monthly Book Review
桜玉吉開運画集しあわせ
作者 : 桜玉吉
監修 : 福田有宵
出版社 : エンターブレイン

日本一ありがたい画集?

 普通、画集というものは、過去のイラストを集めたものである。その作家の数年分のイラストをとにかく掻き集めてきて、どーんと立派なでっかい本を作る。商売上のことはほとんど度外視でコアなファンのためだけに作られる本。作家のライフワークのための本。それが画集である。

 が、ここにその常識を覆す画集が登場した。幽玄漫画家「桜玉吉」とコミックビーム編集部が作ったその画集とは、「開運画集」。日本一縁起のいい画集である。画集なのに、本の6割が方位磁石のカバーで、付いている冊子は開運手引書。イラストは驚くほどに少ない。毎年ギリギリの決算を続けるコミック編集部の危機的財政状況と、「普通の本じゃあ満足しねぇ」という編集者の意地が生み出した奇天烈無双な本、それが「桜玉吉開運画集しあわせ」なのです。

驚異の占い師:福田有宵

 私は基本的に占いというものは信じない。特に星座占いや手相占いなんてアホらしいとすら思っている。動物占いなんぞ論外である! だが、そんな私でも、ついつい真剣に耳を傾けてしまう占い師が一人だけいる。それが、この本の監修も務めている福田有宵先生である。長年アスキー系の雑誌で占いを担当してきた先生だが、実は日本易者連盟のとっても偉い人である。先生の占いは恐ろしいくらい良く当たる。特に新年恒例の社会長期占いの的中率は驚異的である。日本海沖タンカー座礁事故や原発臨界事故も言い当てた。

 だが、先生の占いの哲学は「開運のためにあるもの」なのである。未来は決まっているわけではなく、可能性のひとつでしかない。当たる当たらないは問題ではなく、要はその人の心がけ次第である。悲劇を避けるのも、成功を掴むのもすべてはその人の努力次第なのである。

占いは非科学?

 占いは決して非科学的なものではない。易学は3000年以上に渡って積み上げられてきた列記とした統計学なのである。心霊現象などと同列に扱うべきものではないのだ。科学で立証できないから認めないというのでは、いかにも了見の狭いことである。科学自体が人間の手に余るオーバーテクノロジーなのにね。占いが忌避されるのは、それに依存してしまうケースが多いためである。未来が分かるならそれにこしたことはない。そして努力をしなくなるからだ。

 だが、開運を願う行為自体には、むしろ積極的に運命を開拓していく行為であり、誰に文句を言われるものではない。七福神にみられるように日本人はありがたいものが大好きなのです。この日本一縁起のいい画集で、あなたも開運祈願してみませんか?


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