逆転裁判
GBA製作 : カプコン   2001/10/12発売
 推理・法廷  法廷バトルアドベンチャー  10時間 
 企画・脚本:巧舟   プロデューサー:稲葉敦志

「逆転裁判」とは?

 「法廷バトル」という、まったく新しいジャンルを開拓したアドベンチャーゲーム、それが「逆転裁判」です。「裁判」というと、一般人にとっては馴染みのない世界であるため、今までゲームの題材として使われることなんてなかったわけですが、その「知名度が無い」ことを逆用してしまったのがこの作品なのです。主人公は新米弁護士:成歩堂龍一となり、絶体絶命の危機に立たされている依頼人の無実を証明するため、ハッタリをかましてツッコミを入れて証言者の証言の矛盾を見破ることで、事件の真相を究明して行きます。しかし、法廷「バトル」というだけあって、事件は一筋縄では行きません。何が何でも被告人を有罪にしようとしてくる、宿命のライバルである検事:御剣怜侍、そして、40年間無敗を誇る伝説の検事:狩魔豪のキレ味抜群の反撃によって形勢は二転三転の連続。果たして、成歩堂龍一は事件の真相を掴み取れるのか?

 わずか7人という、とても小さなチームが創り上げたこの作品は、口コミで徐々に支持を広げてスマッシュヒットを記録し、第6回 CESA GAME AWARDSでは10万本未満(当時)という販売本数だったにも関わらず異例の特別賞を受賞。その後、「2」「3」を経て完結した物語は、ゲーム各誌で最高のユーザー評価を得る名作としての地位を不動のものにしたのです。「法廷バトル」という、まったく新しいジャンルを開拓したアドベンチャーゲーム、それが「逆転裁判」です。「裁判」というと、一般人にとっては馴染みのない世界であるため、今までゲームの題材として使われることなんてなかったわけですが、その「知名度が無い」ことを上手く逆用して、やりたい放題の世界を作ってしまったのが、この作品なのです。

 主人公は新米弁護士:成歩堂龍一となり、絶体絶命の危機に立たされている依頼人の無実を証明するため検事に、ハッタリをかまして証人にツッコミを入れて証言の矛盾を見破ることで、事件の真相を究明して行きます。しかし、法廷「バトル」というだけあって、事件は一筋縄では解決できません。何が何でも被告人を有罪にしようとしてくる、宿命のライバルである検事:御剣怜侍、そして、40年間無敗を誇る伝説の検事:狩魔豪のキレ味抜群の反撃によって形勢は二転三転の連続です。果たして、成歩堂龍一は事件の真相を掴み取れるのか?

 キャラの声は社内のスタッフが担当するほどの、わずか7人という、とても小さなチームが創り上げたこの作品は、口コミで徐々に支持を広げてスマッシュヒットを記録して、第6回 CESA GAME AWARDSでは10万本未満(当時)という販売本数だったにも関わらず異例の特別賞を受賞しました。その後、「」「」を経て完結した物語は、ゲーム各誌で最高のユーザー評価を得る名作として、地位を不動のものにしたのです。

「待った!」「異議あり!」矛盾を暴き真実を掴み取れ!

 本作品の基本的な流れは、関係者に聞き込みをしながら証拠品を見つけ出す「探偵パート」と、法廷で審議をする「法廷パート」の2つに分かれています。ただし、この世界観の中では、裁判は最長でもわずか3日間で結審してしまうし、依頼された翌日には裁判が始まってしまうため、調査にあまり時間を掛けられません。時には、絶体絶命のピンチを乗り切って裁判を引き伸ばして調査の時間を稼いで、判断材料を揃えることも必要となります。もっとも、矛盾を覆すほどの決定的な証拠なんて何も無いのに、鬼検事を相手にして、ハッタリだけで矛盾を指摘するのは大変なことなので、常に冷や汗をかき続けるような緊張感の連続です。

 すべての謎は、法廷パートで証言者の証言に対して行う弁護士の尋問の成否によって見えてきます。「待った!」と叫んでLボタンの「ゆさぶり」を使うと、その部分の発言についてより詳しい証言が得られます。そこに見え隠れする「違和感」を感じたら、「異議あり!」と叫んでRボタンの「つきつける」を使って、証拠品を突きつけて矛盾を指摘することで、新たな証言を引き出すことができます。しかし、敵もさる者。新たな証言によって上手く誤魔化して論理の綻びを修正してきますが、1つの嘘は新たな嘘を呼ぶものです。反論の余地のない決定的な矛盾をつきつけて、彼らを追い詰めた時、事件は初めて、たったひとつの隠された真実に辿り着けるのです!

