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GM研
いちご通信EX
同人誌サークル:さうんどすとっく
 ジャンル:あずまんが大王/アニメよろず 
作者:さとち

「いちご通信EX」とは?

 「いちご通信EX」とは、コスプレ・ロリータファッション情報誌「いちご通信」の別冊として発行されている同人誌です。…と言っても、実は本誌の方が出ていなかったりしますので(笑)、もっと簡単に説明すると、『もしも、「あずまんが大王」のキャラたちが、コスプレイヤーや同人作家だったら』という設定で描かれたパロディ4コマ漫画です。あずまんが大王のキャラとネタは、あらゆる作品をパロディ化(あずまんが化)する高い親和性と感染力があるということは、同人界ではごく当たり前の認識になっていますが、何にでも合うということは、逆に云うと、何でも同じものになってしまう(イメージが固定化されてネタが被ってしまう)難しさ、という側面もあるのです。

 しかし、この「いちご通信EX」は、その時々に移り変わっていく、アニメやゲームのマイブームに合わせたコスプレをセレクトしてあずまんが大王のネタに織り込んでいくことで、ギャグもビジュアルも常に新鮮さを保ち続けている稀有な作品なのです!

それは、穢れなき同人作家(つみびと)たちの、
造り出した同人誌(たましい)

 本作のギャグのベースはあずまんが大王ですが、同人ネタとコスプレネタを加味することで、キャラの親しみを引き出し、身近なネタをもっと身近に感じられし、マニアックすぎるネタでも、当たり間のことのように感じられます。雨の一般参加のあの辛さも、修羅場での焦りも現実逃避も極道入稿も…実際には笑い事じゃないけど、ギャグに上手く絡めて漫画として笑えてしまうし、「パンツの跡が付くのが嫌だから裸で寝て風邪を引く」とか「採寸後に太ってダイエット」など、随所にレイヤーのマニアックな悩みを、コスプレ畑出身という自身の経験に基づいた説得力のある小ネタとして、上手くミックスしたギャグに仕上げて小気味良いアクセントになっています。

 これらは、作者自身(と周囲の人達)の体験者としての生の声から来るものであり、そして、コスプレを「イベントを能動的にもっと楽しくするための要素」として捉えているからこそ、その面白さの本質が伝わってくるのでしょう。同人だけ、コスプレだけ、というように片方の世界だけしか知らない人も多いようですが、この作品を読めば、両方の世界の楽しさをもっと深く知りたくなること請け合いですぞ!

コスプレ同人の仁義と美学とスス

 同人の代名詞とも言えるコミケにおいて、イベントの「華」としてコスプレの存在が広く世間に認知されているのは事実ですが、コスプレを取り巻く環境が様々な問題を抱えているのもまた事実です。同人誌を目的としない撮影オンリーの参加者の増加や、盗撮されて雑誌やネットに投稿されたのが原因で、コスプレを嫌いになってしまうレイヤーもいたりして…一部の心無い輩の愚行は、コスプレの、ひいては同人全体のイメージダウンになってしまいます。これは由々しき問題であり、大変残念なことです…

 『パンチラは一連の動きの中で一瞬ちらっと見えるくらいがかわいいのに、その瞬間だけ切り取られても…』 『履歴書の趣味の欄に<コスプレ>って書けるような社会を!』…と作者の言葉にもあるように、コスプレ同人にも”仁義と美学”というものがあるのです。自分の趣味と体型に合ったキャラを探し、衣装を手作りしたりして、キャラになりきる。撮影されるだけが、コスプレの全てではなく、年に数回のお祭りであり、オタクの社交界とも言うべき場での、フォーマルな装いとして自然に着こなすくらいの心の余裕を持ち、観る側も温かく見守る広い心を持って欲しいものです。コスプレの楽しさの「雰囲気」を、この作品で笑うことを通して、コスプレを、もっと身近なものに感じていただければ幸いです。