ハイリスクみらくる
漫画作者 : 吉谷やしよ(よしややしよ)
 4コマ  ハイテンション脱線魔法少女  1〜巻 
連載 : まんがタイムきらら、きららキャラット

「ハイリスクみらくる」とは?

 霧ヶ崎優は、かなりちょっと男勝りなボーイッシュな16歳の女の子。勉強では常に学年トップ。運動神経も抜群で、誰もが認める優等生…のはずなのですが、実は彼女は密かに魔法少女に憧れている、ちょっと痛いドリーマー少女だったのです。まぁ、それはそれ。魔法使いになったら具体的に何がしたいというわけでもなかったし、たとえ叶わない夢でも、憧れを持ち続けられるだけでも幸せ…だったのですが、その夢は唐突に、しかも最悪の形で叶ってしまったのです。

 ある日、優は父の遺品から魔法のステッキらしきものを発見した。しかし、なぜかこの魔法のステッキにはコインの投入口があったのです…しかも、ヤクザみたいな声でしゃべり、お金と女が大好き!のトンでもない奴だったのです。本名はアルバート=ホリックル。略して「アホ助」。本来ならば魔法使いの最良パートナーになるはずなのですが、隙あらば金をせしめようと企み、優を打倒できると判断するとあっさりと敵に寝返る。そんなアホ助との血で血を洗う銭闘が繰り広げられる、ハイテンション脱線魔法少女漫画、それが「ハイリスクみらくる」なのです!

ハイテンション脱線魔法少女漫画

 魔法少女マンガは世に数あれど、この作品はどの作品にもない新手の面白さがあります。そもそも、魔法を使わなくても、優は30枚の瓦を割り、割り箸投げで頭蓋鼻骨結合部を貫き、○夜叉の如く○砕牙で”風の痕”を繰り出す、最強の女の子ですからね。むしろ、魔法を使わざるを得ない場面というのは、ピンチにつけこんで悪徳商法のごとく割高料金を要求するアホ助との駆け引きの末に、一番安い魔法を使ってロクでもない目に遭ったりします。で、結局、優の身体能力と格闘技で解決してしまいます。

 本当の魔女っ子なら魔法で解決するトコなのに、お金がないから使えない。魔法少女になりたいという優の夢は、「あーあ、こんなばすでは」的に叶ってしまったのです。魔法少女ではお約束の変身シーンは、額に「\」マークが出るだけ。しかも委員長には正体を知られて弱みを握られしまい、誤魔化そうとしてさらに墓穴を掘ってしまい…かつて完璧を誇っていた女子高生の、ますます拍車がかかる「お笑い転落人生」の行方やいかに?

流血・撲殺・魂の叫び…萌えの遥か彼方を激走する4コマ

 吉谷(よしや)やしよ先生の作風を、同人誌「相沢君と○○さん」シリーズの始まりからファンを続けてきた私にとっては、商業誌の連載デビュー作となったこの作品には、特別な感慨がありました。同人誌のノリそのままに、流血・撲殺・魂の叫び…萌えの遥か彼方を激走する作風が、4コママンガという定型でこそオチのパワーを引き出すことができ、しかも、この濃いノリが世間的にも受け入れられて連載が続き、単行本が出るまでになったことを、とても嬉しく思います。時勢に恵まれれば、もっと評価されて然るべき才能だと思いますので…

 ただ勢いだけで突っ走っているマンガのようにも見えますが、その勢いは連載開始以来衰えることなく、ハイテンションを維持し続けています。まるで羽ばたきをやめたら墜落してしまいそうなノリですが、そうして常にテンションが高い位置でキープされているからこそ、ふと気を緩めた後のオチの破壊力がより一層効果的になるのです。ツッコミどころでは、心の中だけではなく、思わず手の動作つきで声が出てしまいます。君はこの新手のハイテンションギャグ4コマに付いて来れるか?この先の更なる成長が楽しみな逸品です!

First written : 2004/09/28
Last update : 2004/12/25