逆転逆転また逆転!
キミはこの強烈なセンスに付いて来れるか?

 この作品が、ユーザーから絶大な支持を受けているのは、推理アドベンチャーゲームとしての出来の良さもさることながら、もうひとつの大きな魅力として見逃せないのが、作品の根底に流れる独特のお笑いセンスです。まず、ネーミングセンスからしてマトモではありません。主人公の成歩堂のあだ名は「なるほど君」だし、「事件のカゲにやっぱりヤハリ」という異名を持つトラブルメーカー:矢張政志のお調子者っぷりといい、大場カオル(オバチャン)のおばちゃんパワー全開のマシンガントーク(早すぎて目でも追えない)といい、文字通り大騒ぎしっぱなしの関西人:大沢木ナツミさんといい、子供たち(真宵ちゃん含む)に大人気のヒーロー「大江戸戦士トノサマン」といい…あまりにも強烈な個性を持った関係者と、バカバカしいほどの設定や芸人みたいなリアクションのオンパレードなのですが、「やりすぎくらいがちょうどいい」と思えてしまう、この「濃さ」が病み付きになってしまう、不思議なセンスが本作にはあるのです。

 「1」のシナリオについては、シリーズを通じた大きな伏線が張ってあるため、いくつか未解決の部分が残ってしまいますが、その謎は「2」を経て「3」で完結する大きな流れになっているので、単品ではなく、ちゃんと順番を守って1〜3を通しでプレーすることを強くオススメします。公式HPには体験版もあるし、廉価版のベスト版も発売されていますから、3本セットでお楽しみ下さい。GBAを持っているなら「やらなきゃ損」と自信を持って断言できるほどの逸品です!

First written : 2004/04/19
Last update : 2004/08/21


「逆転裁判」キャラクター選評に”異議あり!”

※この選評は重度のネタバレで構成されています。このキャラクター選評は、逆転裁判シリーズ1〜3を通じた内容になっています。ゲームの楽しみを致命的に損なう恐れがありますので、ゲーム本編をすべてクリアした方、もしくは多少のネタバレも読み流せるという方のみ、白文字で隠されている部分をマウスで選択反転させてお読みください。なお、この注意書きを無視してネタバレ部分を読んでしまった場合の不利益に対して、GM研は一切責任は取りかねますので、くれぐれもご注意ください。

 成歩堂 龍一 (なるほどう りゅういち) 弁護士

 言わずと知れた主人公。思いつきと勢いだけで裁判に勝ち続けてしまうハッタリ弁護士。師匠の千尋さんによると、成歩堂にはツッコミの天才的な才能があるらしい。なんだか微妙な褒め方だ…大学では芸術学部だったから、本格的に弁護士を志したのは、おそらく御剣が検事として活躍していると新聞で知ってからであろう。そう考えると、その短期間で弁護士の資格を取ったわけだから、基本的には優秀な人…のはず。特徴的な髪型はビッグオーの某氏とそっくりだが、何も関係はないらしい。御剣・狩魔剛・狩魔冥を次々と破り、法廷では時の人のはずなのに、ダンボールの弁護士バッチをつけた偽者に化けられても誰も気づかないのは…周囲がアレすぎるのか、成歩堂の印象が薄すぎるからなのか…女難の相が出ているのでないか?とも思われる、カッコイイのかトホホなのか分からない主人公というのも珍しいのではないだろうか?

 綾里 真宵 (あやさと まよい) 霊媒師・成歩堂の助手

 逆転裁判の実質的ヒロイン…のはずですが、年齢の割に子供っぽくて、しかもシリーズを重ねても成長しないので、ほとんど実感はありません。むしろ、千尋さんを霊媒するたびにナイスバディと貧乳が乱高下して、皮膚が伸びてしまうのではないかと心配をしてみたり。子供向けのトノサマンが大好きであり、マックスギャラクティカのファンであり、ミーハーなのか時代がかっているのか良く分からなかったりもする。一応倉院流霊媒道の次期家元のはずなのだが、霊力では従姉妹の春美ちゃんにも負けてしまうくらいだし、よほどのピンチにならないと千尋さんを呼び出すこともできないし、助手としても有能とは言いがたいし…ヒロインとしてはマイナスのポイントの方が多いはずなのに、総合の印象だと「やっぱりメインは真宵ちゃんだな」と思わせる妙な説得力があるキャラクターです。

