「シレン・モンスターズ ネットサル」とは? 「シレン・モンスターズ ネットサル」とは、チュンソフトの傑作シリーズ「風来のシレン」に登場するモンスターたちを、フットサル選手(サルカトーレ)として育成して、最強のチームを創り上げる、育成型モンスターバトルサッカーゲームです。主人公は新ネットサルチームのオーナー兼監督となり、世界各地で10ヶ月間の期間限定キャンプを張って新人サルカトーレを発掘・育成し、トップチームに昇格させた精鋭たちを率いて、チャンピオンズリーグの最高峰:トップリーグで優勝した者だけに与えられる最強の称号:コパ・デ・プラダ(銀杯)獲得を目指します。 シレン本編とは全く趣向の違うジャンルのゲームですが、シレンシリーズが持つ独特のテイストと、パラメータ変動のバランス調整の妙技は健在です。今までは敵だった、憎たらしいモンスターたちのえげつない特殊攻撃が、今度は自分のチームの最強の武器となって活躍してくれる痛快さとともに、敵に回して痛い目に遭った時のはらわたの煮え返り具合も倍増です。歴戦のシレンファンであればあるほど楽しめる、ハチャメチャサッカーゲーム、それがネットサルなのです。 ありえない!無茶苦茶な必殺技サッカーゲーム このゲームのカテゴリーは一応サッカーゲームですが、このサッカーにはルールなんてものはありません。オヤジ戦車のぶっ放す大砲が爆発し、ドラゴンが吐いた炎でボールも選手も丸コゲになり、タンスの引き出しにボールを入れたままゴールに飛び込み、弾丸シュートでGKごと吹き飛ばし、「鉄のカーテン」でゴールに無敵のバリアを張り、点を取られても無効にしてしまう「時の砂」まで…とにかく、何でも有りのハチャメチャなサッカーゲームです。むしろ、普通にやってても点は入りません。目には目を歯には歯を。勝てば官軍。必殺技が飛び交うピッチは大騒ぎ! こんな説明だけだと、ものすごく大味なゲームのように聞こえますが、その実、チュンソフト製品ならではの絶妙なバランス調整によって、とてつもなく奥の深いゲームに仕上がっています。心憎い場面でまるで謀ったように投入される「得点増加アイテム」によって、1ゴールの価値がインフレして行くので、何点リードしていても気が抜けません。それに、18種類のモンスターのうち先発出場できるのは4人だけで、1チームには12人しか所属させられないし、取得できる特殊能力も考慮すると、その組み合わせは無限大。しかも相手によって得手不得手が発生するから、無限大x2。自分なりの最強理論を見つける楽しみは、どこまでも果てることがありません。 操作か観戦か?交換対戦在りきの設計への疑問 ただ、惜しむらくは、GBAの通信ケーブルを使った対戦機能を使わないと、もう一歩先の強さの領域には到達できないような設計になっていることです。私のように、いい年ぶっこいたゲーマーにとっては、身近に同じゲームにはまっている友達を探すほうが、最強キャラを育成するより遥かに難しいミッションになってしまうのです。せめて、パスワードによるチーム交換が可能だったら良かったのに…ネット対応版としてWindows版への移植を強く希望します! また、試合中に自分で捜査するのか、CPUに任せて観戦に徹するのか、選択できるようになっていることも、レギュレーションとして曖昧な部分を残してしまっています。通信対戦が「観戦のみ」になっているのに、育成部分でプレイヤーのテクによる差をつけてしまうのは、アクションゲームが苦手な人との「パワーバランス」が保てなくなってしまいます。GBAの単純すぎるボタン配置と、小さな画面で目まぐるしく回転する視点は、お世辞にも操作性がイイとはいえませんしね。シレンファンは例外なく求道的なゲーマーなので、どうしても完璧なクオリティとバランスを求めてしまうのですよ…
First written : 2004/05/08
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