「かみさまのいうとおり!」とは? 教会で住み込みのシスター見習いをしている「安倍まりあ」は、エッチなことを考えると鼻血を吹いてしまう特異体質の持ち主。周囲はなるべくその手の言葉をまりあの耳に入れないように気をつけているが、まりあはあらゆるキーワードからエッチな言葉を連想してしまうので、どうあっても鼻血は止まりません。神社で巫女さんをしている「鳥居くりこ」は、まりあの幼馴染。成績優秀の人格者なので、変わり者ばかりの友達に囲まれて気苦労が絶えません。規格外の爆乳と万年学年2位の成績がコンプレックスです。「山伏実希代」は、その名の通り山伏の家の娘。元気印キャラでボケとツッコミの二役をこなすが、学年最下位で頭はかなり弱い。「王城なむ」は、寺の娘。学年1位を取り続ける天才だが、極度の虚弱体質で休みがち。魂がニュっと簡単に抜ける幽体離脱に脱皮にマッチョ化など、不思議生物化は加速する一方です。 学生の宗教上の理由は最大限これを尊重する---という全宗教対応の校風の学び舎に集う、そんな個性的な4人の心温まる日常と、信じる教えの違いを越えた友情を描いた、清く正しく美しい?女子高生コメディ4コマ漫画、それが「かみさまのいうとおり」なのです。 心温まる日常と友情を描いたお話…のはず ↑の表題がなぜか疑問形なのは、下ネタとエロネタ割合が非常に多いためです。「わたしパパとママいないから、どうやってわたしを産んでくれたのか知りたくて…」というまりあの言葉で一瞬シリアスな空気に…でも「今は単に調べてるとドキドキするんだよー(鼻血)」というオチでシリアスな雰囲気はぶちこわしです。「神頼みの前に努力しなきゃ!やればできる!」という山伏ちゃんの珍しく真面目な決意の言葉も、まりあの「や、やればデキる(鼻血)」でオチが付いて汚れまくりです。(もれなく爆笑ですけど) しかし、どんなに破廉恥でマニアックな連想の鼻血オチであっても「下ネタだから○○だよね」というようなマイナスの印象評価にはならずに、しっかりとそのキャラクターたちの日常から生まれる自然なやりとりとして成立しているように感じてしまうのは、奇跡的と言っても過言ではないと思います。 破廉恥な連想を下ネタに感じさせない、奇跡のバランス 単行本に収録されている作者のあとがき漫画からも読み取れることですが、まりあの鼻血という設定に引っ張られて、いつの間にか下ネタ・エロネタの割合がかなり増えていることは、かなり気にしておられたようです。女性作家ならでは(?)の羞恥心との葛藤と、開き直った思い切りの良さが、この作品での思わぬ絶妙なバランス感覚を生み出しているのかも知れません。 特に、各話の1ページ目に必ず来る「寸止めエロ→ギャグオチ」では、そういう部分を強く意識してネタが練り込むレベルの高さも感じます。「萌え」とは設定や絵柄などの表層的な要素ではなく、そこにある世界とキャラクターの魅力を引き出す全体の概念です。そういう意味では、この作品の絶妙のバランス感覚は最高の条件であり、「萌えって良く分からない」という方にも是非オススメしたい逸品です。 First written : 2005/09/08
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