 綾里 千尋 (あやさと ちひろ) 弁護士・成歩堂の師匠

 真宵の姉。生まれたときから、すさまじいまでの霊能力を有していた彼女だが、母親が失踪してしまったきっかけとなった事件の真相を調べるために、故郷を飛び出し弁護士となる。持ち前の頭の良さと押しの強さで、将来を嘱望されるようになっていたが、母親に関する事件を調査していたことが災いし、追い詰められた犯人に狙われて命を落とすことになってしまった。しかし、この事件は弟子の成歩堂の手によって解決をみました。それもこれも、死後も真宵ちゃんの体に憑依して、絶体絶命のピンチに現れて、絶対にあきらめないことを成歩堂に教えてくれた千尋さんの存在があってのことでした。ある意味では真宵ちゃんよりも目立っていたかもしれませんね。

 御剣 怜侍 (みつるぎ れいじ) 検事

 頭脳明晰、容姿端麗。まさに成歩堂とは対極の世界にいる男である。若くして法廷にデビューして、「有罪判決のためならなんでもやる」という師匠:狩魔剛譲りの法廷術で完璧なる勝利を積み重ねてきたが、彼を追って弁護士になった成歩堂と戦って、まさかの連敗を喫してしまったことで、彼の法廷哲学に変化が起こりはじめる。どちらかというと、「1」は御剣のための物語だったし、「2」のエンディングで冥をたしなめるオトナの姿といい、「3」では成歩堂の変わりに弁護士として法廷に立つという離れ技を華麗にやってのけたように、このゲームのカッコイイ部分は全部、成歩堂じゃなくて御剣が担当していると言ってもいいんじゃないでしょうか?そう考えると、どんなに追い詰めても、涼しい顔で再逆転してみせるあのギザな立ち居振る舞いさえも素敵に思えてくるから不思議なものです。

 糸鋸 圭介 (いとのこぎり けいすけ) 刑事

 通称:イトノコ刑事。いかにも切れ味の悪そうな名前だが、その名の通りのダメ刑事っぷりをシリーズ全編に渡って発揮してくれました。御剣検事には何度も減給され、狩魔冥には発信機を取り付けられた挙句に、気絶するまで鞭でしばき上げられ、刑事としての職務の板ばさみで恋心を寄せているマコくんには誤解されっぱなしだし…でも、弁護側に情報をうっかり垂れ流してくれるイトノコ刑事の存在なくしては捜査が進まない場面も多々あり、実は何気に全体では重要な人物なのかも知れませんね。

 矢張 正志 (やはり まさし) フリーター

 成歩堂と御剣の小学校時代の同級生であり、「事件の陰にヤッパリ矢張」という異名を持つ、とことんツキがない男。本人に悪気はないのだが、矢張が事件に絡むと、あの御剣や冥でさえ予想できない、とんでも方向に変わってしまいます。その存在自体が冗談みたいな人であり、お笑い担当として十二分の存在感を発揮してくれました。それにしても、あの絵の意味は…(笑)

 大場 カオル (おおば かおる) 警備員

 年齢不詳のお喋り大好きオバチャン。だから大場さん。…すごいネーミングセンスですね。藤見野イサオと御剣怜侍(みっちゃん)に年甲斐もなく恋心を抱く乙女である。実は、一時期矢張がガードマンのバイトをやっていたときに、先輩だったとか、怪人仮面マスクの部屋に、なぜかおばちゃんの宇宙人ヘルメットが置いてあったりして、実際に出演していない場面でも大いに笑わせていただきました。

 大沢木 ナツミ (おおさわぎ なつみ)カメラマン

 自称フリーカメラマンから、自称オカルトフリーカメラマン、さらに自称いやらしいゴシップカメラマン…というように、次々と肩書きは変わりますが、やってることはいつも通りです。ウケを取らないと気がすまない芸人資質が問われる場面だったわけですが、ナツミさんが絡むといつもさらに大事になってしまうので…ちなみに、ナツミさんのモットーは、「むしろとれ、シリの毛までも!」です。