作者 | : 竹田エリ |
本誌 | : 週刊ヤングジャンプ |
単行本 | : 全10巻 |
私立T女子学園とは?
今回ご紹介するのは、週刊ヤングジャンプで連載中の4コマ漫画「私立T女子学園」です。ジャンル分けするならば、女子高生ギャグ4コマ…になるのですが、これはあくまで分類学上のものでしかありません。誤解の無いように明言しておきますが、この漫画に登場する「女子高生」というのは、世間一般の常識とは100%かけ離れています。お色気も流行も恋愛も皆無です。それなのに敢えて女子高が舞台になっている理由はただひとつ、「一番中途半端で、一番面白い年頃」だからです。
笑顔は天使、心は般若
この漫画の魅力は、何と言ってもキャラクターにあります。見た目はかわいくディフォルメされた女子高生。笑顔はまさに天使。でも、その心の中は黒より黒いスーパーブラック。心はまさに般若そのものです。「ギャグに対するつっこみ」というよりも、「キャラクター同士の毒舌」という性質のオチは、深読みすると怖さすら感じます。起承転結の「転」に当たる3コマ目で持ち上げておいて、「結」に当たる4コマ目で崖から突き落とすようなオチをかまします。漫画だから笑えるんだけど、実際にこんな友達がいたら…さぞ嫌でしょうねぇ。余計な事を一言でも二言でもいくらでも、遠慮なく言ってくるのですから…
4コマ漫画という芸術
この漫画のもうひとつの特徴として、オチでの台詞の多さと、一本の4コマに登場するキャラクターの多さが挙げられます。ネタもギャグもキャラクター同士の人間関係や日常会話から生まれる。それらに対する毒舌のツッコミが笑えるのは、その人間関係があまりにも自然であるからである。次々と生まれる新キャラを巻き込んで、さらに広がっていく人間関係。そこにこそ、この漫画の真の面白さがあるのかもしれません。4コマという枠組みを越えて、枠の外の人間関係をも笑いにしてしまう。4コマ漫画の新しいスタイルとして、今後も注目していきたい逸品です。