いちご通信EX
同人誌サークル : さうんどすとっく
 4コマ  あずまんが大王+コスプレ  1〜12巻、総集編1〜2 
作者 : さとち

 いちご通信EX(総集編1)

(C)2001-2004 さうんどすとっく
「いちご通信EX」とは?

 「いちご通信EX」とは、コスプレ・ロリータファッション情報誌「いちご通信」の別冊として発行されている同人誌です。 …と言っても一体何のことか分からないでしょうし、実は本誌の方がまだ出ていなかったりしますので(笑)、もっと簡単に説明すると、『もしも、「あずまんが大王」のキャラクターたちが、コスプレイヤーや同人作家だったら』という設定で描かれたパロディ4コマ漫画です。

 あずまんが大王のキャラクターとネタは、あらゆる作品をパロディ化(あずまんが化)する高い親和性と感染力があるということは、同人界ではごく当たり前の認識になっていますが、何にでも合うということは、逆に云うと、何でも同じものになってしまう(イメージが固定化されてしまう:ネタが被ってしまう)難しさ、という側面もあるのです。

 しかし、この「いちご通信EX」では、その時々に移り変わっていく、アニメやゲームのマイブームに合わせたコスプレをセレクトして、コスプレとなる原作ネタをあずまんが大王原作のネタに織り込んでいくことで、ごく当たり前のことであるかのように、ギャグもビジュアルも常に新鮮さを保ち続けているのです!

それは、穢れなき同人作家(つみびと)たちの、
造り出した同人誌(たましい)

 前述の通り、本作のギャグのベースはあずまんが大王なのですが、ここに同人ネタとコスプレネタを加味することで、キャラクターの親しみにプラスを引き出すことで、ごく身近なネタをもっと身近に感じられるようになるし、自分が知らない作品のネタでも、当たり間のことのように感じられてしまいます。雨の一般参加のあの辛さも、修羅場での焦りも逃避も極道入稿さえも、実際には笑い事じゃないけど、原作のギャグに上手く絡めることでマンガとしてちゃんと笑えてしまうし、「パンツの跡が付くのが嫌だから裸で寝て風邪を引く」とか「採寸後に太ってダイエット」など、随所にコスプレイヤーのマニアックな悩みを、コスプレ畑出身という自身の経験に基づいた説得力のある小ネタとして、原作同士の魅力を上手くミックスしたギャグに仕上げてあるのが、非常に小気味の良いアクセントになっています。

 これら個々の要素は、作者自身(と周囲の人達)の体験者としての生の声から来るものだからこそ、そして、コスプレというものを「イベントを能動的にもっと楽しくするための要素」として捉えているからこそ、その面白さの本質が伝わってくるのでしょう。同人だけ、コスプレだけ、というように片方の世界だけしか知らない人も多いようですが、この作品を読めば、どちらの世界をもっと深く知りたくなること請け合いですぞ!

コスプレ同人の仁義と美学とススメ

 同人の代名詞とも言えるコミケにおいて、イベントの「華」 (はな)としてコスプレの存在が広く世間に認知されているのは事実ですが、コスプレを取り巻く環境が様々な問題を抱えているのもまた事実です。同人誌を目的としない撮影オンリーの参加者の増加や、パンチラを盗撮されて雑誌やネットに投稿されたのが原因で、コスプレを嫌いになってしまうレイヤーの子もいたりして…一部の心無い輩の愚行は、コスプレの、ひいては同人全体のイメージダウンになってしまいます。これは由々しき問題であり、大変残念なことです…

 『パンチラは一連の動きの中で一瞬ちらっと見えるくらいがかわいいのに、その瞬間だけ切り取られても…』 『履歴書の趣味の欄に<コスプレ>って書けるような社会を!』 あとがきでの作者の言葉からも読み取れるように、コスプレ同人にも”仁義と美学”というものがあるのです。自分の趣味に合った作品と体型に合ったキャラを探し、衣装を手作りしたりオーダーメイドしたりして、キャラクターになりきる。それに、なにも撮影されることだけが、コスプレの全てではないのです!年に数回のお祭りであり、オタクの社交界とも言うべき場なのだから、フォーマルな装いとして自然に着こなすくらいの心の余裕を持ち、観る側もその熱意に敬意を表するくらいの広い心を持って欲しいものです。コスプレの楽しさの「雰囲気」を、この作品で笑うことを通して、即売会におけるコスプレを、もっと身近なものに感じていただければ幸いです。

※画像使用許諾:2004/01/29
First written : 2004/02/03
Last update : 2004/08/17