄に、是非オススメしたい心安らげる逸品です!
「プリンセスホリデー」 転がるキャラクター選評千夜一夜 ※この選評はすべて重度のネタバレで構成されています。ゲームの楽しみを致命的に損なう恐れがありますので、ゲーム本編をすべてクリアした方、もしくは多少のネタバレも読み流せるという方のみ、白文字部分を選択反転させてお読みください。なお、この注意書きを無視してネタバレ部分を読んでしまった場合、GM研は一切責任は取りかねますので、くれぐれもご注意ください。 レティシア・ラ・ミュウ・シンフォニア CV.鳥居花音 物語の舞台となるシンフォニア王国の姫君で、本編のヒロイン。愛称は「レティ」。性格はいたって明るく、天真爛漫を絵に描いたような素直な娘。「アップル」は、りんごの木を見てとっさに思いついた偽名。お城の中でばっかりの生活に疑問を持ち、街にお忍びで遊びに来ていた。そこを衛兵に見つかり、連れ戻されそうになるところを主人公のクリフに助けられる。酒場「転がるりんご亭」にて、社会勉強を始めることになり、お給仕の仕事をこなしつつ、人々の心に触れる毎日。好奇心旺盛な姫にとって、すべてが新鮮。
シルフィ・クラウド CV.椎名奏子 主人公の妹で、実家である教会の見習シスター。愛称は「フィー」。控えめでおとなしく、大変優しい心の持ち主。あまり自分の意見を主張することはないが、芯はしっかりしている。熱血司祭の両親が辺境へ布教の旅に出たため、今は一人で教会を切り盛りしている。日中は街の子供達に勉強を教えたり生活に困っている人達の世話などもしており、人々からの人気は非常に高い。兄である主人公とエレノアを心から信頼している。
エレノア・フォートワース CV.海原エレナ 主人公やフィーの幼なじみ。愛称は「エル」。 卓越した剣の腕前を持つ忠誠心に厚い王国剣士にして、レティシア姫の護衛役。人から頼まれるとイヤとは言えない、不器用な性格の持ち主。かつてはレイ姉の父の元で、主人公とともに剣の修行をしていた。真面目な努力家で、主人公が捨てた剣の道を今でも歩み続けている。主人公とは互いに気の置けない間柄であり、フィーにとってはお姉さん的な存在。
レイチェル・ハーベスト CV.北都南 主人公たちの溜まり場兼食堂となる酒場「転がるりんご亭」の看板娘。面倒見がよく、さっぱりした姉御肌の性格で酒場の荒くれ者たちの人気者。主人公、フィー、エルとも仲良く、近所のお姉さん的役割。ただ、貴族階級が大嫌い。レティシアの面倒をみながらも、お姫様だとは気づいていない。案外読書好きで、本を読む時は眼鏡を着用する。そして、実は世にも恐ろしい殺人的な音痴でもある。
ラピス・メルクリウス・フレイア CV.野々田早苗 湖のほとりに住んでいる、見慣れない格好をした女の子。その素性は誰も知らない。幼い容姿に似合わず大変な博識で、誰も見たこともないような、高度な魔法をいとも簡単に使いこなし、全てを見透かすような発言をすることもある。ただ、色恋沙汰にはてんで疎い。普段は他人との交流はあまりなかったが、主人公が街に帰ってからはよく見かけるようになった。
ディアナ・ペシュカ・ホリー・エリンギ CV.南央美 宰相令嬢、エリンギ公爵家の娘。慎み深く、大人しくて優しい。あまり人前に出てこない深窓の令嬢で、男性に対してあまり免疫が無い。基本的に受身の性格だが、一度決めたことはやりとげる頑固な面も。あまり人を疑うということを知らないので、利用されたり騙されやすい。クリフとは舞踏会で一曲踊っただけだが、クリフのようなタイプに会ったのは初めてで、それ以来密かに好意を持っていたようだが…。
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