「ラブロマ」とは? 私は月間30誌以上の漫画雑誌を読んでいる「漫画馬鹿一代」でありながら、定期購読している雑誌は1冊もありません。気に入った作品は単行本になるのを待ってじっくり読む主義なので、雑誌はあくまで読み流すもの・新規発掘の場と考えています。しかし、時としてそんな私でさえ「この作品はどうしても確保しておきたい!」という衝動に駆られる作品が現れます。その1つがこの「ラブロマ」でした。 「ラブロマ」とは、アフタヌーンの新人漫画コンペである「四季賞」の大賞を受賞した作品です。旧くさいほどシンプルな絵柄と、絶妙のボケとつっこみの切れ味とバランス…これまでも、新人賞の読みきりでは、このような輝きを持つ作品に出会うことはありましたが、そのすべてが連載になれるわけではないし、単行本を出せるまで続かずに消えて行くことも珍しくはありません。そんな苦い経験もあって、「ラブロマ」の第1回(DEMO TRACK)が掲載された号を勢いで買ってしまい、切り抜きまでして保存していたのですが…まさかホントに連載になるとは、しかも単行本になって、帯の推薦文はCLAMPとな?講談社から大プッシュされたこの作品の真価やいかに? つっこみ漫才ラブコメ? この漫画を一言で形容すると、「つっこみ漫才ラブコメ」といったところでしょうか。杓子定規な性分で、思った事をなんでもかんでも口にしてしまう、ちょっと…いや、たいぶ変り者の星野くんと、図太くて豪快で男前でサッパリした性格だけど、ちょっぴりドリーマーな根岸さん。星座も血液型も、 あらゆる占いでは相性最悪の二人が繰り広げる、直球ど真ん中で駆け引きもデレカシーの欠片もないラブコメは、何もかもがまったくかみ合っていません。臆面もなくクラスメイトの面前で告白したり、通学中のバスでも校内放送でも臆面もなく「好きです」と言っちゃう星野くんの馬鹿正直な行動と、面白がって星野くんに入れ知恵して無責任に煽る友人とクラスメイトたちの両方に、いつも振り回されて終始つっこみを入れっ放しで、根岸さんも読者も大疲労です。でも、それが全然不快じゃなくて、むしろすごく居心地がいいのだから、何とも不思議です。でも、それはあたりまえのことなんですよ。何せ、二人は「無敵のカップル」なんですから。 無敵のカップル ラブコメの基本とも言えるライバル出現!…も、この二人の場合は、三角関係になんて全然ならなくて、いつものノリで真正面から撃沈してしまいます。いや〜今時ありえないほどの直球勝負がなんともすがすがしい!星野くんと根岸さんの漫才のようなテンポの良い掛け合いは、一見すると、まったくかみ合っていないようでいて、実はとことん分かり合っているんですよ。要するに、星野くんと根岸さんの二人は、「喧嘩するほど仲が良い」を地で行っているわけです。不満があれば言ってくれるし、怒れば殴って、哀しければ泣いて。実にわかりやすく関係をもてます。何度喧嘩しても、そうやって何でも話していけたなら、二人は無敵のカップルですよ(どこに敵がいるのか知らないけど)。旧くて新しい学園ラブコメの新境地として、漫画好きの方に是非おすすめしたい逸品です!
First written : 2003/10/08
Last update : 2003/11/03 |