GM研 アニメレビュー
「エンジェリックレイヤー」とは? 「機動天使エンジェリックレイヤー」とは、「カードキャプターさくら」で有名な漫画家(正確には4人の漫画家集団)である「CLAMP」が月刊少年エース誌上に連載をしていた漫画であり、今回ご紹介するのは、そのテレビアニメ版です。漫画版は「お人形遊び+バトル」という題材と、ある意味CLAMPらしからぬ大胆なデフォルメを多用した画風が、従来の「少女マンガ・耽美マンガのCLAMP」というイメージを一変させるほどの大好評を博しました。 かくいう私もこの作品に出会うまでは、「さくら」以外のCLAMP作品は好きではありませんでした。むしろ嫌いなくらいでした。そんな私は漫画版を読んで改めてファンになり、そしてアニメ版を観て目から鱗が落ちました。普段はテレビアニメをほとんど観ない私が、漫画原作のアニメで「名作」と言える作品に、幸運にも数十年ぶりに出会えたのですから! 21世紀のプラモ狂士郎? エンジェリックレイヤーを端的に表現すると、「21世紀のプラモ狂士郎」といったところでしょうか(20代以下にはかえって分かりにくい例えかも?)。エンジェルという人形を操って、レイヤーと呼ばれるリングでバトルをするのが、エンジェリックレイヤーという遊戯の概略です。操縦者のヘッドセットから検出された脳波によって自在にエンジェルを操り、電子仮想空間でバトルを繰り広げるという、実はとってもハイテクな遊びなのです。 プラモ狂士郎世代の私くらいの世代にとっては、そのような遊戯は、かつては夢のまた夢・漫画の空想世界のものでしかなかった。しかし、昨今の電子技術の飛躍的進歩を目の当たりにしていると、これらが決して不可能なものではなくなってきたような気がします。世間ではエンジェリックレイヤーが遊戯としての技術的側面を前面に打ち出さなかったことを惜しむ声もありますが、私はそうは思いません。この作品を本当に面白いと思えたのは、バトルを単純な「努力・友情・勝利」の構図ではなく、「技術は楽しく遊ぶための道具」だと割り切って、キャラクターの”想い”を前面に打ち出しているからだと思います。 オリジナルを超えるオリジナル 漫画原作のアニメは特にアニメ化が難しいと言われています。原作にないオリジナル要素を加えると「原作の雰囲気を壊すな!」とファンに怒られるし、原作に忠実に作ったら「物足りない」とファンに怒られてしまう。TV局としては原作の固定ファンがあるから視聴率もDVD販売も計算できる美味しい番組なのだが、製作する側にとっては矛盾した題材なのです。”漫画原作アニメに真の名作なし”という詠み人知らずの格言があるくらいです。 しかしごく稀に、この矛盾したバランスを乗り越える作品が出現します。それがエンジェリックレイヤーです。漫画版の設定のほぼ全てに大胆に手を加えて、”原作+α”ではなく、あくまで”アニメ”として仕上げられており、原作を超えるオリジナリティを発揮してくれています。原作とキャラクターのカップリングを変えてしまうなんて、もしかしたら前代未聞の大冒険だったのかも知れません。でも、それによってこの作品は私にとって唯一無二の存在になりました。オリジナルを超えるオリジナルとは、かくも素晴らしきもの哉。 Last update : 2002/04/19
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