monthly Game Review
Leaping School Festival
ときメモ2 Substoriesとは? 恋愛シミュレーションゲームの大御所「ときめきメモリアル」… オタクだけの閉塞した世界だったギャルゲーに、市民権をもたらした偉大すぎるこのビックネームは、続編で決して失敗してはいけないというプレッシャーでもあった。その結果が、キャラと設定だけを変えただけの消化不良の「ときメモ2」でした。ブランドを守るためにシステムを変えられないという、ジレンマから生まれたのが、キャラクターの魅力とドラマ性の補完としての「Substories」シリーズなのです。 「Substories」シリーズは本編ではなかなか見えないキャラクター同士の友達関係が明確になったり、同じ時間軸に存在する前作「ときメモ1」のキャラクターも登場したりと、非常に意欲的な内容になっている。ただのファンサービス作品ではなく、これは「ときメモ3」への布石なのかも知れません。 魅力薄のキャラクターの復活 今作「Leaping School Festival(以下、LSF)」はSubstoriesシリーズの第2弾。直訳すると「踊る学園祭」。システム的には前作「Dancing Summer Vacation(以下、DSV)」と同じアドベンチャーゲームだけど、さすがに今回はDDRモードはない。DDR専用マットを買い込んで踊り狂った、DSVような強烈さはないが、その分キャラクターのドラマ性は大きく向上している。 最初の選択肢で完璧にストーリーが分岐してしまい、その後は選択肢も簡単で何の苦労も無くゲームが進行する。いや、これってゲームなの?と思ってしまうこともある。ドラマに集中できるのはいいが、ゲームとしては非常に評価しにくい作りである。 今回フューチャーされている3人の女の子「赤井ほむら、伊集院メイ、一文字茜」は、本編ではそれほど人気の高かったキャラではありません。かくいう私も、この3人の自分内順位はワースト1・2・3でしたし。でも、このLSFを通じて、3人の意外な一面に愛らしさを見出し、この3人の株は急上昇したのです。 SLGというシステムは自分の思い通りにゲームを進めることが出来るという反面、自分のやりたくないことに合わせるのが苦痛にもなるのです。その点、アドベンチャーというジャンルは、自由度が少ない反面、何の苦労も無く手軽にドラマを楽しむことができる。本編では魅力薄だったキャラクターを復活させることもできる。それも、この「Substories」シリーズの存在意義のひとつなのです。 「次世代ときめきメモリアル」に望むこと SLGとアドベンチャー。この相反する矛盾した両ジャンルの融合こそが、次世代ときめきメモリアルに求められるものであると、私は思います。EVS(Emotional Voice System)やトゥーン・シェード(ポリゴンを2Dアニメ化する技術)は確かに素晴らしい技術かも知れないが、一番大切なのは、枠組みを一度壊して再構築する勇気と決断だと思う。いつまでも過去の遺産にしがみついていては、何も新しいものは生まれないのだから。 衰退と縮小を続け、再びオタクという閉塞した世界へと逆行し始めているギャルゲーというジャンル。新しいスタンダードを確立するためには、今までの常識を自ら打破するしかないのである。心あるゲームファンの悲壮なる最後の期待を、どうか裏切らないで欲しい。
|